「幼稚園行きたくない」に寄り添う:子どもの気持ちを理解して笑顔で登園へ

「子どもが幼稚園に行きたがらず、どう対応したらいいか分からない」と、不安や戸惑いを感じたことはありませんか?休みたいと言われたときに「子どもの希望通りに休ませてもいいの?」など、どう対応したら良いのか分からないこともあるかもしれません。
登園渋りは特別なことではなく、多くの子どもに見られます。大切なのは「どうして行きたくないのか」という子どもの気持ちに寄り添い、親子で一緒にその原因を見つけていくことです。
この記事では、子どもが幼稚園に行きたくないと感じる理由や登園渋りの子どもへの対応方法、NG対応まで、幅広く紹介します。子どもが笑顔で登園できるヒントになれば幸いです。
幼稚園行きたくない「登園渋り」の主な理由
登園渋りの理由はさまざまで、複数の理由が絡み合っている場合もあります。ここではよく見られる代表的な理由を紹介します。
新しい環境への不安
大人でも新しい環境や職場では不安を感じることがありますよね。子どもも同じで、環境の変化は大きなストレスになり、次のようなタイミングは登園渋りが出やすい時期です。
- 入園
- 進級・クラス替え
- 先生の交代
- 運動会などの行事が近い時期
- 長期休み明け
- 家庭の変化(下の子が生まれた、引っ越しをした など)
特に、慎重な性格の子どもや、幼稚園が初めての集団生活の場である子どもの場合、新しい環境に慣れるまでに時間がかかる傾向があります。子どもの不安を受け止めながら、家ではゆっくりリラックスして過ごせるようにすることが大切です。
友達や先生との人間関係
子どもは幼稚園で友達や先生との関わりを通して、人間関係やコミュニケーションの取り方を学んでいきます。しかし、友達との喧嘩や先生に叱られたことなどをきっかけに、幼稚園に行きたがらなくなることもあります。大人から見たら些細なことでも、子どもにとっては大きな心の負担になることがあるため、子どもの気持ちを受け止めて対応しましょう。
体調がすぐれない
子どもは自分の体調不良をうまく言葉にすることができないため、登園を渋るときに体調をくずしていることがあります。特に「体がだるい」「頭が痛い」「お腹が痛い」など、目に見えにくい体調不良のときには大人も気がつきにくく、子どもも言葉にしにくいため「幼稚園に行きたくない」と訴えていることもあるのです。また、視力や聴力の低下など、体の機能が低下していることで不調をきたしている場合があります。
風邪の引き始めや、疲れがたまっているときなど、普段とは違う体調の変化が見られる場合は、無理に登園させず、子どもの体調を優先してお休みしましょう。
また、夜更かしをすることで寝不足になることも、登園渋りにつながります。早寝早起きを心がけ、規則正しい生活リズムで生活することも大切です。
親と離れるのが嫌
特に入園してすぐの年少クラスの頃には「ママ・パパと離れるのが嫌」という理由で登園を嫌がる子どもがいます。入園前に親子で過ごすことが当たり前だった子ども達にとって、園でママやパパと離れる寂しさや不安を感じるのは自然なことです。園生活に慣れてしまえば改善することが多く、一時的にしか続かないことがほとんどなので、親子の時間を増やしたり、ポジティブな言葉で子どもが安心して過ごせるようにしましょう。
しかし、複数の要因が絡み合っていたり、子どもの気質や特性によっては長引く可能性があります。心配な場合は医療機関や保健センターなどの専門家に相談してみることも1つです。
幼稚園に行きたくない子どもへの対応方法

この章では、子どもの気持ちに寄り添いながら、登園のハードルを少しでも下げるための方法を紹介します。
まずは子どもの話を聞く
「幼稚園に行きたくない」と子どもが言ったときには、まず子どもの話に耳を傾けることが大切です。頭ごなしに「行きなさい」と叱ったり、理由を聞かずに無理やり連れて行こうとしたりするのはやめましょう。
