背泳ぎは他の泳法と違って仰向けで泳ぐため、子どもがつまずきやすい泳法の一つです。仰向けで水に浮く姿勢は、普段の生活ではあまり経験しないため、「怖い」と感じて腰が沈んだり、鼻に水が入ったりすることがあります。しかし、ポイントを押さえて練習を積み重ねることで、きれいに泳げるようになります。
この記事では、背泳ぎの正しい泳ぎ方や、体の使い方を紹介します。つまずきやすいポイントや、ステップごとの練習方法を知ることで、自信を持って泳げるようになります。楽しく練習に取り組むヒントとして、ぜひ参考にしてください。
背泳ぎは仰向けで泳ぐため、水の抵抗を受けやすく、姿勢が崩れやすい泳法です。
まずは、以下4つのポイントを押さえておきましょう。
▶背泳ぎのポイント
| ポイント | 意識する体の部位 | 理想的な状態 |
| 水平な姿勢 | 頭・背中・お尻 | 水面と平行になるようにまっすぐ保つ |
| バタ足 | 太もも・足の甲 | 膝を曲げすぎず、足の甲で水を蹴り上げる |
| 腕の回し方 | 肩・腕全体 | 親指から出し、小指から水に入れる |
| 呼吸 | 口・鼻 | 腕のリズムに合わせて、吐く・吸うを繰り返す |
背泳ぎは、水面に対して体を水平に保つ「ストリームライン」が基本姿勢です。体がまっすぐになっていないと、水の抵抗を大きく受けてスムーズに進まず、体力が消耗しやすくなります。
うつ伏せで泳ぐクロールではストリームラインを意識できても、仰向けの背泳ぎでは難しい子どもも多いため、次のポイントを確認してみてください。
▶ポイント
※腰を反らすと腰痛の原因になるため、まっすぐになるよう意識する
背泳ぎのバタ足は、膝を曲げすぎずに太ももから動かすのがコツです。自転車をこぐように膝を大きく曲げると、足が水面から出て空振りの状態(足が水にあたっていない状態)になります。太ももの付け根から動かして、足の甲で水を上に向かって蹴り上げるように動かすことを意識しましょう。
▶ポイント
腕は肩の延長線上で、親指から水面に出し、小指から水に入れます。肩への負担を減らしつつ、効率よく水をかけます。
▶動きの流れ
水中ではゆるいS字を描くように腕を動かし、水を集めて押し出すまでは90度になるくらい腕を曲げることがポイントです。しっかりと腕を曲げることで、水をつかんで進みやすくなります。最初は90度まで曲げることは難しいかもしれませんが「しっかり曲げる」という意識は持っておきましょう。
片腕ずつの動かし方をイメージできたら、次は両腕のタイミングと体全体の姿勢です。
以前は腕を回しやすくするために「ローリング(体を左右に大きく傾ける動作)」を意識させる指導もありましたが、近年は、意識しすぎない(体をできるだけフラットに保つ)泳ぎが主流とされています。無理に体をひねらず、左右の腕が常に対角線上にある形で、風車のようなリズムで回すのがポイントです。
背泳ぎの呼吸は、腕の動きに合わせて規則正しいリズムで行いましょう。「顔が常に水面に出ているから」と不規則に呼吸をすると、疲れやすくなってしまいます。
▶やり方(右腕から入水の場合)
腕・足・呼吸の動きは「2ストローク(腕)・6キック(足)・1呼吸」を目安に行うと、リズムを整えやすくなります。
6ビートキックとも言われており、右腕と左腕を1回ずつ(計2回)回して元の姿勢に戻るまでの間に、バタ足を6回打ち、呼吸を1セット(吸って・吐いて)行います。

ここからは、初心者の子どもがつまずきやすい3つのポイントと対処法を紹介します。
腰が沈んでしまうときは、あごの引きすぎや、おへその位置を見直してみましょう。
あごを引いて足元を見ようとすると、頭が上がって下半身が沈んでしまいます。おへそを水面ギリギリまで持ち上げるようなイメージで、一直線になる姿勢を意識しましょう。
また、前述した通り膝を曲げたバタ足は、腰が沈む原因になります。膝をやわらかく使い、太ももから動かすようなイメージを持って動かしましょう。
