点を取るオフェンスが注目されやすいサッカーですが、失点を防ぐディフェンスも欠かせません。守備が安定すると、相手の攻撃を止められるだけでなく、奪ったあとに次につなげる時間も生まれます。とはいえ、「子どもにどう練習させればいいの?」と悩むご家庭も多いのではないでしょうか。
本記事では、ディフェンスの役割・基本の構え・練習メニュー・試合で役立つテクニック・スクール活用のすすめを解説します。気になるところから取り入れて、ぜひ親子で一緒に取り組んでみてください。
まずはディフェンスの基本となる役割を、相手の攻撃を遅らせる・ボールを奪う・ゴールを守るの3つに分けて解説します。
ディフェンスの役割の一つは、相手の攻撃を遅らせて時間を稼ぐことです。相手の前進を止めたり、スピードを落としたりできれば、その分だけ味方が戻って守備の形を整える時間が生まれます。
特にカウンターなど相手が速いテンポで攻めてくる場面では、ディフェンスが一度ブレーキをかけるだけで状況が変わります。攻める側は「このまま行くか」「パスに切り替えるか」などの判断が必要になり、勢いのまま押し込む形を作りにくくなります。その結果、守る側が体勢を立て直しやすくなるのです。
「時間を稼ぐ」守りは、失点を防ぐための土台です。奪うことに意識が向きすぎるとボールに飛び込んでかわされやすくなるため、まずは「相手の勢いを止めること」を最優先に押さえていきましょう。
ボールを奪うこともディフェンスの重要な役割の一つです。相手の流れを断ち切るだけでなく、奪った瞬間にこちらの攻撃へ切り替えられるため、流れを変える起点になります。ボールを奪う方法は大きく分けて2つあります。1つは、相手のパスを読んで先に触る「インターセプト」、もう1つは相手が持っているボールに直接働きかける「タックル」です。
インターセプトは、パスコースを予測して、先回りしてボールを奪う方法です。相手がパスを出した瞬間に、受け手より先にボールに触れれば成功です。体のぶつかり合いが少なく、守備として安定しやすいのが特徴です。特に、相手が顔を上げてパス先を探しているときや、横・後ろのパスが増えたときは、インターセプトの読みが当たりやすい場面と言えます。
タックルは、スライディングやチャージ(体をぶつける)により相手のボールを奪う方法です。相手がドリブルでボールを少し前に出した瞬間や、切り返し・パス・シュートの動作に入る直前など、ボールが足からわずかに離れるタイミングがタックルの狙い目です。また、勢いで突っ込むのではなく、奪ったあとにボールを自分の足元に置く意識も大切です。
初心者は「ボールを奪うこと」に意識が向きやすい傾向がありますが、飛び込みが増えるほど抜かれる原因にもなります。パスを狙える場面はインターセプト、ボールが足元から離れた瞬間はタックルと考えると、守備の判断が整理しやすいでしょう。
ディフェンスが担う役割の3つ目は、相手にシュートを打たせないことです。守備の目的はゴールに近づくほど「奪う」よりも「危ない形を作らせない」に変わります。無理にボールを取りにいくより、相手の体の向きや動きを制限し、シュートコースを消す意識が重要です。
特にペナルティエリア付近では、わずかなスペースが決定的なチャンスにつながります。相手に前を向かせない、利き足で打たせない、ゴールへの正面ルートをふさぐといった守りを積み重ねることで、シュートを防ぎます。シュートを止める活躍は目立ちにくいものの、失点を防ぐという重要な役割です。「シュートを打たせない」という共通意識を持つことで、チーム全体の守備力も高まっていくのです。
ディフェンスは抜かれないことが大切です。ここからは、抜かれないための正しい「構え方」を解説します。
まずはディフェンス時の姿勢を整えます。ポイントは以下の3つです。
・腰を落とす:軽くしゃがむ程度でOK。背中を丸めすぎると動きが遅れます。
・足幅:肩幅より少し広めが目安。狭いとバランスを崩しやすいです。
・体重:かかとに体重が乗ると出遅れます。足裏全体で地面を感じるように立つと安定します。
この姿勢ができると、相手が右に動いても左に動いても対応しやすくなります。一方、上体が立つと最初の一歩が遅れてしまうため注意しましょう。
