小学生の作文完全ガイド!「書けない」を「書ける」に変えるポイント

「うちの子どもは作文が苦手そう」「書き方を教えたいけれど、どう教えればいいのか分からない」とお悩みの保護者の方も多いのではないでしょうか。「私自身も昔は作文が苦手だった……」という方はなおさらですよね。
作文は、書くための意識やコツを知っているだけでも、上手に書けるようになることがあります。
この記事では、次の内容を解説します。
- 作文を行う上で大切な意識
- 作文を書くための基本的なステップ
- 魅力的な文章を書くためのテクニック
ぜひ最後までご覧いただき、作文の書き方を子どもに伝えるときの参考にしてください。
作文を行う上で大切な意識
子どもに作文を教える前に、保護者に知っておいてほしい大切な意識について紹介します。
ベースとなる”読む力”を身に着けよう
作文は頭の中にある考えや感じたことを言葉にして表現する活動です。自分の考えや気持ちを言語化するために、文章を読み解く経験をとおして、語彙を増やしたり文章の構成やルールを学んだりすることが大切になります。
もし読書が好きな子どもであれば、ぜひその気持ちを大切にしましょう。活字に触れる機会を増やすことで知っている言葉が増え、文章のルールも自然に身につきます。
読書があまり好きではない子どもの場合は無理強いせず、取り組みやすいものから始めてみましょう。一例を紹介します。
- 一緒に読み聞かせをする
- 書店や図書館に定期的に行く
- 興味のあるジャンルの本を一緒に探す
最初は絵本や図鑑などでも良いので、子どもの好きなものや興味のあるものから、読書を楽しむ習慣をつけていきましょう。継続することで活字への抵抗が減り、読解力アップや授業の理解度が上がることが期待できます。
「楽しく書く」体験を大切にする
作文に苦手意識を持つ理由の1つとして「何を書けばいいか分からないので楽しくない」と感じている子どもが多いです。「宿題だから仕方なく書く」ではなく、子どもが自由に楽しく書くという体験を大切にしましょう。
おすすめは、日記や親しい人へ手紙を書いてみることです。多少の誤字脱字があっても、まずは書けたことをほめて「書いてくれて嬉しいよ」と肯定的な言葉をかけられる経験を重ねることで、書くことへの苦手意識が少しずつ薄れていきますよ。
読書感想文や小論文など、成長しても書く機会はたくさんあります。作文で書くことが苦手にならないように、勉強以外でも書く経験を積み重ねていきましょう。
作文を書く基本ステップをマスターしよう

