SNSトラブルから子どもを守る!親子で学ぶ安全なSNS利用ガイド

「子どものSNS、トラブルに巻き込まれない?」「スマホを持たせたけどSNSはまだ心配」「事前にできるトラブル対策を知りたい」
このような考えはありませんか?
近年、SNS上でのトラブルや犯罪に関する報道が多く、経験の浅い子どもが巻き込まれないかと心配をしている保護者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、次の内容を解説していきます。
- 子どものSNSトラブルが増えている理由
- デジタルタトゥーの影響とリスク
- 具体的なSNSトラブルの事例
- SNSトラブルを防ぐための予防策
ぜひ最後までお読みいただき、親子でSNSの安全な使い方について話し合うきっかけにしてみてください。
子どものSNSトラブルが増えている理由
子どものSNSトラブルが増加する背景には、スマートフォンの普及によりSNSを利用し始める年齢が早まっていること、また配慮不足や文字でのコミュニケーションの難しさが挙げられます。
SNS利用の低年齢化
こども家庭庁が行った 令和5年度青少年インターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)によると、インターネット利用率は小学生で98.2%、中学生で98.6%、高校生で99.6%と、非常に高い水準です。特にスマートフォン占有率を見ると、低年齢の子どもは親と共用で使用する割合が多いものの、10歳で子ども専用と親と共用の割合が逆転し、子ども専用の割合が65%を超えます。
また青少年のインターネット利用内容では、スマートフォンで「投稿やメッセージ交換をする」と回答した割合は、小学生で82.9%、中学生で84.9%、高校生で89.6%です。この結果から、小学生以上の80%以上がSNSやメッセージアプリなどを使用し、年齢が上がるに連れて割合が上昇することが分かります。
保護者の世代では「携帯電話は高校生以上になったら持つもの」という感覚を持つ人もいると思いますが、現代では10歳以降では子ども専用のスマートフォンを持っている子どもが半数を超えます。同時に、SNSのアカウントを持つことが当たり前になり、情報リテラシーが十分に育っていない段階でSNSの複雑な世界に触れることで、トラブルに巻き込まれるリスクが高まっています。
配慮不足の発信
スマートフォンやSNS利用の低年齢化に伴い、インターネットのルールや危険性を理解しないまま利用することで、意図せず個人情報を公開したり、不適切な発言をしてしまったりするケースが見受けられます。
また、SNSは匿名性が高いため、現実世界では言わないような配慮に欠ける発言をしてしまうことがあります。特に、精神的に未熟な子どもたちは相手の気持ちを考えずに感情的な投稿をしたり、友人に軽い気持ちでからかったつもりが、エスカレートしてネットいじめに発展したりします。
SNS上は文字でのコミュニケーションがベースになり、相手や自分の表情が見えません。そのため、ちょっとした言葉のニュアンスの違いで誤解を招くこともあるため、注意が必要です。
たとえば「〇〇ちゃんって面白くない?」を「〇〇ちゃんって面白くない」と「?」を忘れて送信してしまうと、悪口と捉えられてしまい、グループから仲間外れにされてしまうこともあります。対面のコミュニケーションであれば、すぐに訂正や謝罪をしたり、相手の表情を見て対応を考えたりすることができますが、文字でのコミュニケーションの場合は特に注意しましょう。
デジタルタトゥーの影響とリスク

デジタルタトゥーとは、どのようなものなのでしょうか?影響やリスクについて解説します。
デジタルタトゥーとは
デジタルタトゥーとは、インターネット上に一度公開された情報が、削除しても消えずに、半永久的に残る現象を指します。写真、動画、SNSの投稿、コメントなどのデジタルな形で残された情報は、削除したつもりでも第三者がコピーしていたり、キャッシュとして残っていたりすることで、完全に消し去ることが非常に困難です。
たとえば、アルバイト従業員が勤務先で不適切な行動をとり、その様子を自らSNSなどに投稿して炎上を引き起こす「バイトテロ」もデジタルタトゥーの典型的な一例です。一度投稿するとすぐに拡散されて、スクリーンショットや保存をされてしまいます。元の投稿を削除しても他人のアカウントやまとめサイトに残ってしまうので、Web検索すれば情報が出続けてしまうのです。
