「キック力上げたい!」「もっと遠くへ飛ばしたい!」——そんな風に感じている子どもも多いのではないでしょうか。
サッカーの上達に、正しい蹴り方の習得は欠かせません。
とはいえ、子どもにとって「上手く蹴る」ことは難しく、なかなか思い通りにボールが飛ばないもの。
「力いっぱい蹴ったのに、変な方向へ…」そんな悔しさも成長の第一歩です。
そこでこの記事では、子どもが楽しく上達できるように、正しい蹴り方の基本から自信につながる練習法まで徹底解説します。
お家や公園でも親子で一緒にできる内容なので、今日からすぐに始められますよ。
サッカーの蹴り方にはいくつか種類がありますが、ここで紹介するのは「インサイドキック」「インステップキック」「インフロントキック」「アウトサイドキック」の4つ。
それぞれの特徴を理解して使い分けることで、試合中の動きがぐんとスムーズになります。
ここでは、それぞれのキックの特徴とコツを紹介します。
インサイドキックとは、足の内側の中心部分(土踏まずからかかとにかけての部分)でボールを押し出すように蹴る方法です。
主に正確なパスを出す際に使用される蹴り方です。
インサイドキックのコツは、まず顔を上げて受け手をちらっと見ること。
味方の動きを確認してから蹴ることで、狙った方向へボールを出しやすくなります。
軸足はボールの真横に置き、つま先を蹴りたい方向へ向けましょう。
蹴る足は股関節を開いて足首をしっかり固定し、かかとから土踏まずあたりでボールの中心をとらえるのがポイントです。
両腕を軽く広げてバランスをとると、姿勢も安定します。
インサイドキックは地味に見えても、正確なパスの基礎になる大切な動き。
パス交換を繰り返すだけでも、自然とフォームが整っていきます。
1人で練習するには、壁に向かって蹴ったり、両足交互に蹴ったりするのも有効です。
インステップキックとは、足の甲(靴ひもの結び目がある部分)でボールの中心を力強く蹴る方法です。
シュートや速いパス、フリーキックなどに使われ、サッカーで最もパワーの出るキックと言われています。
インステップキックのコツは、まずボールに対して少し斜め(45度くらい)から助走すること。
ボールの後ろに4~5歩ほど下がり、そして左右どちらかに1〜2歩ほどずれるとちょうどよい位置に立てます。
真正面からよりも体のひねりが使えるため、強いキックにつながります。
次に、ボールを見ながら踏み込むことを意識しましょう。
助走の最後で軸足をボールの真横に置けるように、3~4歩程度のリズムで踏み込みます。
蹴る瞬間は、蹴り足の膝下をしっかり振りかぶり、両腕を広げて体を安定させましょう。
そして、膝下を一気に振り抜くように蹴ります。
足首を固定し、足の甲でボールの中心をとらえるのがポイント。
この動きができると、球速が上がり、まっすぐで勢いのあるシュートになります。
ポイントを意識して、感覚を掴むことが上達につながります。
「どっちが遠くに飛ばせるか」など、親や友達とゲーム感覚で練習すると楽しく続けられますよ。
インフロントキックとは、足の内側と甲の中間あたり(親指の付け根部分)でボールを蹴る方法です。
ボールに回転をかけたり、ふわっと浮かせたりできるため、コーナーキックやロングパス、カーブシュートに使われます。
インフロントキックのコツは、ボールに対して少し斜めから助走すること。
まっすぐ助走するよりも体をひねりやすく、自然にカーブのかかったボールが蹴れます。
蹴る前には、蹴りたい方向をちらっと見て、蹴りたい高さや方向をイメージしましょう。
蹴るときは軸足をボールのやや後ろに置き、つま先を蹴りたい方向へ向けます。
体を少し軸足側へ傾けると、ボールの下に足が入りやすくなり、きれいに浮かせることができます。
足首をしっかり固定し、親指の付け根でボールの中心〜少し下をとらえるのがポイントです。
両腕を軽く広げてバランスをとりながら蹴れば、フォームも安定します。
アウトサイドキックとは、足の外側(小指側)でボールを蹴る方法です。
カーブをかけたり、相手をフェイントでかわしたりするときに使われます。
少し難易度は高めですが、コツをつかめば大きな武器になります。
インサイドキックやインステップキックが軸足側から助走するのに対し、アウトサイドキックは蹴る足側から斜めに助走します。
