後悔しない保育園の退園:手続き・理由・その後の選択肢と注意点
仕事の変化や家庭の事情など、やむを得ず保育園の退園を考えたとき、「手続きってどうするの?」「理由はどこまで伝えるべき?」「退園後はどうすればいいの?」と不安になる方も多いはず。
本記事では、保育園を退園する際に後悔しないために、必要な手続きや注意点をわかりやすく解説します。さらに、退園後の選択肢や転職・退職をともなうケースでの保育継続についてもご紹介しますので、後悔のない選択ができるよう、ぜひ最後までお読みください。
保育園の退園理由と確認事項
まず最初に、保育園を退園する主な理由と、費用の清算や必要な手続きなど確認すべき事項について見ていきましょう。
保育園を退園する主な理由
保育園を退園する主な理由として、以下が挙げられます。
・引っ越し
転勤や住宅購入など家庭の事情で遠方に引っ越す場合、距離的に通園が難しくなることもあるため、これまでの保育園に通えなくなります。
・保護者の退職
保育園は「保育の必要性」が前提となるため、保護者が仕事を辞めると在園資格を失う可能性があり、注意が必要です。
・育児休業の延長
きょうだいの出産などで育児休業が延長されると、自治体によっては上の子も保育園を一時的に退園しなければならない場合があります。育児休業に入る前に、自治体の対応を確認しておきましょう。
・家庭保育への切り替え
家庭の方針や子どもの様子を見て、「自宅で育てたい」と感じたときに退園を選ぶ家庭もあります。
・幼稚園や認定こども園への転園
3歳になったタイミングで、幼稚園や認定こども園など教育重視の施設へ移行するケースもあります。
・子どもが環境に合わなかった場合
子どもが集団生活に慣れず強いストレスを感じている場合に、家庭保育に切り替える選択を選ぶ家庭もあります。
費用の清算について
退園の際には保育料や延長保育料、給食費など、さまざまな費用の清算が発生します。途中退園する月の費用が日割りになるのか満額かかるのか、事前に園や自治体に確認しておくと安心です。
費用のうち、保育料は多くの自治体で「月単位の請求」のため、たとえ月の途中で退園しても1ヶ月分の料金を支払うケースが多いです。
また、延長保育料や行事参加費など追加で発生した費用や未納分がある場合は、最終的な支払いの明細をもらっておくとトラブル防止につながります。
もし未納があると、後の転園手続きや再入園に影響する可能性もあるため、精算は早めに済ませておきましょう。
退園の際に必要な手続き
退園の意思が固まったら、まずは保育園に口頭で伝えましょう。
その後、正式な手続きとして退園届の提出が求められます。保育園によっては独自のフォーマットがあるので、まずは担任の先生に確認しましょう。
また、認可保育園の場合は自治体での手続きも必要です。退園届の他に、育児休業の延長届や就労状況変更届など、家庭の状況に応じた追加書類が必要になる場合もあります。必要な書類を確認し、早めに準備を進めておくと安心ですよ。
書類の提出期限は園や自治体によって異なりますが、一般的には「退園希望日の1ヶ月前まで」に提出する必要があります。
また、転園や再入園を希望する場合、改めて申し込みが必要になることもあるため、今後のスケジュールもあわせて確認しておきましょう。
スムーズな退園のために行うこと
次に、スムーズに退園するための具体的な予定のたて方や、退園を伝える時期と方法についてご紹介します。
退園後の具体的な予定をたてる
退園を考え始めたら、まずは仕事や子どもとの過ごし方について家族でしっかり話し合っておきましょう。おうちで子どもを見ながら過ごす場合、1日の過ごし方やリズムをイメージしておくと安心です。
仕事を続ける場合は、祖父母に頼るか、一時保育やシッターさんを利用するか、早めに検討しておくことで安心して過ごせるようになりますよ。
子どもが退園して家にいるようになるとバタバタしてしまうため、退園するまでに具体的な予定を決めて備えておきましょう。
保育園に退園の意思を伝える(時期と方法)
退園を決めたら、なるべく早めに先生に伝えるのがマナーです。多くの場合、1ヶ月前までに退園届の提出を求められるため、余裕を持って動きましょう。
退園の意思を伝える際には、電話やメールよりも口頭で先生に伝えることをおすすめします。子どもをお迎えにいく際などに伝えましょう。その後、退園届などの書類を提出する流れになります。認可保育園の場合は、自治体にも退園する旨を伝える必要があるか事前に確認しておきましょう。
在園児に退園を伝える
退園が決まったら、仲良くしていたお友達やその保護者にも退園する旨を伝えておきましょう。子ども同士のつながりは思っている以上に大きく、急に姿が見えなくなると寂しく感じる子もいます。送り迎えの際に「◯月で退園することになりました」と一言添えたり、親しい家庭にはLINEなどのメッセージで伝えたりするのも良いでしょう。
また、お別れのごあいさつとして簡単なお菓子やメッセージカードを準備する方も多いです。無理に気を遣う必要はありませんが、これまでの感謝の気持ちを伝える良い機会として、前向きに準備できるといいですね。
保育園に預けた状態で転職する場合の注意点
転職を考えているときに気になるのが、「このまま保育園に子どもを通わせられるのか?」という点ですよね。ここからは、保育園に預けた状態で転職する場合の注意点を解説していきます。
転職による保育継続の条件
基本的には、転職活動中でも就労継続の見込みがあると自治体に認められれば、一定期間は通っている保育園に在園できるケースが多いです。ただし、在園が可能な期間は自治体によって異なるため、事前に自治体の窓口で確認しておきましょう。
