保育園と幼稚園の違いを徹底比較!選び方のポイントと注意点

「保育園児は育ちが悪い」「幼稚園児のほうが勉強習慣がある」
そんな言葉を耳にして、不安を抱いたことはありませんか?
共働き家庭の増加にともない、保育園と幼稚園の違いが改めて注目されていますが、実際に子どもの成長にどのような違いが出るのか、気になる方も多いはずです。
本記事では、預かり時間や教育方針、家庭との関わり方など、保育園と幼稚園をあらゆる視点から徹底比較します。
お子さんにぴったりの園を見つけるための参考にしてください。
保育園と幼稚園で学力や費用に差はあるの?
保育園と幼稚園とで学力に差が出ると言われることもあるため、「保育園児だと小学校に入学してから勉強で苦労する?」「幼稚園の方が教育に力を入れているのでは?」と不安に感じる保護者もいるのではないでしょうか。
また、両者の費用面についてもどのくらい違うのか気になるところです。
ここでは、保育園と幼稚園の学力や費用の違いについてどのような差があるのか、それぞれの特徴を踏まえて紹介します。
学力格差は存在する?
一般的には、保育園よりも幼稚園の方が、小学校での学習を見据えた教育内容になっていると言われています。
実際、2010年に文部科学省が行った調査では、幼稚園の方が、保育園よりも学力が高い傾向にあるという結果も報告されています。
この結果だけを見ると、学力を重視するなら「幼稚園の方が有利」と感じるかもしれません。
しかし、最近では保育園でも国語や算数などの基礎的な学びを取り入れている園が増えています。
つまり、学力に差が出るかどうかは、「保育園か幼稚園か」だけでは判断できないということです。
重要なのは、それぞれの園がどのような教育方針を持ち、どんな環境を提供しているかという点になります。
参考:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/074/shiryo/attach/1298703.htm
かかる費用に差はあるの?
保育園と幼稚園の費用は、年齢や施設の種類、自治体の制度によって異なります。
2019年10月から「幼児教育・保育の無償化」が始まり、3歳から5歳までの子どもを対象に、保育園・幼稚園ともに利用料は原則無償となりました。
したがって、3歳以降の費用差はそれほど大きくありません。
ただし、保育園では0〜2歳児クラスがあり、この年齢の保育料は世帯の住民税所得割額やきょうだいの有無などによって金額が変わります。
月額数千円〜10万円超と幅があり、自治体によっては2人目は半額、3人目以降は無償といった軽減策を設けている場合もあります。
幼稚園は、対象年齢が3歳〜5歳であり、「子ども・子育て支援新制度」の対象となる園であれば月額2万5,700円までが無償となります。
それを超える分や給食費・教材費などの実費は保護者負担です。
施設によっても異なり、2021年度の平均支払額は、公立で年間約7万5,000円、私立で約16万5,000円となっています。
補助内容や費用の詳細は自治体によって異なるため、園を選ぶ際には事前に確認しておきましょう。
保育園と幼稚園の違い:基本情報

どちらも子どもを預かる施設ですが、設置目的や運営主体、預かり時間、対象年齢など、さまざまな点で違いがあります。
そのため、まずは保育園と幼稚園の基本的な違いについて確認しておきましょう。
目的と対象年齢
保育園と幼稚園はどちらも子どもを預ける施設ですが、その目的や対象年齢には違いがあります。
まずはこの2つの違いについて確認していきましょう。
項目 | 幼稚園 | 保育園(保育所) |
目的 | 幼児を保育し適当な環境を与えて心身の発達を助けること | 保護者の委託を受け保育に欠ける乳幼児を保育すること |
対象年齢 | 満3歳~小学校就学前まで | 0歳(乳児)~小学校就学前まで |
このように、目的と対象年齢の点から見ると、幼稚園は教育を重視し、主に3歳以上の幼児が通う施設であるのに対し、保育園は家庭での保育が難しい乳幼児のための支援を行う施設というのが違いになります。
