反抗期の理解と対応:子どもとの向き合い方
「最近子どもが反抗的な態度をとることが増えてきた」「反抗期にどのような対応をとるのが良いのだろう」と、お困りではありませんか?どのように関わるか悩むことも多いですが、いくつかおさえておきたいポイントもあります。

この記事を読むと以下のことが分かります。
- 反抗期が始まる時期・特徴・原因
- 反抗期の症状とタイプ
- 反抗期の子どもとの接し方
ぜひ最後までお読みください。
反抗期とは?時期や特徴、原因を解説
そもそも反抗期とはどのようなものなのか、詳しく解説していきます。
反抗期は成長の証?発達段階と心理的背景
反抗期は成長とともに現れる自然なもので、以下のような段階に分かれています。
- 第一次反抗期:1歳半~3歳頃に現れる。親の依存から離れ、自己を確立していく。
- 中間反抗期:7歳~10歳頃に現れ、自分で考えて行動したい意思が出てくる。
- 第二次反抗期:13歳~15歳頃に現れ、他者との違いに気づき葛藤する。
いずれの反抗期も親から離れて自立し、自分がどんな存在かを考え、自己を確立するために必要な成長段階と言えます。
次の章でさらに詳しく解説します。
反抗期はいつから始まる?年齢別の特徴
反抗期は1歳半頃から高校生頃まで段階的に分かれて訪れます。
- 第一次反抗期(1歳半~3歳頃)
乳児期は大人に依存している状態でしたが、第一次反抗期の年齢になると、自分の意志に気がつき、自我が芽生えます。大人から指示されるのではなく「自分で決めたい」という気持ちが強く、言葉も未熟なために怒ったり泣いたりすることが多いです。
一般的にイヤイヤ期とも呼ばれ、自己主張と自己抑制を学びます。
- 中間反抗期(7歳~10歳頃)
言語の発達がピークを迎え、小学校に入学して社会性を身に着ける時期です。さまざまな言葉を覚えて友達との関わりも増えてくる一方で、口が悪くなったり反抗的な態度をとるようになったりします。心の成長に伴い「自分で行動したい」という意志が芽生えることでの反抗期です。
- 第二次反抗期(13歳~15歳頃)
思春期を迎え、自分と他者の違いに気がつき、葛藤を経て自分がどういう人間であるかを認識するようになります。「保護者とは違う、1人の人間でありたい」という反抗期です。乱暴な言葉遣い、親を無視する、暴力をふるうなどの行動を伴うことがあります。また男性であれば声変わり、女性であれば月経が始まるなど体が変化していく時期です。体と心の変化に対応し、子どもなりに受け入れて葛藤している時期といえます。
反抗期の原因は?親と子の関係性
反抗期の原因は社会性の発達や自立心の芽生え、身体的成長・ホルモンバランスによるものが大きいです。親への依存度を下げ、自我を確立するための成長過程ではありますが、親と子どもの関係によっては長引く可能性があります。特に親が定めたルールが厳格すぎる場合や、逆に甘すぎる場合は、トラブルや問題行動を起こしやすいと言われています。
反抗期がない子もいる
明治安田総合研究所「2016年 親子の関係についての意識と実態」によると、約4割の親が反抗期と思える時期はなかったと回答しています。 反抗期がないことはそれほど珍しいことではないと言えます。親と子どもが良好な関係を築けている、子どもが穏やかな気質である場合はあまり心配いりません。ですが、子どもの主張を否定しすぎる、子どもを甘やかしすぎている、子どもの行動や言動に暴力的な傾向が見られる、といった場合は注意が必要です。客観的に子どもとの関係を見つめ、気をつけていきましょう。
反抗期の症状とタイプ:子どものサインを見つける
ここからは思春期頃の第二次反抗期の具体的な症状やタイプを紹介します。