「そうなんだね、行きたくないんだね」と共感することで、子どもは「気持ちを受け止めてもらえた」と安心します。気持ちを受け止めたうえで「どうして行きたくないの?」と聞いてみても良いですが、子どもが話したがらなければ無理に聞き出す必要はありません。うまく言葉にできないときには「寂しいよね」「ドキドキするよね」などと、保護者が子どもの気持ちを代弁してあげるのも良い方法です。
無理に登園させず、休ませる
子どもが本当に辛そうにしている場合は、無理に登園させずに休ませることも選択肢の1つです。特に、体調不良や精神的に追い詰められているときは、無理強いすることで症状がさらに悪化することがあります。
「休んで癖になったらどうしよう」という心配もあるかもしれませんが、一度休ませてあげることで子どもがリフレッシュし、安心して登園できるようになることもあります。休む前に「今日は特別にお休みするよ。お休みして元気をためて、明日は幼稚園に行こうね」などと子どもに伝えておくのも良いでしょう。
ポジティブな声掛けをする
子どもが「幼稚園に行ったらどんな楽しいことがあるか」をイメージできるような、ポジティブな声掛けも効果的です。声かけの例には次のようなものがあります。
- 「〇〇くん(ちゃん)、好きなおもちゃで遊べるの楽しみだね!」
- 「今日は△△をつくるって先生が言ってたね!」
- 「先生が〇〇くん(ちゃん)のことを待ってるよ」
- 「幼稚園に行ったら、〇〇ちゃんが待ってるよ!」
- 「今日の給食はカレーだって!おいしそうだね!」
好きな遊びや活動、友達の名前などの具体例を出すことで、子どものイメージが鮮明になり期待が高まります。また、保護者が不安を感じていると子どもも敏感に感じ取ってしまうため「行ってらっしゃい!」と明るく送り出すことも大切です。
先生に相談し、連携して対応する
登園渋りが続く場合は、幼稚園の先生に相談してみるのもおすすめです。次のような点を確認してみましょう。
- 登園後、気持ちを切り替えて遊べているか
- 園生活の中で気持ちが崩れやすい場面はあるか
- 友達とのトラブルや苦手な活動はないか
- 先生との関わりで気になることはあるか
登園するときには泣いていても、しばらくすると気持ちを切り替えて遊べる子どもも多いです。また、苦手な活動などがあるときには先生のフォローを受けられるかなど、相談してみましょう。
生活リズムを整えてあげる(休みのリズムからの脱却)
長期休み明けや週末明けに登園渋りがひどくなる場合は、生活リズムの乱れが原因になることがあります。休みの日に夜更かししたり、朝遅くまで寝ていたりすることが多いと、幼稚園のある日のリズムに戻すのが難しくなります。
早寝早起きをする、三食きちんと食べる、日中は適度に運動をするなど、基本的な生活習慣を整えることで心も体も安定します。特に、睡眠時間が短いことで寝不足になり、登園渋りを招いている可能性もあるため、休みの日も生活リズムをなるべく一定に保ちましょう。
一緒に遊び不安を取り除いてあげる
環境の変化や保護者と離れることに不安を覚える子どもには、一緒に遊んで安心させることが効果的です。遊びを通して子どもと関わることで「ママやパパがいるから大丈夫」と気持ちを落ち着かせられ、安心して登園できることにつながります。
遊ぶ以外にも「〇〇くん(ちゃん)が大好きだよ」など、子どもが安心できる言葉を伝えたり、抱っこなどのスキンシップをとったりすることも、子どもの気持ちが安定します。まずは家庭で安心して過ごせるように関わっていきましょう。
幼稚園に行きたくない子どもに対するNG行動

登園渋りの対応で、保護者がとってしまいがちなNG行動を紹介します。
行かない・行きたくないことを怒る
「行きなさい!」と頭ごなしに怒ったり「幼稚園に行きたくないなんて甘えてる」など登園を嫌がることを責めたりするのはやめましょう。
怒られることで「自分の気持ちを話しても理解してもらえない」と心を閉ざしてしまうことがあり、場合によっては親の顔色をうかがって本心を言えなくなってしまう可能性もあります。
怒るのではなく、まずは落ち着いて子どもの気持ちを受け止める姿勢を見せることが大切です。感情的に対応するのではなく、冷静に「行きたくないんだね」と共感する言葉から始めてみましょう。
