子どもの睡眠不足は、日中の活動や学習に影響を及ぼします。必要な睡眠時間は年齢によって異なるため、成長に合わせて生活リズムを見直していくことが大切です。
この記事では、年齢別の子どもの睡眠時間の目安と、睡眠不足による影響、家庭で取り入れやすい工夫を紹介します。毎日の過ごし方を振り返り、子どもに合う睡眠リズムを考える際にお役立てください。
まずは、厚生労働省の「こどもの睡眠」をもとに、1歳から18歳までの子どもの睡眠時間の目安を紹介します。
| 年齢 | 1日当たりの睡眠時間の目安 |
| 1〜2歳 | 11〜14時間(昼寝を含む) |
| 3〜5歳 | 10〜13時間(昼寝を含む) |
| 6〜12歳 | 9〜12時間 |
| 13〜18歳 | 8〜10時間 |
それぞれの年齢の理想的な睡眠について、詳しく見ていきましょう。
1〜2歳の睡眠時間の目安は、1日11〜14時間です。保育園を利用している場合は、連絡帳などで昼寝の時間を確認し、家庭で眠った時間と合わせて考えましょう。
「まだ遊びたい」と寝る準備が進まないときは、眠る前の流れを決めるのがおすすめです。「歯磨き→絵本を読む→布団に入る」など、習慣をつけることで、睡眠に切り替えやすくなります。
また、「この絵本を読んだら、お布団に入ろうね」と言った具合に、事前に次の行動を伝えるのも一つの方法です。「まだ遊びたい」という気持ちに寄り添いながら、眠りへの切り替えをサポートしてあげましょう。
3〜5歳の睡眠時間の目安は、1日10〜13時間です。就学に近づくにつれて昼寝をしなくなる子どもも増えてきます。
年齢や周りの目安にとらわれず、日中の様子に合わせて(まだ昼寝が必要かどうかなどの)休み方を考えましょう。
夕方に強い眠気が出たり、夕食の前に眠ってしまったりする日は、夜に十分眠れているか・昼寝が必要かを振り返るきっかけになります。昼寝をする場合は、夜の寝つきも見ながら、昼寝の時刻や長さを調整してみましょう。
昼寝をしない場合は、絵本を読んだり、横になったりして、静かに休む時間を設けましょう。保育園や幼稚園に通っているときは、家庭での寝つきや夕方の様子を園に伝えておくと、日中の過ごし方についても相談しやすくなります。
6〜12歳の睡眠時間の目安は、1日9〜12時間です。登校に間に合う起床時刻を決め、必要な睡眠時間から逆算して、夜の予定を考えましょう。
習い事などで帰宅が遅い日は、就寝時間がずれ込み、睡眠不足につながりやすくなります。そんな日は、夕食や入浴を少し早めにしたり、テレビやスマホを控えめにしたりして、スムーズに眠りに入れる環境を整えてあげましょう。
朝の学習時間と身支度にかかる時間も考え、無理なく起きられる就寝時刻を一緒に決めておくとよいでしょう。
13〜18歳の睡眠時間の目安は、1日8〜10時間です。この時期は、眠気を促すホルモンが分泌され始める時刻が遅くなり、眠る・起きるリズムも後ろにずれやすくなります。
部活動や勉強で忙しくなる時期でもあるため、帰宅後の予定やスマートフォンの使い方を振り返ってみましょう。
例えば、
・夜11時以降はスマホを寝室に持ち込まない
・寝室の外に充電場所を設ける
無理のない範囲で本人の意見も聞きながらルールを決めていきましょう。部活や自由な時間も大切にしながら、睡眠時間を確保できる環境を整えていくことが大切です。

ここでは、子どもの睡眠の役割と、睡眠不足の影響について紹介します。
「成長ホルモン」は、体の成長や組織の修復などを助ける物質です。主に睡眠中に分泌されると考えられており、特に寝始めてから数時間の「ノンレム睡眠」の間に多く分泌されます。
成長ホルモンの分泌が悪くなると、身長の伸びや筋肉の発達に直接的な影響を及ぼします。健やかな発育を支えるうえで、十分に眠る時間を確保することが大切です。
睡眠不足で、イライラしたり、遊びや学習に集中しにくくなったりする子どももいます。これは、感情を落ち着かせる脳の働きが弱まり、過剰に反応しやすい状態になっていることが原因とされています。
「ささいな場面で怒る」「集中できず宿題が進まない」などが見られるときは、子どもの睡眠状況を振り返ってみましょう。
睡眠不足や疲れがたまっていると感じたら、「夜のスケジュールの見直し」などを行い、生活リズムを立て直してみてください。
睡眠中には、ウイルスや細菌などから体を守る「免疫細胞」を活性化させるホルモンが分泌されています。睡眠不足の状態が続くと、免疫細胞の働きが低下して、風邪などの感染症にかかりやすくなります。