保育時間と日数
保育園と幼稚園では、「年間の保育日数」や「1日の保育(教育)時間」にも明確な違いがあります。
共働き世帯にとっては特に重要なポイントとなるため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
下の表に、主な違いをまとめました。
項目 | 幼稚園 | 保育園(保育所) |
保育日数 | 年間39週以上(夏休み・冬休み・春休みあり) | 年間約300日(日・祝・年末年始以外は開所) |
1日の時間 | 教育時間は原則4時間以上(9時~14時が一般的)※預かり保育あり(朝7:30~18:00頃まで) | 原則8~11時間(短時間8時間・標準時間11時間)※延長保育で20時頃まで可能 |
このように、保育園は年間を通じて長時間の保育に対応しているため、フルタイムで働く保護者には利用しやすい環境が整っています。
一方、幼稚園は教育時間が中心となるため、預かり保育の有無や時間帯などを確認しておくと安心です。
費用:無償化の範囲と違い
幼稚園と保育園の違いの1つとして、費用が挙げられます。
それぞれ無償化の範囲が異なるために、費用の違いが発生します。
具体的には、子どもの年齢や世帯の状況によって、対象の条件や内容が変わります。
以下の表に、無償化の対象となる範囲と条件をまとめましたので、ご確認ください。
項目 | 幼稚園 | 保育園 |
対象年齢 | 3~5歳(全ての子ども) | 0~2歳(住民税非課税世帯)3~5歳(全ての子ども) |
無償化の利用料 | 月額上限2.57万円まで無償化 | 3~5歳は利用料全額無償化0~2歳(住民税非課税世帯)は全額無償化 |
無償化の期間 | 満3歳の4月1日から小学校入学前までの3年間 | 3~5歳は無償化、0~2歳は住民税非課税世帯対象 |
保育の必要性の認定 | 必要なし | 必要あり(認定が必要) |
追加費用 | 通園送迎費、食材料費、行事費 | 通園送迎費、食材料費、行事費 |
このように、無償化の範囲に関して、幼稚園と保育園にはいくつかの違いがあります。
幼稚園は3〜5歳の子どもが無償化対象となり、月額上限が2万5,700円です。
保育園では、0〜2歳の住民税非課税世帯の子どもも対象で、3〜5歳の子どもは無償化が適用されますが、「保育の必要性の認定」が必要です。
また、幼稚園の預かり保育は月額1万1,300円まで無償化される場合もあります。
利用する施設によって条件が異なるため、詳細は各市区町村で確認するとよいでしょう。
保育園と幼稚園の違い:教育・保育内容
保育園と幼稚園には、対象年齢や運営の目的に違いがあります。
それぞれの施設が持つ特徴について、違いを詳しく見ていきましょう。
保育内容
もっとも大きな違いは、預ける目的と保育内容です。
幼稚園は教育を受けさせることを主な目的としており、学習を重視しています。
一方、保育園は親の事情で保育ができない時間に代わりに保育をしてもらうことを目的としており、基本的な生活習慣の指導や、コミュニケーション能力を育む活動が中心です。
ただし、近年では保育園でも教育面に力を入れるところが増えています。
読み書きや英語といった学習活動を取り入れている保育園も多く、保育園でも学びの場が広がりつつあります。
カリキュラム
保育園と幼稚園では、カリキュラムにも違いがあります。保育園では、子どもたちがのびのびと過ごし、遊びを通して学ぶことが中心です。
カリキュラムは、子ども一人ひとりの成長に合わせた柔軟な内容となっており、生活習慣や社会性、体力づくりを重視しています。
日々の生活の中で、友達と一緒に遊ぶことや、自然との触れ合いを通じて学びを深める場が多いです。一方、幼稚園のカリキュラムは、より教育的な側面が強いのが特徴です。
読み書きや数字の学び、体育や音楽などを通して、子どもたちの知識や技能を育むことが目的となっています。
また、集団生活の中でルールを守る力や協調性を養う活動も組み込まれており、学びの基盤を作ることが重視されます。
