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「放任主義」の育て方は子どもにどう影響する?自主性を伸ばす関わり方

放任主義の定義と特徴

「放任主義」という言葉を聞くと、「子どもの主体性を大切にする育て方」といったイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

子どもの判断に任せることは、自主性や自立心を育てるために欠かせません。ところが、接し方によっては放任ではなく放置になってしまい、子どもに孤独感や不安を与えてしまうことも。

この記事では、放任主義の定義と特徴、子どもに与える影響をメリット・デメリットの両面から解説します。さらに、失敗しないための実践ポイントや、親が持つべき心構えもご紹介します。子どもの主体性を育てたいけれど、どこまで任せればいいのかと迷っている保護者の方は、ぜひ参考にしてください。

放任主義の定義と特徴

まず初めに、放任主義の定義・特徴と、放置との違いを見ていきましょう。

放任主義とは

放任主義は、子どもが自分で選択し行動することを尊重する子育ての方法です。親が先回りして決めるのではなく、子どもの意思を優先し、失敗することも成長の一部として受け入れる育て方と言えるでしょう。

子どもの発達段階によって、放任主義がもたらす効果は変わります。幼児期には、自分でやってみたいという欲求を満たすことで自立心が育まれ、小学生の時期には責任を持ってやり遂げる体験を重ねることが自信につながります。さらに思春期以降では、親から信頼されて任されているという実感が、自己肯定感を支える大切な要素になるのです。

ただし、放任主義は親が楽をするための方法ではありません。むしろ、親は忍耐強く見守り、必要なときにだけサポートをする姿勢が求められます。子どもを信じて任せる勇気と、見守る覚悟が必要な育て方と言えるでしょう。

「放置」との違い

放任主義と放置の最大の違いは、親が関心を持っているかという点です。放任主義は、自由を与えつつも子どもの行動を見守り、困ったときには支える準備があります。一方で放置は、子どもの様子を気にかけず、困っていても手を差し伸べない状態です。

例えば、学校で友達とトラブルになった際、放任主義の親は「どうしたの?」「自分で解決できそう?」と対話を重ね、子どもが考えるきっかけを与えます。しかし放置している親は、自分で勝手にやりなさいと子どもを突き放し、孤独感を与えてしまいます。

つまり、放任主義は愛情を持った自由の尊重であり、放置は無関心による放棄と言えます。違いを理解しないまま、うちは放任主義だからと放置に偏ってしまうと、子どもの心に大きな影響を残してしまうかもしれないため、注意しましょう。

放任主義のメリット

ここからは、放任主義の子育てによるメリットをご紹介します。

自立心が育つ

放任主義の最大のメリットは、自立心の育成です。親に任せてもらえる経験は、自分にできるという自信につながります。幼児期は、自分で食べたり、靴を履いたりしたいといった欲求が芽生えますが、ここで親が手を出しすぎると挑戦する気持ちがしぼんでしまいます。放任主義はこういった、自分でやってみたいという気持ちを尊重するのです。

小学生になると、宿題をやる順番や明日の準備をいつするかなど、判断することを求められます。ここでも親が先に決めず、子どもに任せることが自立心を育てる土台となります。中高生になると進路や友人関係など、人生に関わる選択が増えていきますが、放任主義で育った子どもは自分で選ぶ責任を理解しているため、選択に主体性を持てるのです。

問題解決能力の向上

放任主義の環境では、自分の力で課題に立ち向かう機会が増えます。親がすぐに答えを提示しないため、どうしたらうまくいくだろうと考える習慣が身につくのです。その結果、問題解決能力が育まれるメリットがあります。

まず幼児期では、小さなトラブルが問題の中心です。おもちゃを取り合ったり、ブロックがうまく組み立てられなかったりといった場面で、自分なりに工夫する経験を重ねられます。小学生になると、勉強のつまずきや友達関係のトラブルなど、より複雑な問題に直面します。問題に直面した際に、どうしたら解決できるかを試行錯誤することで、冷静に物事を考える力が育まれるのです。さらに思春期以降には、進学や部活動など大きな課題に直面しますが、放任主義で育った子どもは、まず自分で考えるという姿勢を持ちやすいです。

