キラキラネームは、珍しい表記や読み方などを持つ、個性的な名前を表す言葉です。
名づけの際「キラキラネームと思われないかな?」と、気になる方もいるかと思います。
この記事では、キラキラネームの言葉の意味や、2025年5月施行の改正戸籍法の内容、近年の名づけの傾向を紹介します。赤ちゃんの名前を考える際の参考になれば幸いです。
まずは、キラキラネームの定義や個性的な名前が増えた背景、生活の中で考えられる影響を確認していきましょう。
キラキラネームには、法律や学術研究で統一された定義がありません。一般的には、珍しい表記や読み方を持つ名前に対して使われる言葉です。
主な特徴には、以下のようなものがあります。
例:月雫(るな)、愛月(るな)、輝星(きらら)
例:海(まりん)、光宙(ぴかちゅう)
例:大翔(つばさ)、大空(そら)
珍しい漢字や当て字を使った名前が、全てキラキラネームに当てはまるわけではありません。受け取る人や時代によっても、判断が分かれると理解しておきましょう。
個性的な名前が広がった背景には、価値観や文化、日本語の特徴などが関係していると考えられています。
▶個性や周囲との違いを重視する価値観の広がり
保護者が「その子らしい名前を贈りたい」と考え、響きや個性(周囲とかぶらせないこと)を意識する傾向が強くなったことが一因です。
▶テレビやアニメ、外国文化の影響
テレビやアニメ、海外の文化に触れる中で、気に入った響きや人物名が名付けの候補になったことも要因の一つと考えられています。また「将来、海外で活躍するようになったときに、呼んでもらいやすい名前にしたい」という考えも影響しています。
▶日本語(または漢字)の特性
日本の漢字には、音読みや訓読みなど、複数の読み方があります。同じ漢字でも、名前によって異なる読みが使われる場合もあり、それが名前の多様化につながっていきました。
漢字の意味やイメージから読みを考える名付け方や、当て字の文化も背景にあります。日本語ならではの柔軟さが、個性的な名前を生み出した要因の一つといえるでしょう。
漢字から読み方を推測しにくい名前の場合、学校や病院などで読み間違えられる可能性があります。そのたびに読み方を訂正・説明する必要があります。
また、子どもの場合は奇抜な印象を持たれてしまい、友達からのからかいの対象になってしまう可能性もあります。
大人になっても影響がないとは言えず、就職活動や仕事に影響する可能性も否定できません。
珍しい名前が会話のきっかけとなり、初対面の相手に覚えてもらいやすい、といったプラスの影響も考えられますが、マイナスの影響については認識しておく必要があります。
名づけで迷ったときは、次のような場面をイメージしながら考えてみると良いでしょう。
▶名づけ前に確認したいポイント

2025年5月26日に改正戸籍法が施行され、戸籍に氏名の振り仮名を記載する制度が始まりました。
名づけにどのような影響を与えるのか、制度の内容を紹介します。
改正前の戸籍には氏名の漢字などが記載されるのみで、振り仮名は登録されていませんでした。
改正後は、戸籍に「振り仮名」が追加されるため、出生届での記載が必須となります。戸籍上の読み方が一つに決まるため、行政機関のデータベースで本人を探しやすくなり、情報の照合ミスを防ぐ効果が期待されています。
戸籍に記載できるのは、氏名に使われる文字の読み方として「一般に認められているもの」です。辞書に載っている一般的な音読み・訓読みと一致しなくても、漢字が持つ「意味」から連想できる読み方であれば認められる場合があります。
一方、「太郎」を「ジョージ」とするなど、漢字との関係がほとんどない読み方は認められません。「高」を「ヒクシ」とする反対の意味の読みや、差別的・卑わいなものも認められません。
判断が難しい場合は、出生届を提出する際に自治体の職員に読み方の由来や、参考にした辞典・書籍などの説明を求められる可能性があります。
なお、読み方だけでなく、名前に使える文字にも決まりがあります。つけたい文字が名前に使えるかどうかは、法務省のホームページ(人名用漢字一覧)や、市販の名付け辞典、名付けサイトなどで事前に確認できます。
改正前に生まれた子どもや大人も制度の対象ですが、「新しい基準に合わない」という理由で名前を変更する必要はありません。
戸籍に振り仮名を追加するため、すでに戸籍がある人には「1年間の届出期間」が設けられていましたが、2026年5月25日で終了しています。
