
「もっと字を書くのが上手になりたい」「すぐ手元にお手本が欲しい」「自分の名前や住所のお手本があったらいいのに」このように感じたことはありませんか?
習字は練習を重ねることで上達します。特に初心者のうちはお手本を見ながら書いたり、なぞり書きをしたりして練習する機会が多いため、自分に合ったお手本が欲しいという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、楷書のお手本を無料でダウンロードでき、自宅で簡単に準備できる便利なサイトを3つ紹介します。
また、お手本を活用した練習のポイントや、サイトの活用シーン、注意事項をまとめています。ぜひ最後までお読みください。
習字の上達には、よい手本を選ぶことがとても大切です。特に子どもが練習する場合、学校や習字教室で習う文字と異なる字体のお手本を使うと混乱してしまいます。まずは、書道の基本である楷書を選ぶことがポイントです。
ここでは、データをダウンロードと印刷が可能な3つのサイトを紹介します。プロが書いたお手本を掲載するサイトや、自分の好きな文字を設定してダウンロードできるサイトなど、それぞれの特色を知っておきましょう。
e-OTEHONは、書道総研が運営するオンラインの書道・習字のお手本配布サイトです。毛筆・硬筆・ペン字のお手本PDFをすべて無料でダウンロードできます。
サイトでは、学年や書き方のカテゴリー別に「月例お手本」が毎月更新され、幼児から大人まで幅広く対応しています。1か月あたり毛筆は16枚ほど、硬筆・ペン字は11枚ほど追加されるので、自分に合ったレベルのものを探すことが可能です。
印刷サイズは半紙相当のB4サイズで設計されているため、家庭用プリンターでA4サイズで印刷した後、必要に応じてコンビニなどで拡大コピーするとさらに便利です。
また、一部毛筆のお手本には筆運びの動画解説があり、文字の形だけでなく筆の動きもイメージしやすくなっています。
月末に清書作品を提出して段級審査を受けられる制度もあり、日々の練習に目標を持たせながら取り組めます。
習字研究社は、幼児から成人まで幅広い層を対象に、毛筆・硬筆(ペン字)を学べる通信教育・教室運営を行っており、サイトでは小学生・中学生・成人など、それぞれのお手本を掲載しています。
幼児〜中学のカリキュラムは学校の学習指導要領に準拠し、毛筆と硬筆の両方に対応しているため、正しく筆づかいを学びたい人にぴったりです。正しい筆・鉛筆の持ち方や姿勢を写真入りで掲載し、習字以外にも国語の勉強や人物伝を取り入れているため、楽しみながら理解が深まるでしょう。プロによる朱筆添削や段級位の認定もあるので、確実にステップアップできます。
会員向けには全国で移動習字教室や研修会も開催しており、初心者から上級者まで幅広く対応しています。
習字のお手本変換ツールは、自分の名前や住所など、一般的なお手本には掲載していない言葉を練習したいときに便利です。入力ボックスに文字を打ち込むだけで、習字風の文字画像をすぐに作れます。
行書体2種類と楷書体のフォント切り替えができ、縦書き・横書きも指定できるため、用途に合わせてレイアウト調整ができます。
画面を見ながら練習するのはもちろん、印刷してなぞり書きに使うのもおすすめです。

書道では、お手本を見て書くことを臨書(りんしょ)と呼び、基本的な学習法とされています。お手本には、文字のバランス、線の太さ、余白の取り方など、上手に書くためのヒントが詰まっているため、まずはお手本の真似をするところから始めてみましょう。
ここでは、お手本を効果的に使うためのポイントを紹介します。
なぞり書きをすると、文字の骨格やバランスを感覚的に捉えやすくなるため、特に初心者に効果的です。目で見ただけでは気づきにくい、線の長さ・角度・余白などの細かい違いも、直接なぞることで体感できます。
なぞり書き用には、籠字(かごじ)と呼ばれる輪郭だけのお手本があります。なぞり書きの手本に直接または上に半紙を敷き、輪郭からはみ出さないように気をつけながら、内側の空白部分を埋めるような意識で練習していきましょう。
また、敷き写しと呼ばれる、輪郭だけではないお手本の上に半紙を敷いて書く方法もあります。こちらはお手本サイトやコピーを活用して練習してみましょう。
筆の持ち方は、鉛筆のように持つ単鉤法(たんこうほう)、安定感が高い双鉤法(そうこうほう)などがあります。書き方に合わせて持ち方を変えると、より上達するでしょう。