守備でよく聞く「半身」は、相手に対して体を少し斜めに向ける構えです。真正面で向き合うと、左右どちらにも抜かれるリスクが高くなります。半身にすることで、片方のコースを消しつつ、もう片方へ誘導する準備が整います。
具体的には、コートの内側に切り込ませないことを意識し、体を少し内側に向けて立ちます。相手の進行方向を外側に限定することで、シュートコースの制限や、危険なパスコースを減らすことにつながります。このような守備は、勝負というより相手の選択肢を狭める作業に近いです。半身のコツは、肩だけを開くのではなく「腰ごと斜め」にすることです。足が絡んで転びそうな場合は、足幅を少し広げて安定を優先してください。

ここでは、親子や一人でできるディフェンス練習メニューをご紹介します。
ディフェンスで基本になる足の動かし方は、相手に正面を向けたまま横へ動く「サイドステップ」と、離れた距離を一気に詰める「クロスステップ」です。どちらも抜かれない守備を作るうえで欠かせない動きなので、セットで覚えていきましょう。
サイドステップは、相手の動きについていくための動作です。体の向きを大きく変えずに横へずれることで、相手が切り返しても対応が遅れにくくなります。守備でよくある失敗は、横に動きたいのに足が交差してしまい、体が流れてしまうことです。まずはサイドステップで安定して動けるようにしておくと、構えも崩れにくくなります。
一方クロスステップは、足を交差させることで速く、大きな距離を移動できます。相手に置いていかれそうな場面で、距離を戻すために使います。サイドステップだけだと追いつけないときに、一瞬だけ足を交差させてスピードを出すイメージです。ただし、クロスで追ったままになってしまうと体が開きやすいので、追いついたらすぐサイドに戻して構え直すことが大切になります。
サイドステップ・クロスステップの練習法
まずは目印(コーンやペットボトル、地面の線など)を使って、左右に動ける幅(範囲)を作ります。
・親子でやる場合
親が左右に動き、子どもは正面を保ったままサイドステップでついていきます。少し離されたと感じたときだけクロスステップで追い直し、追いついたらサイドステップに戻して構えを整えましょう。ずっと奪いに行く練習ではなく、「ついていく」「戻す」を身につけるのが目的です。
・1人でやる場合
目印をいくつか置き、横にずれながら進むコースを作ります。基本はサイドステップで移動し、少し距離が出るところだけクロスステップで移動して、すぐサイドステップに戻します。切り替えのあとに姿勢が浮かないよう意識すると、実戦の動きに近づきます。
動きの速さよりも、まずは体の向きと構えが崩れないことを優先して取り組んでみてください。
ディフェンスでボールを奪うには、「近づきすぎない」「離れすぎない」という間合いの感覚が欠かせません。この感覚を身につける練習として取り入れやすいのが、1対1のボールキープです。この練習の狙いは、無理に奪う回数を増やすことではありません。まずは相手の動きに合わせて距離を保ち、奪えるタイミングだけ触る判断を作ることが目的です。
ボールキープのやり方
公園の一角や校庭の端など、安全で広すぎないスペースで練習を行います。目印として、コーンやペットボトル、チョークの線などで「この中でやる」という範囲を見える化しておくと進めやすくなります。
攻撃側(ボールを持つ側)は、決めた範囲から出ないようにボールをキープします。ボールを守りながら動くだけでOKです。守備側は、いきなり奪いに行くのではなく、まず前に運ばせないことを優先します。練習の狙いである間合いが身につきます。
守備側は、相手の真正面ではなく 半歩ずらした位置に立ってスタートします。姿勢は、上体を起こしつつ膝を軽く曲げ、いつでも横に動ける状態にします。足が止まると距離感が崩れやすいため、細かく動き続けることがポイントです。攻撃側が動いたら、守備側も正面を向いたまま横にずれるように動きます。距離を詰めるより、同じ速さでついていく感覚を身につけることを意識しましょう。
相手が右へ動いたら守備側も右へずれる、相手が止まったら守備側も止まるというように、合わせる動きを続けることで、奪える距離・危ない距離の境目が見えてきます。まずは奪うことにこだわりすぎず、間合いを崩さずについていくところから始めてみてください。
