ワンオペ育児とは?原因から解消方法まで徹底解説【体験談付き】
共働き家庭が増え、夫婦で協力して育児をすることが一般的になりつつあります。しかし、現実には夫婦のどちらかが一人で子育てを担う「ワンオペ育児」に悩む人が少なくありません。特に、パートナーの仕事が忙しい、頼れる親族がいないといった状況では、育児の負担が夫婦のどちらか一方に偏りがちです。
本記事では、ワンオペ育児の概要や原因、リスクを解説します。ワンオペ育児になりやすい人の特徴や、乗り越えるための対策も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
ワンオペ育児とは?言葉の意味と現状
そもそもワンオペ育児とは、どのような状況を指すのでしょうか。言葉の意味と現状、体験談もあわせて解説していきます。
ワンオペ育児とは
ワンオペ育児のワンオペは「ワンオペレーション(one operation)」の略語で、もともとは飲食店やコンビニなどで、一人の従業員がすべての業務をこなす状態を指す言葉です。このように一人で全ての業務を担う状況が近いことから、夫婦のどちらか一方に子育てや家事の負担が偏っている状態を「ワンオペ育児」と呼ぶようになりました。
以下のような状況に当てはまる場合、ワンオペ育児になっている可能性が高いといえます。
・パートナーが単身赴任や長時間労働で家にいる時間が少ない
・近くに頼れる親族や友人がいない
・育児について相談できる相手がいない
・パートナーが育児に協力的でない
・シングルマザーまたはシングルファザーである
・自分の時間をほとんど持てない
ワンオペ育児の状態が長く続くと心身に負担がかかりやすくなるため、後述する対策を早めに講じることが重要です。
ワンオペ育児の現状:なぜ起こるのか
ワンオペ育児が発生する原因は、大きく3つに分けられます。
・家庭の事情
パートナーが仕事で忙しく育児に関わる時間が少ないと、育児や家事の負担が夫婦のどちらか一方に偏りがちです。単身赴任や長時間労働の影響で、物理的に育児を手伝えないケースも多く見られます。
また、夫婦間で育児の意識に差があったり、家事・育児の分担が十分でなかったりすると、どちらかが「自分がやるしかない」と感じてしまい、結果としてワンオペになってしまうことがあります。
・社会的な背景
核家族化が進み、祖父母と離れて暮らす家庭が増えています。そのため、かつてのように親世代のサポートを受けるのが難しくなり、育児の負担が夫婦だけに集中しやすくなっている背景もワンオペ育児の原因のひとつです。
さらに、近所付き合いの希薄化が進んでいるため、昔のように「困ったときはお互いさま」と助け合う環境が減ってきています。その結果、親が一人で育児を抱え込むことが増えているのです。
・個人の意識
「母親・父親なんだから育児を頑張るのが当たり前」といった固定観念が根強く残っていることも、ワンオペ育児を引き起こす原因のひとつです。特に真面目で責任感の強い人ほど、「手を抜いたらいけない」と感じ、周囲に頼るのをためらってしまいます。
また、「パートナーに頼んでもどうせ分かってもらえない」「言うのが面倒」といった理由で、一人で頑張り続けてしまう人も多くいます。このような積み重ねが、ワンオペ育児の状態を深刻化させることにつながっているのです。
ワンオペ育児の実態:体験談から見る現状
ここからは、実際にワンオペ育児されている方の体験談をご紹介します。
体験談①:夜泣きとワンオペの過酷な毎日
Aさんは、夫が帰宅するのは毎晩深夜。1歳の娘は夜泣きがひどく、1時間おきに泣いて起きる状態でした。寝不足のまま朝を迎え、上の子を保育園に送る準備をしているうちに、娘がぐずり始め…。泣き声を聞くだけで涙が出そうになり、「私ばっかり、どうしてこんなに大変なの?」と追い詰められる日々が続いていました。
体験談②:ワンオペでの外出のハードルの高さ
Bさんは、3歳と0歳の兄弟を育てています。スーパーに買い物に行くのも一苦労。ベビーカーを押しながら、上の子が走り回らないよう目を光らせ、会計中にぐずられたらもう大変。周囲の視線を感じるたびに焦り、「買い物すらゆっくりできないなんて…」とため息をついていました。
体験談③:パートナーの理解不足に苦しむ
Cさんは、育児休業中。夫は「昼間は子どもと一緒にいられていいね」と軽く言いますが、実際は家事と育児で休む暇なし。子どもが昼寝している間に掃除や食事の準備をしていると、自分の時間はゼロ。夫に「少し手伝って」と言っても、「俺も仕事で疲れてる」と取り合ってもらえず、夫婦の会話も減ってしまいました。
ワンオペ育児によるリスク
これまでワンオペ育児の原因や現状について触れてきましたが、ここからはワンオペ育児が続くことによるリスクについて解説していきます。
母親に起こる問題
ワンオペ育児が続くと、母親の心身に大きな負担がかかります。慢性的な寝不足やストレスにより、体調を崩しやすくなり、うつや産後うつや育児ノイローゼを引き起こすことも。
また、周囲に相談できず一人で全てを抱え込むことで孤独感が増し、精神的に追い詰められて子育てが辛くなってしまうケースもあります。
子どもに起こる問題
親がワンオペ育児により心身ともに疲れ切っていると、子どもとのコミュニケーションが減ったり、子どもにイライラした態度をとってしまったりすることがあります。その結果、子どもが情緒不安定になり、自己肯定感が低くなることも。
また、親がストレスを抱えることで、子どもに対する接し方が厳しくなりすぎたり、逆に甘やかしすぎたりするケースも見られます。こうした影響が続くと、子どもの情緒の安定や社会性の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。