【単鉤法】
指先の可動域が広く、筆の角度を細かく変えるなどコントロールがしやすい持ち方です。小筆を使った名前や手紙などの実用書道や、流れるような字体の行書・草書に適しています。
【双鉤法】
親指・人差し指・中指の3本(または薬指を加えて4本)で、筆をしっかり握りこむ持ち方です。筆が安定するため、大筆を使用した楷書などに適しており、初心者にも安定した持ち方として推奨されることがあります。
楷書の場合は、肘はしっかりと張り、机に平行にして移動することもポイントです。
また、お手本を見ると、力を入れているポイントや筆の速さが分かるため、書き始める前によく観察することが大切です。
例えば、線の書き始めの起筆(きひつ)の入り方、書き終わりの収筆(しゅうひつ)を意識するだけでも、文字の仕上がりが大きく変わります。
力加減は、お手本の線が太い部分は筆を押し付け、細い部分は筆を持ち上げて書いています。強弱の動きを真似すると筆の持ち方や姿勢も整い、より書きやすくなっていきます。
お手本ばかり見ていると、自分の文字への意識が薄くなってしまうので、お手本を見る時間と書く時間のメリハリを意識することも大切です。
最近は動画で筆の持ち方や運筆を解説するものもあり、視聴するとさらにイメージがつきやすくなりますので、必要に応じて活用してみてください。
ここからは、お手本サイトが役立つシーンを紹介します。
学校の宿題や書道コンクールの練習には、お手本サイトが役立ちます。学校や教室からお手本が配布されることが多いですが、お手本サイトの文字を印刷して敷き写しの練習をすることも可能です。
特に、コンクールの課題は毎年変わるため、市販の教本には載っていないことが多くなります。Webからダウンロード・購入できるケースもありますが、それとは別に、お手本サイトを活用した練習も選択肢になりえます。
作品の最後に小筆で書く名前や、宛名書きなどの実用的な文字を練習したいときにも、お手本サイトは非常に便利です。作品の仕上げには名前を書きますが、市販のお手本で自分の名前と同じ手本はありませんよね。
このような場合に、前述の「習字のお手本変換ツール」など、入力した文字をお手本に変換してくれるサイトが役に立ちます。
自分の名前のお手本が簡単に準備できれば、小筆の練習もしやすくなり、苦手意識があっても自信を持って書けるようになります。

Webサイトでお手本を探すときは、ダウンロードや印刷、著作権など、気をつけたいポイントがいくつかあります。安心して活用できるよう、次の点をチェックしておきましょう。
まずは、家庭用プリンターで印刷しやすい形式を確認します。家庭用プリンターはA4サイズが基本ですが、習字で使う半紙はA4より大きいです。家庭用プリンターで印刷すると縮小されてしまい、文字の大きさや線の太さが異なるため、お手本として使用できないこともあります。
サイトによってはA4で印刷をしたあとに、コンビニなどでB4へ拡大コピーすることを推奨している場合もあります。PDF形式は拡大・縮小が簡単ですが、画像データのみだとサイズ調整が難しいケースもあるため、事前に確認しましょう。
【確認したいポイント】
「無料で使える」と書かれていても、著作権がなくなるわけではありません。
多くの場合、自宅で自分や子どもが練習する私的利用の範囲なら問題なく使えますが、次に該当する場合は注意が必要です。
このような使用は、多くのサイトで商用利用・二次配布に当たり、禁止されていることが多いです。
トラブルを避けるためにも、利用前に利用規約やよくある質問のページを必ず確認しましょう。
習字の技術を上達させるためには、自分に合ったお手本を選ぶことはとても大切です。今はインターネットを利用すれば、プロが書いたお手本や、変換ツールを利用して自分が書きたい文字のデータを自宅で手軽に入手できます。目的に応じてサービスを使い分けることで、効率よく学べるでしょう。
しかし、良いお手本が手元にあっても、練習をしなければ上達にはつながりません。まずはなぞり書きで文字の組み立てを覚え、筆の持ち方や運筆を意識して、たくさん練習してみましょう。
また、お手本サイト利用時は、データ形式や紙のサイズ、利用規約などを確認することも大切です。お手本サイトを正しく活用して、きれいな文字を目指しましょう。