子どもの癇癪(かんしゃく)で悩むママ・パパへ|原因と対処法を知って落ち着いた毎日を

「子どもの癇癪にどう対応したら良いのか分からない」「そもそもなんで癇癪を起こすの?」「こんなに激しい癇癪を起こして、うちの子は大丈夫なのだろうか」と、お困りではありませんか。
子どもは癇癪をよく起こすものですが、激しく泣く我が子を見るのは辛いですし、大人も余裕がないとイライラすることもありますよね。この記事を読むと、癇癪に関する次のようなことが分かります。
- 癇癪の原因・発達障害との関連性
- 年齢別の癇癪の特徴
- 癇癪の対処法
ぜひ最後までお読みいただき、家庭で子どもと関わるときの参考にしていただければ幸いです。
子どもの癇癪とは?
子どもの癇癪はどのようなものでしょうか。わがままとの違いや、発達障害との関係性について解説します。
癇癪とわがままの違い
癇癪は気持ちをコントロールできず、泣き叫んだり物を投げたりする状態のことです。頭を打ち付けるなどの自傷行為に及んだり、人を叩く・蹴るなどの他害を加えたりする場合もあり、子どもの個性や状況によってさまざまな形で表れます。
一方でわがままは、相手や周囲の意に反して自分のしたいようにすることで、子どもの場合は泣いたり怒ったりすることも多いです。
癇癪は子どものわがままが原因とは限らず「お腹が空いている」などの生理的欲求が満たされていないことや、緊張や疲れから癇癪が起こることもあります。もちろん子どもの意に反して起こった出来事から癇癪につながることもありますが、必ずしもわがままから癇癪が起こるわけではありません。
癇癪と発達障害の関係性
癇癪は子どもの発達段階によっては起こりやすい時期もあり、癇癪をよく起こすからといって発達障害があるというわけではありません。しかし発達障害の特性の影響を受けて癇癪が起こりやすいという場合もあります。発達障害の子どもに強く見られる傾向は、次のようなものがあります。
- こだわりや苦手な感覚がある
- 自分の気持ちを伝えることが苦手
- 気持ちのコントロールが苦手
- 相手の気持ちを理解したり、すり合わせたりすることが難しい
1回15分以上の癇癪が続いたり、1日に何度も癇癪を起こしたりするようであれば、心理的・医学的な問題などが絡んでいることも考えられます。心配な方は専門家に相談すると良いでしょう。
子どもの癇癪(かんしゃく)の原因
子どもの癇癪の原因を3つ紹介します。
発達段階によるもの
子どもの発達段階により、癇癪が起こりやすい時期があります。特に1歳半~3歳頃のイヤイヤ期は、自我が急速に発達する時期です。「やりたいけどできない」という気持ちを言葉にすることが難しかったり、子どもの中で気持ちと葛藤していたりするなかで、癇癪につながることもよくあります。
環境によるもの
「使いたいおもちゃをずっと貸してもらえない」「いつもと違う場所で不安を感じる」など、欲求不満や環境の変化などでも、子どもは不安やイライラを感じます。疲れ・眠気・空腹でも怒りっぽくなり、結果的に癇癪になることもあります。
発達障害によるもの
先述のとおり、発達障害の特性により癇癪が起きやすい状態になることもあります。子どもによって特性が違うため、どのようなときに癇癪が起こりやすいのかは一人ひとり異なります。
年齢別の癇癪の特徴
子どもの年齢別に、癇癪の特徴を紹介します。
乳児期(0歳~2歳)
乳児期は言葉を使って自分の状況を伝えることが難しく、空腹や眠気、不快感などから癇癪を起こすことがあります。自我が発達する1歳半~3歳頃はイヤイヤ期とも呼ばれ「イヤ!」となんでも拒否する、自分の思い通りにならないことで泣き叫ぶ、床に転がるなどの姿が見られます。
幼児期(3歳~5歳)
イヤイヤ期が落ち着いてくることも多く、言葉や社会性が発達して友達と関わりを楽しいと思い始める時期です。しかし、まだ自己中心的な思考で、感情のコントロールが難しいこともあります。勝ち負けを理解できるようになる時期でもあるため、競争で負けて泣き叫ぶ・怒るなどの行動もよく見られます。
学童期(6歳~12歳)
学校や習い事などで外に出る機会や人との関わりも多くなり、乳幼児期よりも要因が複雑になります。学校生活を送るうえでルールやマナーを守ることが求められますが、うまく対応できず癇癪を起こすことがあります。考える力や言語の発達も進みますが、自分の思い通りにならない状況をうまく表現できず、感情のコントロールも未熟で葛藤する子どももいます。
子どもの癇癪への対処法