どちらの場合も、ビート板を使った練習が鍵になります。姿勢を覚えたい場合は、ビート板を胸に抱えて、浮く練習をしてみましょう。バタ足で腰が沈むのを直したい場合は、両腕を伸ばして両膝の真上にくるようにビート板を持ち、膝が水面から出ないようにキックする練習を取り入れてみてください。
鼻に水が入るのを防ぐには、鼻から息を吐き続ける練習が大切です。水中で息を止めていると、水が鼻の奥に入りやすく、むせる原因になってしまいます。「んー」と声を出しながら、鼻から少しずつ息を出す感覚をつかみましょう。
また、仰向けの姿勢に慣れないうちは、あごが上がりすぎて波をかぶってしまい、鼻に水が入るケースもあります。先述の「自分の足先よりも少し上にある天井や空を見るイメージ」であごを軽く引いて、顔の面が水面と平行になるように意識することが大切です。
どうしても水が入ってしまう場合は、ノーズクリップ(鼻栓)を使って、まずは泳ぎの動作に集中することも一つの方法です。
まっすぐ泳げずに曲がってしまう場合は、左右の腕の動かし方を見直す必要があります。次の2つのポイントを確認してみましょう。
①左右で力の差がある
左右でかく水の量や力が違うと、推進力に差が生まれて力が強い方向へ曲がっていってしまいます。例えば、右腕だけ力いっぱい水をかいてしまい、体が左方向へずれてしまう状態です。
改善するには、左右対称の動きを意識して、同じリズムと力加減で腕を回す練習を行いましょう。また、プールの天井にある線や、コースロープを視界の端で確認しながら泳ぐのも効果的です。
②左右で手の入水位置が違う
手の入水位置が、体の中心線よりも内側に入ることも、ジグザグに曲がって進む原因です。体の中心よりも外側(肩の延長線上)に手を入水させるイメージを持つことが大切です。

背泳ぎをきれいに泳げるようになるためには、ステップ別の練習が効果的です。ここからは、練習方法を3つに分けて紹介します。
まずは、水の上でリラックスして仰向けになる「背浮き」を練習していきましょう。背浮きは、背泳ぎの土台となる水平な姿勢を覚えるために行います。
また、背浮きの練習はサポートする大人と一緒に行いましょう。
▶やり方
▶ポイント
10秒程度、補助なしで安定して浮けるようになったら、次のキックの練習に進みます。
背浮きができたら、次はビート板を使ってキック(バタ足)の練習に進みます。浮力のあるビート板を使い、姿勢を保ったまま足の動きを覚えていきましょう。
▶やり方
▶ポイント
膝が曲がってしまう場合は、ビート板を両膝の上に持ち、膝がビート板に当たらないようにキックする練習を取り入れることも効果的です。また、両腕を頭の上に伸ばす姿勢は反り腰になりやすいため、体の横につける「気をつけの姿勢」でキックの練習をすることがおすすめです。
足の動きに慣れたら、水に入る前に陸上で腕回しの練習を行うのがおすすめです。水中では水の抵抗があることと、自分の腕の動きを客観的に確認することが難しいため、陸上で正しいフォームをしっかりと確認しておきましょう。
▶やり方
▶ポイント
陸上でスムーズに動かせるようになったら、水中で「片手背泳ぎ」を取り入れることもおすすめです。片手ずつ行うことで、手の入水位置や、腕の動かし方を丁寧に確認できることがメリットです。
▶片手背泳ぎのやり方
両腕を上にあげた姿勢から、片方の腕だけを回して泳ぎます。最初は右手だけ、次は左手だけと交互に行い、慣れてきたら両手で泳いでみましょう。
子どもが背泳ぎをマスターするためには、正しい姿勢と体の使い方を身につけることが必要です。仰向けで泳ぐため「難しい」と感じることもありますが、ストリームラインを意識して、力を抜いて水に浮く感覚を育てましょう。呼吸法や、陸上でのフォーム確認など、地道な基礎練習が上達への近道です。
また、背泳ぎは背浮きの練習など大人のサポートが大切な泳法です。
上手に泳げるように協力することも、上達のポイントになります。
この記事を読んで試してみたくなったら、ぜひ親子で一緒に楽しく練習に取り組んでみてください。