練習で動けるようになってきたら、次は試合のコツです。ここでは、試合で役立つ守備のテクニックをご紹介します。
守備の距離の目安として使いやすいのが「腕一本分」の距離(ワンアームディスタンス)です。この距離感でいると、相手がボールを前に出した瞬間に足を出しやすく、同時に一気に抜かれにくい余裕も残せます。
ただし、相手のスピードが早い場合は少し距離をとる、相手が止まっているときや、背中を向けている状況では一歩詰める、などケースバイケースで対応することは効果的です。距離を固定せず柔軟に対応することが大切です。
目線の置き所は、相手の腰〜骨盤あたり(体の中心)にしましょう。フェイントに引っかかりやすいのは、相手の上半身の動きや足先に視線を向けてしまう時です。体の中心は急に大きくは動きにくいため、細かいフェイントに釣られにくくなります。
守備が上手い選手は、ボールを奪う前に相手の進路をコントロールしています。狙いたいのは、相手をコートの外側(タッチライン側)へ追い込む守りです。中央に行かせないことで、危険なパスやシュートの確率を下げられます。
相手を誘導する際のポイントは、体の向きと立ち位置です。相手の内側(中央側)に立って、中央への道を消します。相手が外へ進むなら、その動きに合わせて並走し、縦へ速く突破されないように距離を保ちましょう。

家庭練習だけでは補いにくい部分はサッカースクールを活用するのがおすすめです。最後に、サッカースクールを活用することによるメリットをご紹介します。
ディフェンスの感覚は、相手がいる環境で育ちやすくなります。1対1や少人数のゲームを繰り返すなかで、距離の取り方や寄せるタイミングが少しずつ身についていくからです。家では再現しにくい相手のスピード感やフェイントの雰囲気も体験できる点は、スクールならではの魅力でしょう。
守備は、うまくいかなかった場面から学べることが多いものです。スクールなど、練習でトライできる環境があることで、本番でも怖がらずにチャレンジしやすくなります。
スクールならではの大きな利点は、プロコーチに動きを直接見てもらい、その場でフォームを修正してもらえることです。守備が苦手な子は「構えが高い」「足が止まる」「距離が近すぎる」など、つまずきポイントが決まっていることも多く、客観的に見てもらうだけで改善の糸口が見つかることがあります。
例えば寄せる動きでも、体の向きや重心の置き方が少し違うだけで抜かれやすさが変わります。コーチが具体的に指摘してくれることで、子ども自身もフォームを修正しやすくなります。
また、コーチから言われるほうが、親からの声かけより素直に聞ける子もいます。家では習慣づくり、スクールではフォームの確認という役割分担にするのもおすすめです。
ディフェンスでは、味方と役割を分けて守る場面が多くあります。例えば、ボールへ寄せる人がいれば、その後ろでカバーに入る人も必要です。また、危ないコースを先に消しておく動きも欠かせません。こうした連携は、実戦に近い人数で繰り返す中で身についていくものです。
スクールでは、複数人での練習やミニゲームを通して、立ち位置の取り方や守る方向の合わせ方を経験できます。派手なプレーではないものの、守備の安定はチーム全体の安心感につながります。スクールで守備連携を学んでおくことで、試合でも落ち着いて対応しやすくなるでしょう。
サッカーのディフェンスは、相手の攻撃を遅らせて時間を稼いだり、奪って攻撃を止めたり、ゴール前で決定的なシュートを打たせないようにしたりといった役割を担っています。
役割を意識することで、練習の効率アップにもつながります。
また、抜かれにくい守備には構え方が欠かせません。腰を落として動ける姿勢や半身の体勢を作れると、相手の動きに対応しやすくなります。加えて、相手との距離感や目線の置き所も、フェイントに振られにくくするポイントです。家庭練習でカバーしにくい対人経験は、サッカースクールで補うのも一つの手でしょう。
本記事では、ディフェンスの役割・基本の構え・練習メニュー・試合で役立つテクニック・スクール活用のすすめを紹介しました。気になる項目から、親子で取り組んでみてください。