見逃してない?子どもの愛情不足のサイン

「子どもの行動で気になることがある。もしかして愛情不足?」「子どもの愛情不足って、どんな特徴があるのだろう」このような疑問はありませんか。
多くの保護者は、子どもが赤ちゃんのうちから毎日子どものお世話をしたり、遊んだりして、充分愛情を持って関わっています。しかし、保護者の忙しさや、下のきょうだいが生まれるなどの環境の変化によって、愛情が充分に届いていない可能性もあります。
この記事では、次のことを解説します。
- 愛情不足のサイン
- 愛情不足の原因と関わり方のヒント
- 悩んだときの相談先
ぜひ最後までお読みください。
愛情不足のサイン:こんな特徴に注意
子どもによって愛情を受け取る器の大きさが違うので、愛情深く関わっているつもりでも、子どもにとっては足りないということも起こります。この章では、愛情不足状態の子どもが発するサインを紹介します。次のようなサインを見つけたら、早めに対応することがおすすめです。
【行動】甘え、わがままの増加
子どもが甘えたり、わがままを言ったりすることは普通のことですが、愛情不足の場合は「以前よりも要求が増えたな」と感じるでしょう。「抱っこして」「おもちゃ買って」など、頻度が増えたように感じるときには「触れ合って安心したい」「自分を見てほしい」とサインを出しているのかもしれません。さらに愛情不足が深刻化すると、親に甘えようとしなくなり、先生など親以外の人に甘えるようになります。
【情緒】癇癪、落ち着きのなさ
愛情は子どもの情緒の安定を図るために大切なものです。しかし、愛情が不足していて不安な状態のときは癇癪をおこしやすくなったり、落ち着かない状態になったりすることがあります。また、人から注目を浴びたくて、ダメと分かっていることをわざとすることもあります。
【発達】言葉、遊びの遅れ
保護者と関わる経験が少ないことで、言葉や遊びの遅れが見られることがあります。安心できる相手とのコミュニケーションの時間が少ないことで、言葉を使ったり遊んだりする機会が少なくなり、遅れにつながります。ただ、発達に関しては個人差も大きいので、心配なときは専門家に相談すると良いでしょう。
【食事・睡眠】食欲不振、夜泣き
まだ自分の言葉でうまく気持ちを伝えられない乳幼児は特に、心の不調が体に出ることがあります。不安が強いと、消化器官の働きが弱くなって食欲不振につながったり「起きたらママやパパがいないかもしれない」という不安から、夜泣きをしたり眠るのが怖くなったりする子どももいます。
【自己肯定感】自信のなさ、挑戦を嫌がる
自己肯定感が育まれないことにより、子どもの自信がなくなることがあります。
生後6~12ヶ月頃から人見知りが始まり、2~3歳頃までの間に特定の相手(保護者)との愛着を形成します。特定の相手と愛着関係を築くことで協調性の基礎ができ、自信・安心感・信頼感の獲得につながるのです。しかし、愛情不足によって愛着形成がうまくできないと、自己肯定感が育まれず、挑戦を嫌がることにつながります。
愛情不足の原因:もしかして?
保護者のほとんどは愛情を持って子どもと関わっていると思いますが、家庭の状況によっては子どもの様子に変化が出ることもあります。この章では、愛情不足の状態になっている原因を解説します。
子どもとの時間不足
関わる時間が少ないことで、愛情不足を感じることがあります。例えば、保護者が仕事や家事に追われていて一緒に過ごす時間が少ない、同じ空間にはいるけれど下のきょうだいのお世話をして充分に関われていないなどが挙げられます。
感情的な叱責
子どもがいけないことをしたときには叱ることが必要です。しかし、大きな声で怒鳴ったり、暴言を吐いたりして感情的に叱ることが続くと、子どもは恐怖を覚えます。「自分はダメなんだ」と自信をなくしてしまい、保護者が愛情を持っている場合でも愛されていないと感じます。
気持ちに寄り添う余裕なし
保護者自身に余裕がないことで、子どもの気持ちに寄り添う余裕がないことも、愛情不足の原因として挙げられます。「本当は寄り添いたいけど、家事や仕事で時間がない」「育児に疲れてしまい、メンタルが疲弊している」など、家庭によってさまざまでしょう。
孤立した育児環境
ワンオペ育児の家庭、近隣に頼れる人がいないなどで孤立した環境の場合、保護者に余裕がなくて子どもに寄り添って過ごせなくなることも多いです。その結果、子どもと充分に関わる時間や精神的な余裕がなくなることがあります。
愛情不足を解消するために