子どもが癇癪を起こしたとき、周囲の大人はどのように対応すれば良いのでしょうか。癇癪が起きたときの対応と、癇癪を予防するために事前に気をつけたいポイントを紹介します。
癇癪が起きたときの対応
癇癪が起きたときのポイントは「気をそらす」「安全を確保して見守る」「離れる」です。以下で解説します。
- 気をそらす
子どもが好きなものや興味を持ちそうなもので、気をそらしてみましょう。好きなおもちゃを見せる、絵本を読む、お茶を飲む、その場から連れ出して場所を変えるなど、さまざまな方法があります。そのときによっても落ち着く方法は違うので、いろいろな方法を試してみると良いでしょう。
- 安全を確保して見守る
うまく気をそらせないときには、子どもの近くに危険なものがないか確認し、泣いたり暴れたりしても大丈夫なように環境を整えたうえで見守りましょう。気持ちが高ぶっているときに近くにいたり、声をかけたりすると、さらに落ち着かなくなることが多いです。落ち着くまでは距離をとって静かに待ち、泣きが収まってきたタイミングで声をかけるのもおすすめです。
- 離れる
子どもが叩く・蹴る・物に当たるときにはタイムアウト法を実施するのも良いでしょう。タイムアウト法とは、子どもを安全で刺激が少ない場所に移動させて落ち着くのを待つ方法です。少しでも落ち着いたらほめてあげてください。
関わっている親自身の気持ちが落ち着かないときには、子どもの安全を確保したうえで親が別の場所へ移動しても大丈夫です。気持ちが落ち着いたら子どもを見守ったり、声をかけたりしましょう。
癇癪を予防するためにできること
癇癪が起きたときには原因を分析し、なにか対策できることがないか検討してみましょう。以下に例を挙げます。
- 空腹時に癇癪が起こりやすいので、空腹になる前に少しおやつを食べさせる
- 見通しが立たない場面で不安を感じやすいので、事前にスケジュールや活動内容を伝える
- 気持ちを言葉で伝えることが難しいので、絵カードやジェスチャーを活用する
- ザワザワした場所が苦手なので、耳栓やイヤーマフを用意する
また気持ちを切り替えるためのルーティンを決めておくこともおすすめです。子どもが落ち着いているときに「イライラしたら〇〇しようか」と相談し、事前に練習してみましょう。ルーティンを決めることで、子ども自身も対処しやすくなります。
専門家への相談

ここまで癇癪について解説してきましたが「癇癪の頻度が高い気がする」「一度癇癪が起こると、なかなか落ち着かない」「子どもに合った対応法が分からない」など、悩むこともあると思います。不安になったときに相談できる窓口を3つ紹介します。
児童相談所
児童相談所は原則18歳未満の子どもに関する相談を受け付けています。児童福祉司・児童心理司・医師・保健師などが相談にあたります。児童虐待や一時保護のイメージを持つ方もいるかもしれませんが、しつけや発達の遅れなど、子どもに関するさまざまな相談を受け付けています。電話相談・来所して対面相談などを受けられます。
子ども家庭支援センター
母子保健機能と児童福祉機能を連携しながら、妊産婦と子ども・子育て家庭を包括的に支援する公的施設です。医療・福祉・保育・教育など多方面から一体的に支援を行います。原則18歳未満の子どもと保護者を対象に、子育てに関する様々な相談を受け付けています。児童相談所と似ていますが、子ども家庭センターは地域に根付いた身近な窓口のようなイメージです。
児童発達支援センター
発達障害のある子ども・発達に心配がある子どもが定期的に通い、療育を受けることで日常生活の動作や集団生活をする上で必要なコミュニケーションスキルを習得していく施設です。さらにスタッフが通所する子どもの保育園や幼稚園へ訪問する「保育所等訪問支援」や、障害がある子どもとその家族への助言を行うなど、とても重要な地域支援の役割を担っています。
まとめ
子どもが癇癪を起こす姿を見て「育て方が良くないのだろうか」と悩む方もいますが、子どもの性格・そのときの状況・発達段階によって起こることも多いです。癇癪が起こりやすい状況を分析して事前に対策をとれると、頻度が減ったり時間が短くなったりします。癇癪は子どもも関わる大人も辛いものです。なるべく癇癪が起こる前に予防できると良いですね。
子どもに合った癇癪への対応が難しい、発達が心配な場合は、地域の子育て支援施設で相談したり保育園・幼稚園での様子を聞いたりすることもおすすめです。いろんな立場の人から意見を聞いて、子どもに合う方法を見つけていきましょう。