問題解決能力は社会に出てからも欠かせないスキルの一つです。親が信じて任せる姿勢を持つことで、子どもは一生ものの財産を身につけていきます。

個性を伸ばせる

放任主義のもう一つの強みは、子どもの個性を伸ばせることです。親があれこれ指示せずに見守ることで、子どもは自分の興味関心を追求できます。絵を描くのが好きな子、体を動かすのが好きな子、静かに本を読むのが好きな子、どの子も好きなことをやっていいと思えることで、自分らしさを大切にできるのです。

個性を伸ばす環境は、心理的安全を生みます。「失敗しても受け入れてもらえる」「挑戦しても大丈夫」という安心感があるからこそ、新しいことにもチャレンジできます。結果として、自己表現力や創造力の発達にもつながっていくのです。

放任主義のデメリット

放任主義のデメリット

放任主義にはメリットがある一方で、注意点もあります。ここでは放任主義のデメリットをご紹介します。

無関心による孤立を招くことがある

放任主義のつもりでも、子どもは放置されていると感じることがあります。親があまりに口を出さないと、自分に興味がないのではと誤解してしまうのです。孤立感は自己肯定感の低下や不安につながることもあるため、注意が必要です。

特に小学校低学年の時期は、まだまだ親の存在が大きな支えです。そういった時期に、子どもが孤立を感じてしまった結果、親子の信頼関係が弱まる恐れもあるのです。

社会性を身につけにくい可能性がある

放任主義によって、社会性の発達に遅れが出る可能性があります。自由を与えられることによって、主体性は育ちますが、協調性や他者との関わり方は身につきません。

例えば、友達と遊んでいる際に、自分のやりたいことばかりを優先してしまうことがありますよね。自分で気付いて上手くやってもらおうと見守ることも大切ですが、必要に応じて相手の気持ちも考えてみようといったヒントを与えることも大切です。親のちょっとした声かけが社会性を身につけるきっかけになります。そのため、自由と見守りのバランスを上手く保つのがおすすめです。

失敗しない放任主義のポイント

ここからは、放任主義を実践するうえで押さえておきたいポイントをご紹介します。

放置・無関心はNG!子どもの動向を把握する

自由を与えることと、無関心でいることは全く違います。放任主義だからと完全に手を引いてしまうと、子どもは自分には関心がないのかもと感じ、心に不安や孤独を抱える可能性があります。放任主義の本質は、信じて任せることであり、放置することではありません。

放置・無関心にならないためには、子どもの様子をよく観察することが欠かせません。毎日の小さな変化に気づき、今日は元気か、最近悩んでいる様子はないかと把握することにより、安心感につながります。

例えば、学校から帰ってきた際に、今日はどうだった?と声をかけてあげましょう。少しの声かけによって、自分を見てくれているんだと子どもが実感できるのです。

決めるのは子ども、手伝うのは親

放任主義では、最終的な判断や選択を子ども自身に委ねます。親の役割は必要な情報を提供することや、考えるヒントを与えることです。

例えば進路を選ぶとき。子どもが、将来は理系に進みたいと考えているなら、親はオープンキャンパスや説明会の情報を共有したり、一緒に学校を見学したりすることができます。最終的にどこに進むかを決めるのは子ども自身ですが、親が環境を整えることで選択がより現実的で安心できるものになります。

このように伴走する姿勢を見せることで、子どもは自分の意見を尊重してもらえたと感じると同時に、親は助けてくれる存在だと理解し、安心して挑戦することができるのです。

守るべきルールを明確にする

自由を尊重する放任主義の中でも、家庭内における最低限の約束ごとを明確にしておくことが重要です。

例えば、夜は21時までに寝る、人を傷つける言葉は使わないなど、安全や健康、他者との関係に関わるルールは親がはっきり示す必要があります。ただし、一方的に押し付けるのではなく、子どもと一緒に話し合って決めましょう。そうすることで納得感が生まれ、ルールを守りやすくなりますよ。