作文を書くための具体的なステップをお伝えします。きちんと手順を踏むことで「何を書けばいいか分からない」という状態から抜け出しやすくなります。
テーマ:何を書くか決める
テーマが具体的に指定されていない場合は、何を書くか決めることから始まります。子どもだけでテーマを決めることが難しい場合は、一緒に話しながらアイディアを出してみましょう。
作文のテーマにしやすい内容には、次のようなものがあります。
- イベント:運動会や学芸会などの学校行事、家族での旅行など
- 感情が動いたとき:嬉しかったこと、驚いたことのエピソード
- 身近なひとについて:家族や友達の紹介やエピソード
- ニュースで観た話題:びっくり・面白いと思った話題、ニュースを観て考えたことなど
- 子どもの興味がある話題:子どもの好きなことや趣味について
このようなテーマをヒントに、子どもが心に残っている出来事を深堀りしていきましょう。「最近あった楽しいことってどんなこと?」「最近ニュースを観てびっくりしたことってある?」など、具体的な質問を投げかけて、記憶を掘り起こすことで、テーマを決めやすくなります。特別なことではなく日常のささいなことで大丈夫なので、子どもが書きやすいテーマにしましょう。
文章構成:文章の骨組みを考える
テーマが決まったら、文章の構成を考えます。構成を考えるときには、何を書くのか、箇条書きで書き出してみるのがおすすめです。子どもと一緒に書き出すことで、作文の全体像を把握しやすくなります。
文章の基本的な構成は起承転結、時系列順などがありますが、小学生は「はじめ・なか・おわり」の3部構成がおすすめです。
- はじめ(導入)
最初に何について書くのか簡単に紹介したり、読者が興味を引くエピソードを紹介したりします。
- なか(本論)
具体的なエピソードや、感じたことを詳しく書く部分です。長さによっては、時系列や出来事ごとに段落を分けて書くと、読みやすくなります。「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」の5W1Hを意識して書くことで、より具体的な描写をすることができます。
- おわり(まとめ)
作文のまとめや振り返りの部分です。次のようなまとめ方があります。
- 自分が伝えたかったことをもう一度まとめる
- 「なか」で書いたエピソードの印象に残っていることや感想を述べる
- 今後の抱負を書く
前述の通り、構成は、何を書くかを箇条書きで書き出すことがおすすめです。書き出すことで、全体像を把握して書きやすくなります。難しそうであれば、「はじめ」「なか」「おわり」で何を書くか、子どもと一緒に考えて、整理してあげましょう。
作文:構成通りに文章を書く
先ほど考えた構成をもとに、具体的な文章を書いていきます。はじめに原稿用紙の使い方のポイントを紹介します。
- 題名は上を2~3マスあける
- 会話はかぎかっこを用いて、行を変えて書く
- 句読点、かぎかっこの閉じるほう(」)は行のはじめに書かない
題名の長さによって、2マスあけるのか3マスあけるのかの調整をします。句読点やかぎかっこの閉じるほうが行の最後のマスがないところにきてしまった場合は、欄外に書けますので覚えておきましょう。
また、表情豊かで分かりやすい文章を書くための、2つのポイントを紹介します。
- 接続詞を使う
「そして・しかし・だから・なぜなら」などの接続詞を使うと、文章の流れがスムーズになります。
- 五感を意識した表現を取り入れる
「~しました」「~でした」だけでなく、音やにおい、感触などの五感を使った描写を入れることで、文章に深みが増し、より読者に情景が伝わりやすくなります。
見直し:書き終わった文章は必ず読み返す
作文を書き終わったら、必ず読み返しましょう。おすすめは声に出して読んでみることです。声に出すことで、不自然な部分や読みにくい部分に気がつきやすくなります。保護者も一緒に読んでみて、気がついたことがあれば子どもに優しく伝えましょう。具体的には、次のようなポイントに気をつけて読み返してみましょう。
- 誤字脱字がないか
- 一文の長さが長すぎないか(目安は60文字以内)
- 助詞(て・に・を・は)や接続詞(しかし・そして など)句読点の使い方は適切か
- 原稿用紙の使い方が正しいか
魅力的な作文のためのテクニック
この章では、作文をより魅力的にするための具体的なテクニックを紹介します。
一文を短くする
一文が長いと意味が分かりにくくなったり、読みにくくなったりする原因になります。なるべく簡潔にし、内容は1つか2つまでにしましょう。
悪い例:週末は家族でおでかけをして、牧場に行って、羊に触って、牛の乳しぼり体験をして、アイスを食べられて、楽しかったです。
良い例:週末は家族でおでかけをしました。牧場に行って、羊に触りました。そのあとは牛の乳しぼり体験をしました。アイスも食べられたので、楽しかったです。
このように、長い文章を短く書き換えるだけでも、文章の意味が明確になって読みやすくなります。「文章はなるべく短くする」という意識で書き進めてみましょう。
話し言葉にならないように注意する
普段の生活で使っている話し言葉をそのまま作文に書いてしまうことが多いので、注意が必要です。
【よく使われる話し言葉の例】
- めっちゃ、すごい:とても、大変
- ハズい:はずかしい
- やばい:危ない、まずい、すばらしい など
- ~だけど:~ですが、~だが、しかし
- やっぱ:やはり
話し言葉を多用すると、幼い印象を与えてしまったり、真剣さが足りないと感じられたりすることがあります。普段の会話では意識しにくいかもしれませんが、作文をとおして書き言葉や正しい日本語を学んでいきましょう。
文体(ですます・である)の混合に注意する
作文は「ですます調」「である調」のどちらかの文体に統一して書きましょう。途中で文体が混ざってしまうと読みにくく、統一感がなくなってしまいますので、書き終わった後の見直しでしっかりとチェックすることが大切です。
文末の表現を重複させない
同じ文末が何度も続くと、単調で読みにくい文になってしまいます。同じ文末が続くのは2回までに抑えましょう。
悪い例:今日はお母さんと買い物に行きました。おやつを買いました。帰り道に友達の〇〇さんと会いました。
良い例:今日はお母さんと買い物に行きました。好きなおやつを買ってもらえて、嬉しかったです。帰り道に友達の〇〇さんと会って「明日学校で鬼ごっこをしよう」と約束しました。
このように感想や会話を付け加えることで、自然に文章に奥行きが生まれますし、文末の表現が重複しにくくなります。別の言葉に言い換えたり、そのときの気持ちを付け加えたりしてみましょう。
作文が上手になるメリット

作文が上手になると、学習面はもちろん、子どもの将来に大きなメリットがあります。ここでは3つ紹介していきます。
表現力が豊かになる
作文は自分の気持ちや考えを言葉にする練習です。作文を書くことを通して、ただ「楽しかった」と表現するのではなく、何をしてどう楽しかったのか、より読者に伝わるような表現を考えます。経験を積み重ねることで語彙が増え、自分の意見を的確に伝えられるようになります。
表現力は国語の授業で役に立つことはもちろんですが、人とコミュニケーションをとるときの基礎的なスキルです。将来仕事をするうえでも大切な力の1つですので、ぜひ伸ばしてあげましょう。
論理的思考が身につく
論理的思考とは、直感や感情に頼るのではなく、物事を客観的に分析し、根拠に基づいて筋道を立てて考える力のことです。
作文は事前にテーマや構成を考えて文章を組み立て、物事の因果関係を整理して書く練習になります。算数や理科などの他の学習にも役立ち、日常生活でもさまざまな場面で必要な力です。
記述問題や小論文に役立つ
学年が上がるにつれて、国語以外でも記述問題が出題されるようになり、より論理的に文章を書く小論文の課題が増えていきます。作文で文章を書くことに慣れておくことで、書くことに苦手意識を持ちにくくなります。記述問題や小論文は文章の長さは違いますが、どちらも表現力と論理的な思考、限られた文字数で要点をまとめる力が必要な課題です。子どものうちから書く力と読む力をつけて、将来に役立てましょう。
まとめ
子どもたちの日常生活では、話すことや短文を考えることが多いです。そのため、作文を書くとなると苦手意識を持つ子どもも多くいます。この記事で紹介したポイントを身につけて、書く力と読む力を向上させていきましょう。