根強い人気の習い事、書道は学芸への第一歩
書道や習字は、昔から変わらず人気がある子どもの習い事です。どちらも学習の基礎となる日本語を習得することにつながります。大人になると、書道をやっていた人とそうでない人では、教養の差を感じるものです。幼いうちに書道の基礎を固めることで、一生使える美しい字が身につきます。
厳密には、字の美しさを芸術の域に高める書道と、正確に文字の書き方を習得する習字は違うといわれます。今回は、実は、美しい字以外にもそれぞれにメリットのある書道と習字について紹介します。
書道・習字で得られる3つのメリット
字がきれいになる
子どもが初めて字が書けようになると、成長が感じられ嬉しいものですが、小学校に上がるころには字の形や書き順なども重要になります。書道や習字では書き方の基礎を大切にしていて、正確に教えてくれるので、字がきれいになります。「とめ」や「はね」といったおろそかになりやすい書き方のポイントや、子どもには難しい「はらい」も繰り返し訓練することできるようになります。
集中力がつく
書道や習字はお手本をまねることから始まります。目で見て同じように書き写すのは未就学の子どもにとってはまだまだ難しいことです。試行錯誤することで考える力が身に付き、書き直しができないため集中力も高まります。小学校に上がってから学習に取り組む際に、この集中力が活かされます。簡単に消せるパソコンの文字とは違い、書き直しができないため、一つの字に集中して書くことにつながっています。
姿勢が良くなる
「書き方の基本は正しい姿勢から」と教える教室は多く、書道や習字を習っていると背筋が伸びてきます。特に机に向かう時に背中を伸ばす癖がつくので、学校に入ってからもきちんと席について姿勢よく過ごせるようになります。和室を使って行われる教室では正座をするため、畳の上でのマナーも身につきます。癖がつく前に始めることで、鉛筆の持ち方もきれいになります。
学芸の基礎が付く習い事
毛筆
筆先のコントロールは子どもにとって難しいのですが、細い部分と太い部分での書き分けを習うことで次第にできるようになっていきます。墨汁を使って書くので、教室へ行くときは汚れても良い服で行かせましょう。黒い服もOKです。余計なトラブルならないように練習時には洗える墨汁を使うことも考えてみましょう。
筆の太さは小さな子どもの手に合ったものを用意します。習字セットなど教室によって指定があることが多く、入会時に購入します。習字の道具は小学校に上がってから活用できるため実用的です。
硬筆
書道・習字の教室では毛筆だけでなく硬筆を指導するところが多く、3回に1回は硬筆というケースも見られます。用意するのは鉛筆のみで手軽なのも魅力です。
幼児のうちから鉛筆を正しく持つように指導してくれ、学校に入ってから苦労することがありません。練習を重ね、入学前に自分の名前をきれいにかけるようなると自信がつきます。書き順や書き方・字形を鉛筆書きで正確にできると、どんな授業でも活かせます。
ペン習字
墨を使って汚れたくない、もっと実用的な字をかきたいというニーズもあり、ペン習字を習っている子もいます。万年筆かボールペンで行うことが多く、大人になってからも使える実用的できれいな字が身につきます。
また、毛筆に比べて長い文章も扱うため、国語力が上がることも期待されます。通信教育も色々あるので、家庭学習の一環として取り入れることも可能です。
書道と習字の違い。教室の選び方
お手本通りに習う習字
習字は書写とも言い、お手本を書き写すことが基本です。習字に通うことで、正しい持ち方と背筋の伸びた姿勢で整った字が書けるようになります。癖のない幼児期からお手本をまねる習字を習うことで、書き方の基本が身につきます。
現在でも小中学校の教科として取り入れられ、ほとんどの子が習字を経験します。また、硬筆の習字がお正月の宿題に出されることもあります。そういった時に、普段から習字を習っている子は基礎のしっかりした字が書けます。
個性を伸ばす書道
書写とは違い、表現として字を扱うのが書道です。芸術の分野に入り、教室によって段位もとれます。高名な書道家が教室を開いているケースも見られ、弟子入りする文化もあります。
子どものころの書道では、基本を大切に正しい書き方を重視します。それだけでなく、個性を伸ばす声掛けや、美的センスを磨く指導が受けられます。教室によっては幼児の部から書道展への出品も可能です。幼いころから書道で文字に対する芸術センスを磨いておくことで、成長してから広く認められる書が書けるようになります。
学校では小中学校が書写および習字で、高校以上で書道が習えます。高校生の書道パフォーマンスはテレビドラマや映画になり最近注目されました。アーティスティックな表現を求めれば、習字ではなく書道が良いでしょう。
教えるのがうまい教室選び
書道や習字の教室は週に2回以上開かれていることも多く、コストパフォーマンスの良いことでも人気です。月謝にすると2000円から3000円で済むため、他の習い事と掛け持ちで通わせる家庭もあります。
持ち帰りの宿題もないため、ストレスの少ない習い事として選ばれるのですが、反復するお稽古にマンネリ化する子もいます。展覧会に出る、段や級の試験を受けるといったモチベーションを用意していることも教室選びには重要です。
書道でも習字でも、子どもにとって大切なのは良い指導者に出会うことです。厳しいだけでは長続きせず、せっかくのきれいな字も身に付ません。正しい字を書くには約束ごとを覚えるための反復が必要です。長続きできる相性の良い先生を見つけましょう。
大人になっても使える書道のメリット
履歴書も!提出書類に使える
大人になっても自筆の字がきれいな方が好印象を与える場面は少なくありません。例えば、パソコンでうまく履歴書を作っても、提出する書類の字が汚ければ与える印象は良くないでしょう。社会に出た時に恥ずかしくないように、子どもに書道や習字を習わせてあげるのも親ごころです。
自信が持てるあて名書き
特別な仕事についていなくても、お中元・お歳暮やちょっとした荷物を送る時など、字に癖があり恥ずかしい思いをすることもあるでしょう。基本的に字の形がきれいな書道や習字経験者なら、どんな漢字のあて名でも様になって見えます。仕事以外の場面でも、日常的に文字を書く機会は少なくありません。冠婚葬祭の受付など、字はきれいな方がどんな場面でも自信がもてるでしょう。
子どもの名前もきれいに書ける
現在でも女性で字がきれいだと周囲からの評価が高くなる傾向はあります。代筆や表彰状の作成の仕事も女性が多く活躍しています。子どもを持つと、母親は持ち物への記名や、学校への提出書類など、字を書く機会が多くなります。
女の子には子どものころから美しい文字の書き方を身につけさせてあげられると良いですね。品の良い字を書けるようにペン習字や、硬筆も習っておくと将来活かせるでしょう。
まとめ
大人になってからも自筆の書類や署名を求められるシーンは意外と多いものです。字はその人の性格を表わします。品格や教養を疑われかねない「字」の書き方を学ぶなら、幼児期からの訓練が必要です。
また、書道や習字を習うことで集中力が付き、心が落ち着いてきます。姿勢を正して机に向かい、勉強することにも自然になじんでいかれるでしょう。学芸の始まりに向けて、書道や習字の教室で楽しみながら正しく字を書く姿勢を身につけてほしいですね。