蹴る瞬間は、足首を軽く内側にひねって固定し、小指の付け根あたりでボールの内側下をこするように当てるのがポイント。
下からすくうように蹴ればふわっと浮き、下方向へ振り抜けば低く速い弾道になります。
また、踏み込むときに軸足側の腕を後ろへ引くと、自然に体を開いてボールをスムーズに送り出せます。
最初は助走なしでフォームを確認しながら練習してみましょう。

強いボールを蹴るためには、ただ力まかせに振り抜くのではなく、正しい姿勢とバランスを身につけることが欠かせません。
どのキックにも共通して言えるのは、体の軸を安定させ、ボールにしっかり力を伝えるフォームをつくること。
そのための基本のポイントを解説します。
軸足を置く正しい位置と向きは、キックの種類によって少し異なります。
インサイドキックやインステップキックではボールの真横〜やや後ろ、つま先を蹴りたい方向へまっすぐ向けましょう。
アウトサイドキックの場合は、軸足をボールの外側で少し後ろに置くと安定します。
この位置関係を覚えるだけで、狙いどおりのカーブやフェイントがかけやすくなります。
ボールの蹴る位置は、狙いたい高さやスピードによって変わります。
低い弾道を出したいときはボールの中心より少し上、浮かせたいときは少し下を狙いましょう。
強くまっすぐ蹴りたいときは、ボールの中心に正確にミートさせます。
子どもに伝えるときは、「ボールをおもちみたいに押す」「下をすくうとふわっと浮く」といった比喩を使うと感覚的に理解しやすくなりますよ。
サッカーでは、どのキックの方法でも足首を固めることが、キックの精度に関わってきます。
足首が緩んでいると力が逃げ、狙った方向に飛びません。
つま先を下げて甲をピンと伸ばすように意識し、足全体を“1本のバット”のように使うイメージを持つとよいかもしれません。
慣れてきたら、壁当て練習などで音をチェックするのもおすすめです。
「ドン!」と芯をとらえる音が出たら、正しくミートできている証拠になります。

キックの基本を理解できたら、次は実際に体を動かしてみましょう。
ここでは、子どもが自分のフォームを身につけ、正確で強いボールを蹴れるようになるための練習法を紹介します。
お家の前や公園でも簡単にできるものばかりなので、親子で一緒に取り組むのがおすすめです。
「ミート」とは、ボールの芯──力が一番効率よく伝わる部分を足の正しい位置で捉えることを意味します。
ボールの芯を捉えられるようになると、パスもシュートもブレずにまっすぐ飛ぶようになります。
逆にミートがズレると、弱いボールになったり、狙いと違う方向へ飛んでしまうことも。
しっかりミートできれば、少ない力でも強いボールが蹴れるようになります。
まずはボールを手で持って落とし、足の同じ場所(インサイドやインステップなど)で真っすぐ蹴る練習から始めましょう。
慣れてきたら壁あてに挑戦。
壁に向かって蹴り、跳ね返ってきたボールをリズムよく蹴り返します。
「ドン!」と芯をとらえたときの音が出たら、正しい場所で蹴れている証拠です。
ミートのコツは、「最後までボールから目を離さないこと」と、「体のバランスを安定させること」。
上体を少し前に傾け、軸足の位置をボールの横に置くことで、ブレずに蹴ることができます。
なお、足の振りは「大きく速く」ではなく、「コンパクトで鋭く」が鉄則です。
キックの精度を上げるには、まず「正しい姿勢を身につけること」が大切です。
背筋を伸ばし、蹴る前に軸足を踏み込むことで、狙った方向へ安定したボールを飛ばせます。
それと同時に意識したいのが「ボールを見ること」。
視線がボールの中心からずれるとミートが甘くなり、キックの方向や高さが不安定になってしまいます。
狙いを定める感覚を養うためには、「コーン倒し」や「ペットボトル当て」のような練習がおすすめです。
狙う場所を設定して蹴ることで、方向性や距離感、力加減を同時に磨くことができます。
最初は近い距離から始め、フォームを意識しながら「まっすぐ蹴る」感覚をつかみましょう。
慣れてきたら距離を少しずつ伸ばしたり、狙う位置を変えたりして難易度を上げていくと良いですよ。
「10本中何本倒せるか」など、ゲーム感覚で行うと飽きずに続けられます。
