近年は、幼少期からスマホやタブレットを使い、インターネットに触れる機会が増えています。一方で、個人情報の流出や誹謗中傷などのリスクが高まっています。
インターネット上のトラブルから子どもを守るためには、ネット上の情報を読み解き、安全に活用する「ネットリテラシー」が必要です。
この記事では、ネットリテラシーの基礎知識や起こりやすいトラブル、家庭でできる教育について紹介します。
まずは、ネットリテラシーの意味や基本的な情報を整理します。
ネットリテラシーとは、インターネット上の情報を正しく理解・判断し、適切かつ安全に利用するための知識や能力を指します。
具体的には、次のような知識を指します。
気になる情報を見つけても、すぐに信じたり広めたりせず、まずは発信元などを確かめる姿勢が大切です。
例えばSNSに投稿する際は、公開範囲や写真に写り込んだ情報、他者の気持ちにも目を向けましょう。「受け取る・判断する・発信する」の各場面で必要な力と考えると、イメージしやすくなります。
ネットリテラシーと似た言葉に「情報モラル」があります。
それぞれの役割は次のように整理できます。
▶ネットリテラシー
インターネット上の情報を正しく理解・判断し、安全に利用する知識や能力
例:情報源を確かめる、パスワードを管理する
▶情報モラル
インターネットやデジタル機器を適切に使うための考え方や態度(倫理観)
例:悪口を書かない、写真を無断で投稿しない
デジタル機器の操作や安全対策を知っていても、相手を傷つける発信をすれば、安心して使えるとはいえません。ネットを安全に活用するには、知識や技能だけでなく、相手を思いやる姿勢も大切です。

インターネットの普及に伴い、トラブルも増加しています。
ここでは、ネットリテラシーの必要性が高まっている背景について紹介します。
子どもがスマートフォンやインターネットを利用し始める時期は、年々早まっています。自分の端末がなくても、保護者の端末で動画視聴やゲームなど、環境が整っているためです。
また、こども家庭庁の、令和7年度「青少年のインターネット利用環境実態調査 報告書」のスマートフォン利用に関する調査によると、「自分専用のものを使っている」と答えた割合は、小学生が 74.9%、中学生が 95.4%、高校生が 99.1%となっています。
このように、インターネットに触れる時期が早まっている環境では、子どものうちから安全な使い方を学ぶことが大切です。思わぬトラブルを避けるために、正しい知識を身につけておく必要があります。
子どものネットリテラシーの必要性が高まっている要因の一つに「学校教育のデジタル化」があります。
現在では1人1台の学習用端末の配備が一般的になり、授業で日常的にインターネットを使うようになりました。
例えば、以下のような場面でデジタル機器が活用されています。
こうした場面でリテラシーが不足していると、「不正確な情報をそのまま発表してしまう」「他人の作品や個人情報を適切に扱えず、トラブルになる」といった事態が発生してしまう可能性があります。
端末を学習に役立てていくためには、情報を正しく選び取る力や、ルールを守る意識を育てていく必要があります。
ここでは、子どもに起こりやすい4つのトラブルを紹介します。あらかじめ対応を知っておくと、いざというときに落ち着いて行動しやすくなります。
SNSでは、「相手の顔が見えない」「匿名で発信できる」といった特性から、言葉がエスカレートしやすく、誹謗中傷やいじめに発展しやすい傾向があります。
また、保護者や先生の目が届きにくい「閉鎖的なグループ」でやりとりが行われるため、発見が遅れて深刻化しやすい点にも注意が必要です。
具体的には、次のようなトラブルの可能性があります。
トラブルを防ぐために、普段から気をつける点や、困ったときの対応を子どもと確認しておくと安心です。
▶普段から気をつけること
▶トラブルが起きたら
こういったトラブルから身を守るためにも、ネットリテラシーの必要性は高まっています。
子どもは「何が個人情報にあたるのか」「投稿した内容が世界中の人に見られている」という認識が薄く、悪気なく自分や友達の情報を公開してしまうケースが後を絶ちません。
投稿やオンラインでのやり取りだけでなく、写真の背景から個人が特定され、犯罪やトラブルに巻き込まれることもあります。
▶ 個人情報漏洩のよくあるケース
・プロフィールの設定
SNSやゲームのアカウント名に、本名や学校名、生年月日をそのまま使ってしまう
・リアルタイムの投稿
「今から〇〇公園に行く!」「ただいまお留守番中」など、居場所や状況をリアルタイムで発信してしまう
・ネット上の友達への共有
オンラインゲームやSNSで親しくなった見知らぬ相手に、住所や連絡先を教えてしまう
・写真・動画への写り込み
制服や名札、近所の景色が写ったままアップしてしまう
上記のような情報漏洩は子どもだけでなく、大人でも起こる可能性があります。
まずは教える側(保護者)がしっかりと知識を身につけることが大切です。
また、インターネットに出回った情報は完全に消すことが難しく、永続的に残ってしまうリスクがあります。
スマホを使い始める際は、「ネットでは絶対に個人情報を教えない」「自分や友達の写真を載せるときは必ず保護者に確認する」など、具体的なルールを決めておくことが重要です。
オンラインゲームやアプリでは、保護者のアカウントや決済情報を通じて、子どもが課金してしまうトラブルが少なからず起こっています。画面上で簡単に購入できるため、利用明細を見て初めて気づくケースも少なくありません。