親子の信頼関係を大切にする

放任主義を成功させる土台には、親子の強い信頼関係が必要です。子どもが自分を信じてくれていると実感することにより、自主的に挑戦する勇気を持つことができるのです。一方、信頼が弱い状態で自由だけを与えると、不安や迷いが大きくなり、放任主義はうまく機能しません。

信頼関係を育むには、日常の小さなやりとりが大切です。「ありがとう」「頑張ったね」といった承認の言葉をかけたり、子どもが話すことに耳を傾けたりすることで、子どもは「自分は大切にされている」と感じます。

信頼関係がしっかりと築かれていれば、子どもは安心して自由に行動できます。そして「困ったときは親に相談できる」という心の支えがあるからこそ、失敗を恐れずに挑戦できるようになるのです。

放任主義で親がもつべき意識

放任主義で親がもつべき意識

放任主義を実践する際には、親自身の心構えも非常に重要です。最後に、親が意識すべきポイントをご紹介します。

自信をもって子育てをする

放任主義で子育てしていると、「これでいいのかな?」と不安になることがあるかもしれません。しかし、親の迷いや不安は子どもに伝わってしまうものです。そのため、まず親自身が自信をもって子育てをする必要があります。

大切なのは、完璧な子育てを目指さないことです。間違えても大丈夫だという柔軟な考え方を身につければ、日々の予想外の出来事も成長の機会として受け止められるようになりますよ。

自分の判断力を信頼し、子どもをよく観察し、その子に合った選択をしていく積み重ねが、揺るぎない子育ての軸となり、親としての自信を支えてくれるのです。​​​​​​​​​​​​​​​​

放置・無関心ではなく「見守る」意識をもつ

放任主義では、親は何もしないと誤解されがちですが、実際には見守る意識が不可欠です。見守るとは、子どもが自分で考え行動することを尊重しつつ、必要なときに手を差し伸べられる状態を作ることを意味します。完全に放置してしまうと、子どもは孤独や不安を感じやすくなってしまいます。

見守るためには、日常的な観察や声かけが重要です。遊びや学習の最中に問いかけたり、行動の変化に気づいたときにさりげなく声をかけたりしましょう。

危険行為や迷惑行為は見逃さない

自由を尊重する放任主義でも、危険行為や他者への迷惑行為は見逃せません。子どもが安全や社会性を学ぶためには、親が適切なタイミングで介入することが不可欠です。道路に飛び出す、危険な遊びをする、友達を傷つけるといった行動は、自由とは関係なく、親の注意やルール指導が必要です。

介入の際には、感情的に叱るのではなく、なぜ危険か、どのような影響があるのかを具体的に伝えることが大切です。「車に近づくと危ないよ」「人のものを勝手に使うと悲しい気持ちになるよ」と説明することにより、子どもに納得感が生まれます。

さらに、危険や迷惑を避けるだけでなく、失敗したときのリカバリー方法を一緒に考えるのも効果的です。もしやってしまったらどうすればいいかを話し合うことで、子どもは安全や責任を自分で考える習慣を身につけられます。自由と安全、責任を両立させるための関わりこそ、放任主義を成功させる大事なポイントなのです。

まとめ

放任主義は、自立心や問題解決能力、個性を伸ばすといったメリットがある一方、無関心に傾けば孤立や社会性の不足を招くリスクがあります。成功のポイントは、自由を与えつつも、しっかりと見守ること。親は信頼を土台に伴走し、必要なときに手を差し伸べることが求められます。

放任主義は、手を放すことではなく、子どもの可能性を信じて支えることです。見守る意識を持つことで、親子の信頼関係がより強固なものとなり、子どもの自立心も育まれるでしょう。

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