削除が困難なデジタルタトゥーのリスク
上記のバイトテロを例にすると、次のようなリスクがあります。
- 顔や名前、学校名などの個人情報が特定される
- 家族や学校・職場に迷惑がかかる
- 進学や就職活動に影響を及ぼす
- 企業から損害賠償を請求される
- 逮捕・補導・書類送検される可能性がある
まず、個人情報が特定されることで本人はもちろん、関係のない家族や周囲の人もクレームや誹謗中傷などの対応に迫られます。問題の投稿を削除したとしても、検索すれば情報が出てきてしまうので、半永久的に「バイトテロの人」というレッテルを貼られてしまうのです。
また、企業や店舗の信頼が著しく損なわれるため、閉店に追い込まれたり、損害賠償を請求されたりすることもあります。
多くの場合「まさか炎上するとは思わなかった」と本人が語っていますが、スマートフォン一つで誰もが加害者にもなり得る時代です。迷惑行為をすること自体も問題ですが「身内しか見ていないから大丈夫」「炎上したら消せば大丈夫」など軽い気持ちでSNSへ投稿することは絶対にやめましょう。
SNSトラブルの事例
この章では、実際にあったSNSトラブルの事例を紹介します。
個人情報漏洩
子どものSNSトラブルで多いのが、個人情報の漏洩です。写真をSNSにアップしたり、学校名やクラスなどの特定できるような情報を書き込むことで、居場所を特定されることがあります。
写真に映りこむ特徴的な建物や、瞳の中の景色から場所を特定され、ストーカー被害に合ってしまった事例もあるため、注意が必要です。
また、位置情報が設定された写真を投稿することで、居場所を特定されるケースもあります。事前に位置情報の設定をオフにするなどの対応をしておきましょう。
ネットいじめ・誹謗中傷
ネットでのいじめは直接的ないじめより気づきにくいため、注意が必要です。1人の子をグループチャットから除外して悪口を書きこむうちにエスカレートし、学校でのいじめや顔写真の無断掲載・加工などにつながる可能性があります。
また、知り合いではない有名人などへの人格否定や攻撃といった、誹謗中傷のトラブルもあります。自分で誹謗中傷の投稿をすることはもちろん、他の人が投稿した誹謗中傷の内容を拡散することもやめましょう。「匿名だから大丈夫」と考えているかもしれませんが、技術的に投稿者は特定できます。「本当にこの投稿や書き込みをして問題は起きないか?」とよく考えたうえで投稿しましょう。
誘い出しや性被害
SNSを通じて、子どもが犯罪に巻き込まれるケースも増えています。
見知らぬ大人から「会おう」と誘われたり、性的な写真や行為を要求されたりする被害が後を絶ちません。最初は年齢が近くて趣味が合う友達を演じるなど、巧妙な手口で子どもに近づいて信頼関係を築いた上で誘い出すため、子どもだけでは危険を察知しにくいのが現状です。
また、一度性的な写真を送ったあとに相手が豹変して「もっと送らないと、さっきの写真を友達に送りつけるぞ」と脅されたり、インターネット上にアップロードされるケースもあります。不審なメッセージに注意し、保護者との相談体制を予め確立しておきましょう。どんなに好きな相手でも、誘い出しには安易に反応せず、性的な画像の送付などは行わないでください。
高額課金トラブル
「ゲームでいいアイテムがほしい、レベルをあげたい」「投げ銭をしてライバーに名前を呼んでほしい」などの理由から、子どもが無断で高額な課金をしてしまうトラブルもよくあります。保護者のアカウントを使用してゲームやコンテンツを購入している場合でも、注意が必要です。設定されているクレジットカード情報で課金してしまい、1か月で200万円以上の請求があったケースもあります。
あとで紹介するペアレンタルコントロールを利用したり、課金の度にパスワードを変えるなど、子どもにスマートフォンを使わせる前に対応しておくと安心です。
詐欺・闇バイト
SNS上には「簡単に高額を稼げる」とうたう闇バイトの募集や投資詐欺、情報商材詐欺など、さまざまな詐欺が横行しています。知識や経験の少ない子どもが「簡単に儲かる」という甘い言葉に騙されてしまい、個人情報をだまし取られたり、犯罪行為に加担させられたりする危険性があります。一度でも加担すると応募時に登録した個人情報をもとに脅されて、複数の犯行を迫られることも多いです。