トラブルを防ぐための対策は、スマホの設定(ペアレンタルコントロール)で「アプリ内課金をオフ」にすることです。保護者のスマホを貸す場合も同様で、パスワードをかけていても突破される恐れがあるため、端末の設定で購入を制限しておきましょう。
また、家庭内のルールとして、自分のお金を持たないうちは「ゲームやアプリでの課金は禁止」と明確に約束しておくことが重要です。(どうしても必要な時のみ相談)
あわせて、購入履歴や決済通知などを定期的に確認すると良いでしょう。
デジタルタトゥーとは、ネットに公開した情報がコピーや転載によって残り、完全に削除することが難しくなる状態です。元の投稿を削除しても、ほかの人が保存した画像や再投稿までは消せない場合があります。
SNSへの投稿は、本人の評判や人間関係などに影響する可能性もあります。
投稿する前に「家族や先生に見られても困らない内容か」「不快に感じる人はいないか」と、一度立ち止まって考えてみましょう。
問題が起きた際は、画面とURLを保存したうえで、サービスの通報機能や削除依頼を利用します。一人で抱え込まず、早めに保護者や学校へ相談するよう伝えておくことも大切です。

ここからは、家庭で取り入れやすいネットリテラシー教育を3つ紹介します。ご自身の状況と照らし合わせて、できる方法から始めてみましょう。
家庭の利用ルールは、曖昧にせず、どのように行動するのかが分かる内容にするのがおすすめです。子どもの年齢や生活リズムに合わせて、家庭に合うルールを考えてみましょう。
▶利用ルールの例
保護者が一方的に決めるのではなく、一緒に相談しながら決めて、納得できるようにしましょう。「睡眠時間を守るため」など、ルールを作る理由も一緒に伝えてあげてください。
一度決めて終わりにせず、生活や利用方法の変化に合わせて見直すことも大切です。
フィルタリングとは、違法・有害な情報や、年齢に合わないサイトへの接続を制限する機能です。子どもが意図せず不適切な情報に触れるリスクを減らす方法として、活用しましょう。
似た機能に「ペアレンタルコントロール」があります。保護者が利用時間や使えるアプリ、ダウンロード、課金などを管理する仕組みです。
設定できる内容は端末やサービスによって異なるため、それぞれ確認しましょう。
ただし、機能だけですべてのトラブルを防げるわけではありません。子どもの成長に合わせて制限を調整しながら、困ったことや不安なことを相談しやすい環境を整えておくと安心です。
過去のトラブル事例を見ることで、ネットに潜む危険を具体的にイメージしやすくなります。事例を一緒に見ながら「同じトラブルが起きたらどうする?」と、親子で考えてみましょう。
事例を見る際は、「対応や予防策」まで話し合いましょう。実際の場面でどのように判断すれば良いかを考える練習になります。
総務省の「インターネットトラブル事例集」では、さまざまなトラブルと対策をマンガやイラストを交えて紹介しています。親子でも読みやすいため、家庭で話し合う際に活用してみるのもおすすめです。
総務省「インターネットトラブル事例集 | 上手にネットと付き合おう! ~安心・安全なインターネット利用ガイド~ 」
ここでは、子どもがネットを安全に使うために、保護者が行うべき2つのサポートを紹介します。
子どもをインターネットのトラブルから守るには、保護者もネット上の危険や安全対策について知っておく必要があります。SNSや動画配信サービスなどは機能や仕様が変わることもあるため、最新の情報を確認する習慣をつけましょう。
特に、次のような点について、知識を身につけておきましょう。
・SNSやWebサービスで起こりやすいトラブル
・個人情報や位置情報の公開リスク
・不適切な投稿や誹謗中傷などの問題
・フィルタリングなどの安全機能
・アプリ内課金や個人情報の取り扱いに関する注意点
こうした知識を身につけたうえで、子どもが使っているアプリの設定も一緒に確認してみましょう。利用規約やプロフィールの公開範囲、位置情報の設定などを確認することで、どのようなリスクがあるのかを親子で考えられます。
保護者がすべてを管理するのではなく、子ども自身が安全な使い方を考えられるよう、一緒に確認しながら知識を身につけていくことが大切です。
子どもが困ったとき、すぐに保護者へ相談できる関係を築くことも大切です。「怒られるかもしれない」「端末を取り上げられる」と感じると、問題を隠してしまう可能性があります。
日頃から「困ったときは一緒に考えるよ」と伝えておきましょう。実際に相談された際は、まず「話してくれてありがとう」と受け止めると、子どもも安心しやすくなります。
また、トラブルが起こった際は、「そんな使い方をするから」「知らない人とやり取りしたから」 のように、子どもを責めず、解決に向けて一緒に考えてあげましょう。協力する姿勢が「次も相談してみよう」という気持ちにつながります。
インターネットに触れることが一般化した今、ネットリテラシーは、身を守る必要な力です。
子どもを守るには、危険を遠ざけるだけでなく、自分で判断し、困ったときに相談できる力を育てることも大切です。
ポイントは、「考えられるリスク」や「対策方法」について、一緒に話し合って、知識を身につけることです。
まずは、家庭内の利用ルールを決める事や、スマホ機能の設定からはじめて見てください。
紹介した通り、インターネットのトラブルは情報漏洩や高額課金など、大きな問題になる可能性があります。
他人事だと思わず、しっかり知識を身に着けて、子どもをリスクから守ってあげましょう。