楽しみながら練習するうちに、正確に狙って蹴る力が自然と身についていきます。
苦手なキックを克服するには、反復練習が有効です。
同じ動きを何度も繰り返すことで、正しいフォームが自然と身に付き、無意識でも綺麗な蹴り方ができるようになります。
特に効果的なのが動画で自分のフォームを確認すること。
動画を見返すと、軸足の位置や体の傾き、蹴るタイミングなどが一目でわかります。
「思っていたより体が開いている」「足の振りが小さい」など、実際の動きを客観的に見ることで、自分の弱点が見えてきます。
撮影するときは、正面と横の2方向から撮るのがおすすめです。
横からは助走や軸足の踏み込み、正面からは足の向きや体のバランスが確認できます。
練習後に見比べながら「前よりもスムーズに蹴れているか」「フォームが安定しているか」をチェックしていくと、上達のスピードが格段に上がります。
また、フォームだけでなく、リズムやタイミングも意識してみましょう。
一定のテンポで助走し、足を振り抜く動作を繰り返すうちに、自分の「蹴りやすいリズム」が身についてきます。
どんなに一生懸命練習しても、やり方を間違えると上達のスピードが落ちてしまうことがあります。
特にサッカーでは、力の入れ方や練習の仕方を誤ると、フォームが崩れたりケガの原因になったりすることも。
ここでは、練習中についやってしまいがちな3つの注意点を紹介します。
トーキックとは、「つま先の親指の付け根(母指球)付近でボールを蹴る方法」のことです。
決して悪いキックではなく、プロでも使うことはあります。
小さい動きで強いボールを出せたり、キーパーのタイミングを外せたりするため、使いこなせば大きな武器にもなります。
ただし、成長期の子どもがトーキックばかり使うのは注意が必要です。
つま先だけをボールに当てるため、コントロールが難しく、さらに爪が割れたり足首を痛めたりするリスクもあります。
「強く蹴りたい!」という気持ちは大切ですが、フォームが崩れてしまうと上達は遠ざかってしまいます。
まずはインサイドやインステップなどをしっかり身につけることが先です。
力任せではなく、ボールの芯をミートする感覚を大事にしましょう。
反復練習は上達するうえで欠かせませんが、疲れているのに無理に続けてしまうと逆効果です。
体が思うように動かなくなり、ボールがうまく蹴れないことで「なんでできないんだろう…」と落ち込んでしまうこともあります。
また、疲れた状態で練習をし続けるとフォームも崩れてきますし、サッカーそのものが嫌いになってしまうこともあります。
練習の目的は「上手くなること」ですが、一度の練習で完璧を目指す必要はありません。
幼児期から小学生までのサッカーは、週2〜3回、30〜60分程度の練習で十分という目安もあります。
楽しみながら技術や運動能力を伸ばすことが、長くサッカーを好きでい続ける秘訣です。
強度の高い練習後は2〜3日の休息、軽めの練習でも1日はリフレッシュする時間をつくりましょう。
プロ選手でも試合翌日は休養や軽い運動で体を整えています。
「練習しないと上手くならない」と焦るより、休む勇気を持つことが上達への近道です。
どんな練習でも「同じ蹴り方」ばかりを繰り返していると、上達が止まってしまいます。
例えば、インサイドキックばかり練習していると、アウトサイドやインステップで蹴るときに感覚が合わず、実戦で上手く蹴れなくなることもあります。
サッカーでは、状況によって適したキックが異なり、場面に合わせた蹴り方を身につけておくことが大切です。
臨機応変に対応できるように、得意なキックばかりではなく、バランスよく複数の蹴り方を練習するようにしましょう。
サッカーのキックを上達させる一番の秘訣は、特別な練習ではなく「正しいフォーム」と「コツコツ続ける力」です。
姿勢や軸足、目線といった基本を大切にしながら、反復練習で体に動きを染み込ませていくことがポイントです。
ただし、練習は“やりすぎないこと”も大事です。
疲れているときや気分が乗らないときは、思い切って休む勇気を持ちましょう。
しっかりリフレッシュしてから練習に取り組むほうが、集中力も高まり効率的に上達します。
本番で活躍できるよう、ぜひこの記事を参考に練習してみてください。