保育園と幼稚園の違い:先生と施設の設備
保育園と幼稚園は、保育内容や目的が異なるだけでなく、先生の資格や施設の設備にも違いがあります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
先生の資格
保育士になるには、厚生労働省が管轄する「保育士資格」が必要です。
これは児童福祉法に基づいた国家資格で、子どもの生活全般を支える専門職になります。
一方、幼稚園教諭になるには、文部科学省が管轄する「幼稚園教諭免許」を取得しなければなりません。
こちらは教育職員免許法に基づく教員免許で、小学校教育へつなぐ学びの土台を育てる役割を担います。
このように、どちらも専門的な資格ですが、管轄する省庁や目的とする内容に違いがあります。
施設の設備
保育園は生活重視、幼稚園は教育重視の設備であることが特徴です。
保育園は、0歳から6歳までの子どもが長時間過ごすことを想定し、乳児用スペースやお昼寝設備、広めの遊び場など生活に必要な設備が整っています。
一方、幼稚園は3歳以上の子どもを対象に、教育を重視した教室や図書室、音楽室など学びの環境が充実しています。
給食
幼稚園では、給食の提供が義務ではないため、お弁当を持参する場合が多いです。
ただし、食育のために給食を提供している園もあります。
給食を提供する場合、園内で手作りするか、外部業者に委託していることが一般的です。
保育園では給食の提供が義務付けられており、園内に調理室を備え、栄養やアレルギーに配慮した給食が提供されます。
自園で調理する場合が多いですが、一部の保育園では外部委託の給食を提供しています。
保育園と幼稚園:選び方のポイントと注意点

保育園と幼稚園を選ぶ際には、家庭の状況やニーズを考慮することが重要です。
自分の生活スタイルや子どもの成長に合った施設を選ぶためのポイントを紹介します。
家庭の状況とニーズ:預かり時間、教育方針、費用
まず、預かり時間について考えましょう。
保育園は保護者の仕事などで長時間の預かりが可能ですが、幼稚園は主に午前中のみの保育であることが多いです。
仕事の時間や生活リズムに合わせて選ぶことが大切になります。
次に、教育方針です。
幼稚園は学習を重視したカリキュラムが多く、保育園は基本的な生活習慣や社会性を育むことに重点を置いています。
家庭で何を重視したいか、子どもにどのような成長を促したいかを考慮して、教育方針が合った施設を選びましょう。
最後に、費用も大きな要素です。
幼稚園は公立・私立に関わらず、費用がかかる場合が多いです。
しかし、保育園は自治体の支援を受けられる場合があり、比較的安価に利用できることがあります。
自分の予算に合った施設を選びましょう。
園の見学と情報収集:納得できる園選び
園を選ぶ際は、実際に見学に行くことが重要です。
施設の清潔さや環境、保育者の対応などを直接確認しましょう。
また、どのような活動が行われているのか、子どもたちの様子もチェックするポイントです。
見学の際に質問をし、納得いくまで園の方針や教育内容について理解を深めてください。
また、保護者の口コミや評価も参考になります。
他の保護者がどのような体験をしているのか、実際に通わせている人からの意見を聞くことで、選択肢を絞る手助けになります。
情報収集をしっかり行い、自分と子どもにとって最適な園を選びましょう。
まとめ
子どもを幼稚園に預けるか保育園に預けるかを考える際、それぞれの違いを知ることは重要です。
保育園は、保護者の就労などの事情で長時間預けることができ、生活習慣や社会性を育むことに重点を置いています。
一方幼稚園は、学びに向かう姿勢を育むため、遊びを通じて教育が行われ、学習活動にも力を入れています。
適切な施設を選ぶには、家庭のニーズに合わせた預かり時間や教育方針、費用面を考慮することが大切です。
園の見学をしたり口コミを確認したりするなど、情報収集を通じて、実際の環境や活動内容を確認し、納得のいく園選びをしましょう。