家庭に起こる問題
ワンオペ育児が長く続くと、日々の疲れやストレスから夫婦の会話が減り、気持ちのすれ違いが起こることも少なくありません。その結果、夫婦関係がギスギスすることがあります。特に、育児の負担が夫婦のどちらか一方に偏ると、片方に不満が募り、最悪の場合、家庭内の雰囲気が悪化することも。結果的に夫婦関係が冷え込んでしまう恐れがあります。
ワンオペ育児になりやすい人の特徴
ワンオペ育児に陥りやすい人には、いくつか特徴があります。それぞれの特徴を理解し、意識的にサポートを求めることが、ワンオペ育児を防ぐ第一歩となります。
真面目で完璧主義な人
「家事も育児も完璧にこなさなければならない」と考える人は、自分を追い込みやすく、結果としてワンオペ育児の負担が増してしまいます。「育児はこうあるべき」と理想を高く持ちすぎ、一人で抱え込んでしまう傾向があることも、ワンオペ育児になりやすい原因のひとつです。
また、真面目で完璧主義な人は「手を抜くのはよくない」と考え、結果的に自分を追い詰めることも少なくありません。
周囲に頼ることが苦手な人
次に、周囲に頼ることが苦手な人もワンオペ育児になりやすいです。「迷惑をかけたくない」「自分でやるのが当たり前」と考え、実家やママ友などのサポートを活用しないことで、孤立しやすくなります。その結果、ワンオペ育児の負担が増してしまいます。
パートナーとの連携が不足している人
パートナーとの連携が不足している人も注意が必要です。夫婦間で育児や家事の役割分担が曖昧だったり、話し合う機会が少なかったりすると、育児や家事の負担が片方に偏りがちです。特に、夫側が「育児は妻の役割」と考えている場合や、「パートナーは仕事が忙しいから仕方ない」と諦めてしまう場合、ワンオペ状態が固定化される原因になります。話し合いの機会を持ち、協力できる部分を増やしていくことが大切です。
ワンオペ育児を乗り越えるためには?
最後に、ワンオペ育児を乗り越えるための対策をご紹介します。ワンオペ育児の負担を減らし、心の余裕を持って育児に向き合える環境を作りましょう。
完璧主義をやめる
ワンオペ育児を続けていると、「全部自分でやらなきゃ」と考えがちですが、完璧を目指す必要はありません。「全部自分でやらなくていい」と意識を変えるだけで、気持ちがグッと楽になります。育児はチーム戦と考え、パートナーや周囲と協力しながら進めていきましょう。お惣菜や宅配食材、家事代行を活用するのも一つの手ですし、家事が少しくらい手抜きになっても大丈夫です。
また、育児についても完璧を求めすぎず、「今日はテレビを見せる時間が長くなっちゃった…」と罪悪感を抱くより、「子どもが機嫌よく過ごせたからOK」と前向きに考えることが大切です。
周りを頼る:相談窓口一覧
ワンオペ育児を乗り越えるためには、一人で抱え込まず、周りに頼ることが重要です。以下に頼れる相談窓口をいくつか紹介します。
・市区町村の子育て支援センター
子育てに関する悩みを相談できる場所。親子で参加できるイベントや講座もあり、地域のママと交流する機会も得られます。
・自治体のファミリーサポートセンター
仕事やリフレッシュのために子どもを一時的に預かってもらえるサービス。登録制で、近くの支援会員とマッチングすることで、保育園の送迎や急な用事の際に預かりをお願いすることができます。
・保健センターの育児相談
赤ちゃんの発育や離乳食、夜泣きなど、専門家に相談できる場。電話や面談で話を聞いてもらえます。
・オンライン育児相談サービス
オンラインで専門家に育児の相談ができるサービス。スマホで利用できる育児相談サービスも増えています。自宅にいながら気軽に専門家のアドバイスを受けられるのがメリットです。夜間でも相談可能な窓口があり、匿名で気軽に悩みを打ち明けられます。
・一時保育サービス
「一時預かり」とも呼ばれている、保護者が一時的に子どもを預かるサービスです。
リフレッシュのために利用するのも◎。一人で息抜きしたいときや急な予定が入ったときに役立ちます。
ワンオペ育児になりにくい環境を作る
ワンオペ育児になるのを防ぐには、日頃から周囲と協力しやすい環境を整えることが大切です。
・パートナーとの役割分担を明確にする
夫婦間で家事・育児の分担を見直し、お互いに協力し合える環境を作ることが大切です。夫婦で家事・育児の分担を決めておくと、どちらか一方に負担が偏るのを防げます。日々のタスクをリスト化し、できることをお互いに分担しましょう。
・地域の育児サポートを活用する
地域の子育て支援施設や、一時預かりサービスなどを積極的に利用すると、負担を軽減できます。子育て相談窓口に、どのようなサポートがあるのか確認してみましょう。
・ママ友や親族と交流を持つ
孤立した子育てにならないように、気軽に話せる相手を見つけるのも大切です。SNSのコミュニティや、育児イベントなどに参加し、情報交換ができる仲間を作りましょう。
まとめ
この記事では、ワンオペ育児の現状と原因、リスクやなりやすい人の特徴を解説しました。
ワンオペ育児は、心身ともに大きな負担となるものです。しかし、原因を理解して適切な対策を講じることで、負担を軽減できます。大切なのは、「一人で頑張りすぎないこと」です。
もしワンオペ育児の現状が辛い方がいらっしゃったら、記事の最後でご紹介したワンオペ育児を乗り越えるための対策を参考にしてみてください。パートナーとの協力体制を整え、周囲のサポートを活用しながら、無理なく育児を続けていける環境を作っていきましょう。少しずつでも工夫を取り入れ、より良い育児生活を目指していきたいですね。