期間内に届出をしなかった人は、自治体が住民票などのデータを元に、順次振り仮名を戸籍に記載しています。
自治体が記載した振り仮名に誤りがある場合は、1回に限り家庭裁判所の許可を得ずに変更できます。(2回目以降の変更には許可が必要となります)
一方、届出期間中に「自分で届け出た振り仮名」を変更するには、原則として家庭裁判所の許可が必要です。
近年は、極端な当て字や奇抜な名前が減少し、なじみやすい響きの名前が増えてきています。
一方で、響きはなじみやすくても、漢字だけでは正しい読み方を判断しにくい名前も多く見られます。目立つ個性から、さりげない個性へと名づけの形が変わっていると考えられるでしょう。
ここでは、近年の名づけの傾向を紹介します。
近年は、漢字と読みが大きく異なる名前や、目立つ響きの名前が減ってきたとする見方があります。
背景の一つとして考えられるのが、「キラキラネーム」に対するネガティブな声も広まる中で、読み間違いや説明の負担が意識されるようになった点です。子どもの将来を考え、呼びやすさや読みやすさも大切にするようになったと考えられます。
また、2025年の戸籍法改正も影響していると考えられます。
株式会社ベネッセコーポレーションが2025年に行った調査では、名付けの際に法改正を意識した人が45.3%という結果が公開されています。
法改正は、名前の読み方の多様性を認めつつ、社会の混乱を招いたり、子どもの利益に反したりする読み方に、一定の制限を設けたものといえるでしょう。
近年の名前ランキングでは、響きはなじみやすくても、漢字から正しい読み方を推測しにくい名前が上位に見られます。
<例>
背景には、漢字の意味やイメージを読み方に取り入れる名付け方があります。
たとえば、「心(こころ)」を「こ」と読ませるように、読みの一部だけを切り取ったり、「蒼空(そら)」のように一部の漢字をあえて読まずに添えたりするケースです。
響きにはなじみがあっても、漢字を見ただけでは初見で読めない名前が増えているのは、こうした工夫が凝らされているためです。

名前ランキングを見ると、その年に保護者が大切にした思いや、人気を集めた漢字の傾向が分かります。2025年は、漢字1文字の名前や、自然を連想させる名前が多く選ばれました。
ここでは、2025年1月1日から9月15日までに生まれた子ども16万6,011人を対象にした、たまひよの「2025年赤ちゃんの名前ランキング」の調査結果を紹介します。
たまひよの調査では、男の子は「碧(あお)」、女の子は「翠(すい)」が1位でした。上位10位のうち、男の子は6つ、女の子は5つを漢字1文字の名前が占めています。
| 順位 | 男の子 | 女の子 |
|---|---|---|
| 1位 | 碧(あお) | 翠(すい) |
| 2位 | 湊(みなと) | 陽葵(ひまり) |
| 3位 | 陽翔(はると) | 凛(りん) |
| 4位 | 朝陽(あさひ) | 芽依(めい) |
| 5位 | 蓮(れん) | 陽菜(ひな) |
| 6位 | 結翔(ゆいと) | 葵(あおい) |
| 7位 | 凪(なぎ) | 琴葉(ことは) |
| 8位 | 晴(はる) | 紬(つむぎ) |
| 9位 | 蒼空(そら) | 結月(ゆづき) |
| 10位 | 律(りつ) | 澪(みお) |
※表の読み方は、同じ漢字の組み合わせのうち、最も多かったものを掲載しています
2025年は「碧」「翠」「凪」「蓮」「澪」など、自然を連想させる漢字や、一文字で簡潔な名前が好まれていると分かります。
一方、「陽翔」「結翔」「陽葵」のように、響きはなじみやすくても、漢字だけでは読みにくい名前も上位に入りました。
また、名づけで重視した項目は「読み・音の響き」が68.2%で最多でした。次いで「漢字の意味」が51.3%、「画数」が48.1%となっています。読みや音の響きを大切にしながら、漢字の意味や組み合わせで、その子らしさを表そうとする名づけの傾向がうかがえます。
キラキラネームは、珍しい表記や読み方などの個性的な名前を表す言葉です。2025年5月施行の改正戸籍法により、読み方にも一定の基準が設けられましたが、漢字の意味から連想できる当て字や読み方であれば、一定の範囲で認められる方向となっています。
名づけでは、音の響きや漢字に込める願いに加えて、初めて見た人が読みやすいか、大人になってからも使いやすいか、を考えることが大切です。
親として思いを込めた名前にしつつも、子どもが生きていく上で困らないように配慮してあげることが大切です。