日頃から子どもに「簡単に高額を稼げる仕事はない」と伝えたり、怪しいと感じたら相談をするように伝えることが大切です。
親子で実践!SNSトラブルへの予防策

ここからは事前にSNSトラブルを防ぐための予防策を紹介します。
家庭でのルール作りと話し合い
SNSトラブルを防ぐためには、親子で話し合ってしっかりルールを決めることが重要です。利用時間、投稿内容などの具体的なルールを決め、子ども自身が納得して守れるように話し合いましょう。一方的に禁止するのではなく、なぜそのルールが必要なのか、SNSの危険性について具体的に説明することで、子ども自身が理解を深めて納得しやすくなります。
【話し合うポイントの例】
- スマートフォン使用のルール
「夜9時以降は使わない」「宿題が終わってから使う」など、具体的な時間を決めることがおすすめです。「自分の部屋に持ち込まない」「近くに親がいるときだけ使用する」などの使用場所に関する約束も良いでしょう。
- 投稿内容
「顔や本名がわかる写真を載せない」「家の場所が特定できる投稿はしない」など、個人情報に関するルールを明確にしましょう。
また投稿内容は「誰かを傷つけるものではないか」「世界中に広まっても大丈夫か」「数年後に見返しても恥ずかしくないか」など、どんなことに気をつけるべきか話し合ってみてください。
- アカウントの公開設定や友達申請
「非公開アカウントにする」「知らない人からの友達申請は受け付けない」「会ったことのある人だけに限定する」など、交友関係に関するルールを決めましょう。
- トラブル時の対応
「困ったことがあったら、すぐに親に相談する」「嫌なメッセージが来たら返信しない」など、具体的な行動を話し合いましょう。
フィルタリングの活用
フィルタリングサービスは、子どもがインターネット上の有害・不適切な情報にアクセスするのを制限することで、安心してインターネットが利用できるように手助けするサービスです。iPhoneやAndroidのスマートフォン端末にはフィルタリング機能が標準搭載されており、無料で簡単に設定できます。ほかにも携帯電話会社やプロバイダが提供しているサービスやフィルタリングアプリがあり、子どもの年齢や発達段階に合わせて設定が可能です。
ペアレンタルコントロールの活用
ペアレンタルコントロール機能は、子どものスマートフォンやタブレットの利用方法を親が管理する機能です。たとえば、利用時間の設定、不適切なサイトや動画の閲覧設定、アプリのダウンロード制限などが挙げられます。
また、アプリやゲームの利用状況を確認できる機能が備わっている端末もあり、子どもがデジタル機器を使いすぎていないか確かめたり、アプリ内課金ができないように設定して高額課金トラブルを防いだりできます。
ペアレンタルコントロールはスマートフォンやタブレットだけでなく、ゲーム機器でも設定できるものがあります。一度確認してみると良いでしょう。
有害なサイトへのアクセス制限
フィルタリングやペアレンタルコントロールのほかにも、有害サイトへアクセスしないように制限をする機能があります。併せて使用してみましょう。
- セーフサーチ
GoogleやBingなどの検索エンジンで搭載されている、成人向けページや刺激の強い表現を含むコンテンツを除外できる機能です。フィルターの強さを調節できるものもあります。
- Webフィルタリング機能
セキュリティソフトなどに搭載された、有害な情報が掲載されている不適切なWebサイトや、サイバー攻撃者によって作成・改ざんされたWebサイトへアクセスしないように制限をかける機能です。フィッシングサイトなどの閲覧を防止することができます。
まとめ
SNSは上手に使えば子どもたちの世界を広げるツールですが、さまざまな危険が潜んでいることも事実です。子どもたちが安全にSNSやインターネットを利用するために、家族で一緒にSNSの安全な使い方について話し合い、ルール作りやツールの活用を始めてみてください。
何よりも大切なことは、子どもが困ったときにいつでも相談できるような信頼関係を築いておくことです。日頃の親子のコミュニケーションを大切にしながら、安全にSNSを利用できるように見守りましょう。