愛情不足を解消するためには、子どもの気持ちを早いうちに満たしてあげるのがおすすめです。具体的な方法を4つ紹介します。
触れ合う時間を作る
子どもと触れ合う時間を作ってみましょう。抱っこの要求があれば応じたり、一緒に遊んだりします。触れ合う時間は質が重要なので、短時間でも構いません。極端にいえば、保護者がスマホを片手に操作しながら12時間遊ぶより、子どもとじっくり1時間遊ぶ方が子どもの満足度は高いです。
「平日は忙しいから」と週末にまとめて触れ合うよりも、毎日15分程度の短時間でも積み重ねて関わることがおすすめです。短時間でもできる子どもとの触れ合いを紹介しますので、よかったら取り入れてみてください。
- 15分間は家事や仕事をせずに子どもと一緒に遊ぶ
- わらべうた遊びやふれあい遊びを一緒にやってみる
- お風呂で一緒に遊んだり、その日の出来事を話したりする
- 寝る前に絵本の読み聞かせをする
- 寝かしつけのときにハグをしたり「大好きだよ」と伝えたりする
気持ちを受け止め共感
もし子どもがわがままを言ったときでも、一度子どもの気持ちを受け止めて共感しましょう。例えば「車のおもちゃがほしい」とわがままを言うときには「そうなんだね。この車、かっこいいから欲しくなっちゃったよね」といったように、共感してあげるとよいでしょう。
大人でも頭ごなしに否定されるより、一度は受け止めてもらいたいですよね。まだ話すことが難しい年齢の子どもの場合も、代弁してあげると良いでしょう。共感することで「気持ちを分かってくれた」と子どもは安心します。
ただ、共感はしても、毎回子どもの言いなりにはならないようにしましょう。先ほどの車のおもちゃの例では「でも、今日は買わない約束をしていたね」「お誕生日がきたら買おうか」などと伝えても良いですね。もちろん子どもとよく話し合って、お互いに納得すれば買っても良いとは思いますが、毎回子どものわがままな要求を飲む必要はありません。もし事前に子どもと約束をしていたのであれば「約束は破っても良いものだ」と子どもが認識してしまうので、約束を守る方が良いでしょう。
良い行動を具体的に褒める
良い行動を褒めることは多いと思いますが「すごい!」「さすがだね」だけでなく、どのような点がすごいのかを伝えてあげてください。もし食後に食器の片づけを手伝ってくれたら「〇〇ちゃんが運んでくれたから、ママは何回もテーブルまで行かなくて済んだよ。助かった!」「両手でそーっと食器を持って、上手に歩けていたね!」など、具体的に伝えられるとちゃんと見てくれていると感じます。
また、小学校低学年くらいまでは、日常でやっている当たり前のことを褒めるのもおすすめです。「靴を脱いだあと、いつもきれいに揃えられているね」「いつも丁寧に手洗いをしているね」などと改めて伝えることで、子どもの自己肯定感も上がります。
家族で協力する
思い通りにいかないことが多い、子どものお世話。育児は家族の協力がないと、子どもに向き合い続ける保護者が苦しくなります。できるだけパートナーや家族と協力して育児や家事をすることが望ましいです。育児と家事を家族にまかせて、ときには休息をとったり外出したりすることも大切です。しっかり休んで子どもに寄り添う余裕を蓄えましょう。
事情があり協力体制を整えることが難しいときには、住んでいる自治体の窓口や、子どもが通う園に相談してみましょう。
専門家への相談も検討

「うちの子、もしかして愛情不足なのかな」「発達障害なのか、愛情不足なのか分かりにくい」と思ったときに、相談できる専門機関をご紹介します。
支援センター、相談窓口
地域の相談窓口には、以下のようなものがあります。家庭内だけで悩むと苦しくなることもあります。話をするだけでも状況が整理できて、子どもや家庭に合った子どもとの関わり方のヒントを得られますよ。
- こども家庭支援センター
妊産婦や子ども・子育て世帯を対象に、福祉・教育・医療などの多方面から一体的に支援を行います。地域に根付く、身近な子育ての相談窓口です。
- 児童相談所
原則18歳未満の子どもに関する相談を受け付けています。しつけ、発達の遅れ、愛着障害など、子育てに関するさまざまな相談が可能です。
- 児童発達支援センター
発達などに関する困りごとがある子どもが通所します。療育を受けて自立に必要な動作や、集団生活に向けての練習をする場です。家族への助言や幼稚園・保育園や学校への訪問支援も行います。
児童精神科、発達外来
診断や専門的な治療が必要なときには、児童精神科や発達外来を受診しましょう。医師が診察やカウンセリングを実施し、治療計画を立てていきます。
まとめ
子どもと過ごす時間が少ない状態が続いたり、子どもが保護者に対して常に緊張状態にあったりすると、心身ともに影響が出てきます。なるべく早い段階で子どもとの関わり方を見直してみましょう。また、子どもの問題行動が必ずしも愛情不足が原因とは限りません。子どもの成長は個人差も大きく、発達の特性が起因することもあります。悩んだときには専門家に相談してみましょう。