また、転職による保育継続の条件として、一般的には以下のような点が求められます。
・保育の必要性が継続していること
退職後も継続して就労の意思がある、または内定が決まっていることが前提です。
・退職から一定期間内に再就職すること
多くの自治体では、退職から「3ヶ月以内に再就職すること」を条件としています。
・再就職活動中であることの証明
ハローワークの利用証明や、求職活動の記録などの提出を求められることがあります。
・就労証明書や内定通知書などの書類提出
再就職が決まった場合は、速やかに必要書類を提出しなければなりません。
・自治体の判断により猶予期間が与えられる場合も
事情によっては柔軟に対応してもらえることもあるので、早めに相談しましょう。
就労状況変更の届け出と必要な書類
転職する際は、就労状況の変更を自治体に報告する必要があります。そのため、就労証明書や内定通知書など、働くことを証明できる書類を提出するよう求められます。提出のタイミングが遅れると、就労の実態が確認できないと判断されてしまい、退園の対象になることもあるため注意が必要です。特に転職直後はバタバタしやすいので、提出期限や必要な書類を事前に確認しておくと安心です。
一般的に就労状況の変更を届け出るのに必要な書類は以下の通りです。
・就労状況変更届
退職・転職・育休延長など、保護者の働き方に変更があった場合は、自治体や園に「就労状況変更届」の提出が必要です。
・退職した場合の証明書類
退職日が記載された離職票や退職証明書などが必要になることがあります。
・転職した場合の就労証明書
新しい勤務先で記入してもらう「就労証明書」を提出します。勤務日数や時間がわかる書類です。
・求職中の場合の証明
ハローワークの登録証や、求職活動報告書など、就職活動をしている証明が求められることもあります。
退職・転職後の保育継続が難しい場合の選択肢
もし、次の仕事がすぐに決まらない、または働き方を見直したくなったなどの理由で保育継続が難しくなった場合は、以下のような方法を検討する必要があります。
・一時保育を利用する
就職活動中や短時間の用事があるときなど、必要に応じて一時的に子どもを保育園に預けられる制度です。自治体や保育園によって利用条件が異なったり、予約が必要だったりするため、事前に確認しておきましょう。
・認可外保育施設・企業主導型保育園を検討する
認可保育園より柔軟に利用できることが多く、保育の必要性を満たさなくても通える場合があります。ただし、認可保育園よりも保育料が高い場合があるため、施設の見学や料金の確認は必須です。あわせて預かり時間も確認しておきましょう。
・ファミリーサポートを活用する
登録した協力会員さんが子育てを手伝ってくれる地域の支援制度です。急な用事や就職活動の面接などの際にも子どもを預かってくれるため便利です。利用料金も安価であることが多いため、事前に登録してお手伝いにきてくれる協力会員さんとマッチしておきましょう。
・短時間勤務(パート・在宅ワークなど)を探す
フルタイムでなくても、働いた実績があれば保育継続の対象になる場合があります。在宅での仕事や短時間のパートなど、自分に合った働き方を見つけることも一つの方法です。
・自治体の相談窓口を活用する
すぐに退園と決めず、今の状況を説明して対応を相談することで猶予期間が与えられることもあります。まずは一度、自治体に問い合わせてみましょう。
保育園に預けた状態で退職する際の注意点
最後に、保育園に預けた状態で退職する際の注意点をご紹介します。
退職後の休職期間と書類提出のタイミングに注意する
退職後も保育園を利用したい場合には、自治体への届け出が必須です。ただし前述したように、退職後に子どもが保育園に在園できる期間は限られています。退職=即退園になることはありませんが、事前に確認しておきましょう。
また、退職日から数日以内に「就労状況変更届」や「退職証明書」を提出するよう求められるケースがほとんどです。提出を怠ると、保育の必要性が認められず、急に退園となる可能性もあります。休職期間がある場合も、その理由や復職の見込みについて明確にしておくと安心でしょう。
職に就いていない期間を作らない
退職後に職に就いていない期間が長くなると、保育の必要性がなくなったと判断され、退園させられることがあります。一般的に、再就職までの猶予は2〜3ヶ月ほどです。子どもを保育園に通わせ続けたい場合は、慎重にスケジュールを立てましょう。
また、在宅ワークや短時間のパートなど、少しでも働いていると認められるような形を整えておくことも安心につながります。
状況に応じて自治体に確認する
就労状況や家庭状況はそれぞれですので、保育園に在園できるのか少しでも不安に思ったら早めに自治体に相談しましょう。制度を知らなかったという理由で退園になるのは避けたいところです。
また、自治体によって細かいルールや提出書類が異なります。そのため、ママ友の話やネット上の情報だけに頼らず、自分で自治体に確認することを心がけましょう。
まとめ
保育園を退園する際には、必要な手続き、今後の生活プランなど、事前に確認しておきたいことがたくさんあります。スムーズに退園するためには、保育園や自治体への連絡を早めに行い、必要書類をしっかり準備しておくことが大切です。
また、退職や転職を伴う場合は、保育継続の条件を正しく理解しておきましょう。不安を減らすためにも、焦らず、丁寧に準備して進めていくのがおすすめです。