無理に登園させる
子どもが泣きながら登園を拒否しているにもかかわらず、無理やり幼稚園に連れて行くのもやめましょう。
無理に連れて行くことは「自分の気持ちは大事にされないんだ」と感じさせてしまい、親子関係の悪化や幼稚園自体に嫌悪感を抱くことにもつながります。
一時的に登園できたとしても、長期的に見て良い解決策とは言えません。子どもの心身の負担を最優先に考え、無理強いは避けるようにしましょう。
園側に協力してもらえるようであれば、少し遅れて登園する、先生に入口まで迎えに来てもらうなど、柔軟な対応を検討しましょう。
他の子どもと比較する
「他のお友達は泣いていないのに、あなたはいつまで泣いてるの?」「お兄ちゃんは幼稚園を嫌がったことがないのに」など、他の子どもと比較するような言葉をかけるのもNGです。
子どもは一人ひとり個性があり、成長のペースも異なります。他の子どもと比較されることで「自分はダメな子だ」と感じ、自信を失ってしまうかもしれません。
子どもには、それぞれのペースがあります。その子どもの気持ちに寄り添う姿勢を大切にしましょう。
幼稚園に行きたくない子どもに関するよくある質問
ここからは幼稚園の登園渋りに関する、よくあるQ&Aを紹介します。
登園渋りの子どもによくみられる行動は?
子どもの「行きたくない」という気持ちが、言葉だけでなく行動にも表れることがあります。代表的なものをいくつか紹介します。
- 起床時にぐずったり、起きられないふりをしたりする
- 着替えや朝食の準備を嫌がる
- 登園中に泣き出す、足が重くなる
- 親から離れる際に大泣きする、しがみつく
- 幼稚園に着くと元気そうにするものの、帰宅すると疲れている
- 夜中にうなされる、寝つきが悪い
これらの行動は、子どもが何らかのストレスや不安を抱えているサインです。無理に乗り越えさせようとせず、子どもの気持ちに寄り添い、丁寧に対応することが大切です。
登園渋りが長引いて困っています、相談場所はありますか?
子どもの登園渋りが長引き、家庭だけでは対応が難しいと感じる場合、一人で抱え込まずに外部の専門機関に相談することも大切です。いくつかの相談先を紹介します。
- 幼稚園の先生
まずは子どもの園での様子を一番よく知っている、幼稚園の先生に相談するのがおすすめです。園での日中の様子を教えてもらえたり、登園渋りの原因や対応について一緒に考えてくれたりすることがあります。担任の先生をはじめ、多くの子ども達と関わる経験を持つ園長先生などに相談してみるのも良いでしょう。
- 各自治体の育児相談窓口・子育て支援センター
子育てに関する悩みに対応する相談窓口や子育て支援センターでの相談も方法の1つです。保健師や心理士、保育士などの専門家が常駐し、無料で相談に応じてくれます。子どもの発達段階や、家庭環境なども考慮した上で、具体的なアドバイスや情報提供を行ってくれますので、ぜひ活用しましょう。
- 児童相談所
虐待などの緊急性が高い場合のイメージが強いかもしれませんが、子育ての悩み全般について相談できます。対面での相談以外にも、電話相談を受け付けていることもあります。
- 小児科・児童精神科
子どもの心身の不調が発達特性にある可能性も考えられます。もし、身体的な症状が頻繁に現れたり、極端な不安が見られたりする場合は、小児科医や児童精神科医に相談してみるのも1つの選択肢です。専門的な視点から、適切な診断や治療、他の専門機関への紹介をしてくれます。
まとめ
子どもが「幼稚園行きたくない」と言うと、親としてはどう対応すればいいか悩みますよね。ですが、まずは「行きたくない」と感じている子どもの気持ちを否定せず、受け止めてあげることが大切です。
子どもは大人よりも環境の変化や人間関係に敏感です。安心できる家庭の中で気持ちを整えることができれば、少しずつ自信を持って登園できるようになります。
親子で笑顔で登園するために、焦らず、子どものペースに寄り添いながらサポートしていきましょう。