成長ホルモンと同様に、深い睡眠である「ノンレム睡眠」のときに分泌が活発になるので、質の良い睡眠をとることが重要です。
また、成長ホルモンには、細胞の修復・再生をする働きがあり、自然治癒力を高めます。体調不良になったときも、しっかりと睡眠をとるようにしましょう。
ここでは、子どもの睡眠時間が短くなってしまう、よくある原因を紹介します。
「動画をもう一本見たい」「このステージをクリアしたい」、スマートフォンやゲームに時間をとられ、睡眠時間が削られてしまうケースはよく見られる原因の一つです。夜に画面の光を浴びると、眠気を促すホルモン「メラトニン」の分泌が遅れ、寝つきに悪影響を及ぼします。
使いすぎを防ぐには、「いつまで使うか(時間)」と「どこで使うか(場所)」といったルールを決めるのが効果的です。
例えば、以下のようなルールになります。
・利用時間を決める
「夜9時(または寝る1時間前)以降は画面を見ない」など、使用する終わりの時間を明確にする。
・置き場所を決める
「夜はリビングの充電器に必ず置く」「寝室には持ち込まない」など、物理的に触れない環境をつくる。
子どもの楽しみも大切にしながら、家族で続けやすいルールを探していきましょう。
塾や習い事で帰宅が遅い日は、食事や入浴、宿題などが重なり、就寝時刻も遅くなりやすくなります。睡眠時間を不足させないために、帰宅してからのタイムスケジュールを見直し、負担を減らすようにしましょう。
また、以下のような工夫も効果を見込めます。
帰宅が遅いことで「明らかに疲れている」「朝起きられない」といったサインが見られるときは、スケジュールや夜の過ごし方を見直してみてください。早い時間のクラスへの変更や通う回数の調整など、無理なく続けられる方法に変更するのも一つの選択肢です。

子どもの睡眠習慣を整えるには、夜の寝かしつけだけでなく、朝からの過ごし方にも目を向けることが大切です。
ここでは、家庭で取り入れやすい4つのポイントを紹介します。毎日の予定や子どもの好みに合わせて、続けられそうなものから試してみてください。
毎朝できるだけ同じ時刻に起き、日光を浴びましょう。朝の日光には、眠気や目覚めのタイミングを調整する「体内時計」を朝型に整える働きがあります。
まずは、起きたらカーテンを開け、明るい窓際で過ごす習慣から始めてみましょう。朝食後に散歩をしたり、登園・登校の時間に屋外の光を浴びたりする方法もあります。
注意点として、なるべく休日も起床時刻を大きくずらさずに過ごしましょう。「夜の就寝時刻」と「朝の起床時刻」の両方を意識して、生活リズムを安定させていきましょう。
日中に体を動かす習慣は、質の高い眠りにつながります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、小学生・中学生・高校生は1日60分以上体を動かすことを勧めています。
普段の生活から、運動する機会を意識しておきましょう。
活発な遊びは日中に取り入れ、夜は穏やかに過ごすなど、生活にメリハリをつけるのもよいでしょう。体調や体力に合わせて、無理なく続けることが大切です。
寝る1時間前にはテレビやスマホの画面を消し、落ち着いて過ごす時間に切り替えましょう。
画面を消した後の楽しみを決めておくと、次の行動へ移りやすくなります。
<過ごし方の例>
また、スマホやタブレットは寝室の外に充電場所を決めておくと、布団に入ってから手に取るのを防ぐ工夫になります。
どうしても使用をやめられない場合は、検討してみてください。
入浴の時刻を調整できる日は、就寝の1〜2時間前を目安にしてみましょう。入浴で上がった深部体温(体の内部の温度)が下がっていくことで、眠りに入りやすい状態をつくることができます。
入浴してから夕食をとるなど、寝る時刻から逆算して帰宅後のスケジュールをたててみましょう。
ただし、スケジュールにこだわりすぎて、体調が悪化してしまっては意味がありません。「今日は疲れているから早めにお風呂に入って休もう」など、その日の様子に合わせた調整も大切です。
ゲームやスマホによって睡眠時間が減ってしまうのは、大人でもよくあることです。
せっかく生活リズムやルールを整えても、近くで大人が夜遅くまでスマホを見続けていては、子どもも納得できませんので、親も一緒になって改善できるといいですね。
また、「睡眠時間」だけでなく、「睡眠を改善するための起きている間の行動」を意識することも重要です。
紹介した睡眠習慣の改善ポイントの内容を参考に、子どもが十分に眠れる生活リズムを整えていきましょう。