反抗期の主な症状:言動の変化と心の葛藤
反抗期は自分がどういう人間かを認識し、親から独立したいという思いから、言葉遣いが乱暴になったり暴力的になったりします。特に第二次反抗期は自分と他者の違いに気がつくようになり「友達はできるのに自分はできない」など劣等感も感じるようになる時期です。さまざまな環境や体の変化を受け入れながら、心の中では葛藤を繰り返しています。
反抗期のタイプ別対応:子どもの個性に合わせた接し方
- コミュニケーション回避タイプ:話しかけても反応しない、気のない返事をする
このタイプは反抗期の約半数を占めると言われています。自分の世界を大事にしている現れなので、すべてが親への反抗・不満からの態度ではありません。
この場合は必要以上の後追いはやめ、返事がなくても質問攻めにするのはやめましょう。部屋をあさったり、スマホをチェックしたりするのもいけません。子どもが親を信頼できなくなり、関係の改善が難しくなります。我慢強く見守り、必要なときに子どもの話を聞いてあげられる関係をつくりましょう。
- 闘争タイプ:「うるさい!」「ほっといて」と反発する
口答えする、扉をバタンと閉める、大暴れするなど、いろいろなパターンがあります。この場合は、親が冷静に対応すること、力で押さえつけないことが大切です。子どもに口答えされるとカッとなるかもしれませんが、親が子どもから離れてクールダウンしましょう。
また、力で押さえつけた場合は「ハラスメントを受けた」と思い、関係修復が難しくなることが多いです。攻撃的な反抗は「エネルギーを持っている」とも言えます。「将来が楽しみだ」と、前向きに考えられると良いですね。
- 反抗期ほとんどなしタイプ
先述のとおり、反抗期がないタイプの子どももいます。あまり心配いらないこともありますが、子どもとの関わりが適切か、客観的に見ることも大切にしながら関わりましょう。
反抗期と似た症状?発達障害との違い
一般的な反抗期は、期間に差はありますが一過性のものです。問題に感じることもあるかと思いますが、基本的には一過性なものとして受けとめるようにしましょう。それでも不安な場合は、以下のような内容をチェックしてみましょう。
- 本人なりの理由があるか(叱られた、友達とのトラブルなど)
- 家庭生活と学校生活に大きな支障が出ていないか
- 対応している家族の不安や疲れが大きすぎないか
暴れたいがために理由を探している、脈絡もなく突飛な言動をとる、親・先生・友達などの身近な人に対してイライラをぶつけるなどが見られる場合は、発達障害の可能性も含めて専門家に相談すると良いでしょう。
発達障害を持つ子ども・グレーゾーンの子どもは、二次障害として暴言・暴力、自傷行為、引きこもりなどが現れることがあります。心配な場合は専門家に相談しましょう。
反抗期の子どもとの接し方:親としてできること
反抗期の子どもに関わる中で、親自身が乱暴な態度に苛立ちを覚えたり、気持ちが落ち込んだりすることもあるでしょう。子どもにどのような接し方をすると良いか、解説します。
反抗期のNG対応:避けるべき言動
子どもの態度についカッとなってしまうこともあるかもしれませんが、頭ごなしに否定しないようにしましょう。まずは子どもの主張を最後まで聞いたうえで、違うところを指摘すると、子どもも「受けとめてくれた」と感じます。また暴力で押さえつけることもやめましょう。
逆に子どもの言いなりになることも危険です。相手や自分を傷つける行為、家庭での約束を大きく破ったときには毅然とした態度で対応してください。
反抗期に大切なこと:親の心構えと向き合い方
反抗期の子どもとは、適度な距離感が大切です。子どもが小さい頃との距離感の違いに戸惑うこともあるかもしれませんが、距離を詰めようとするとうっとうしく思われて、さらに心を開かなくなってしまいます。放っておいても無関心のようにとられてしまうので、子どもの様子を見てその都度判断しましょう。あいさつや予定の確認などは、声色や反応などから子どもの様子が分かるので続けてみてください。子どもから話しかけてきたとき、頼りにされているときは、しっかりと話を聞きましょう。
親自身がストレスを溜めない、関心を子ども以外に向けることも大切です。親のストレスが溜まっていると子どもへの対応に余裕がなくなり、苛立ちをぶつけてしまいかねません。趣味に取り組む、テレビを見る、友達と会って話をするなど、自分に合う方法を見つけましょう。
反抗期を乗り越えるためのヒント:親子の成長
先述のとおり、反抗期は子どもの成長に必要な一過性のものです。反抗期を乗り越えた先に、子どもが自分らしさを理解し、自立への道が開けてきます。また子どもだけでなく、親が子離れをしていく時期でもあります。数年かかることもありますが、反抗期が終わると子どもも親も一回り成長し、お互いに1人の大人として対等に接することができるようになるでしょう。
反抗期後の親子関係:より良い未来のために
長い反抗期の後に親子関係はどのように変化するのか、詳しく解説します。

反抗期を機に親子の絆を深める
反抗期は親子の適度な距離感を保ちつつ、子どもと対話することが大切です。つい「宿題やったの?」「お風呂に早く入ってよ」などの指示が多くなってしまいがちですが、共通の話題を見つけて話をすることも、大切なコミュニケーションになります。一方的に話をするだけでなく、子どもの機嫌が良さそうなときにテレビの話題や趣味についてなど、会話を楽しむことで親子の関係もより深まります。子どもから進路などを相談されたときには、人生の先輩として経験やアドバイスを伝えることも重要です。このような積み重ねで、反抗期を終える頃にはさらに親子の絆を深められるでしょう。
反抗期後の子どもとの関係構築
まず反抗期が終わる時期には個人差がありますが、次のようなサインがあります。
- 親との会話が増え、冷静に意見交換ができる
- 自分の行動に責任を持ち、約束を守る
- 家族の時間を大切にし、家事などに協力的になる
これらは少しずつ現れるので、長い目で見守りましょう。
反抗期後の子どもには、1人の大人として対等に接することが大切です。頭ごなしに子どもの意見を否定したり、親の価値観を押しつけたりすることはしないようにしましょう。
子どもの成長を応援する親の役割
親の役割は、乳幼児期のように「子どもに何かをしてあげる」というより「子どもが自分らしくいるためにサポートする」役割に変化していきます。過干渉は避けて、子どもが自分で考えて行動できるように見守りましょう。子どもが頼ってきたときには、良き相談相手として親自身の経験を伝えますが、最終的な判断は子どもに委ねることも大切です。
まとめ
反抗期には個人差があり、期間や症状は子どもによりさまざまです。子どもの様子をよく観察して、焦らずに見守りましょう。