育児ノイローゼかも?症状、原因、対策、相談窓口を徹底解説

毎日子どもと向き合う中で、「なんだかしんどい」「涙が止まらない」と感じることはありませんか?もしかすると、それは育児ノイローゼのサインかもしれません。頑張りすぎてしまうママやパパほど、気づかないうちに心が限界を迎えていることがあります。
この記事では、育児ノイローゼの症状や原因、対策と解消法をまとめました。大切な家族のため、自分自身を守るために、気持ちがラクになるヒントを見つけてもらえたら幸いです。
育児ノイローゼとは?
実は、育児ノイローゼは誰にでも起こりうる身近な心の不調です。まずはその意味や特徴を理解して、自分や身近な人のサインに気づけるようになりましょう。
育児ノイローゼの定義と基本的な情報
育児ノイローゼとは、育児によるストレスや疲れが積み重なり、心身のバランスを崩してしまう状態を指します。医学的な正式名称ではないものの、育児中の親が経験する可能性のある心や身体の不調のひとつです。気分の落ち込みやイライラ、不眠や食欲不振などの症状が表れ、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
産後うつとの違い
育児ノイローゼと産後うつは、どちらも子育てや出産後のストレスによる不調を指しますが、異なる点があります。
産後うつは、出産によるホルモンバランスの急激な変化が引き金となって起こります。一種のうつ状態で、出産から数週間〜数か月以内に発症することが多いのが特徴です。
一方、育児ノイローゼは出産直後に限らず、子どもが幼児期や学童期に入ってからでも発症します。つまり、育児が続く限り誰にでも起こりうるという点で、産後うつより長期的な問題といえるでしょう。
育児ノイローゼの症状
育児ノイローゼのサインは、心だけでなく身体や行動にも表れます。見逃してしまいがちな小さな変化ですが、早めに気づいて対処することで悪化を防ぐことが可能です。ここでは、育児ノイローゼの主な症状を精神的・身体的・行動の変化の3つに分けて解説します。
精神的な症状:イライラ、不安、気分の落ち込み、涙もろさ
育児ノイローゼは、まず精神面に不調が表れることが多いです。いつもなら気にならないことでイライラしてしまったり、不安で胸がざわついたり、理由もなく涙が出てしまったりします。
また、ちゃんと育てられていないかもと自分を責めてしまったり、子育てに限界を感じてしまうことも。こうした気分の落ち込みが続くと、自己肯定感が下がり、さらに悪循環に陥ってしまう恐れがあります。以下のような状態が続くときは、注意が必要です。
・些細なことでイライラしてしまい感情のコントロールが難しくなる
・将来や育児に対して漠然とした不安を感じる
・気分が落ち込む日が続き、何事にもやる気が出ない
・ふとしたことで涙が出てしまう
・自己否定感が強くなり、私なんて母親失格だなどと感じてしまう
身体的な症状:不眠、食欲不振または過食、疲労感
育児ノイローゼは身体にも影響を与えます。夜中の授乳や夜泣きで十分な睡眠が取れず、寝不足の状態が続くと、心だけでなく身体も限界を感じてしまいます。食欲が湧かず、何も食べられなかったり、逆に甘いものばかり食べてしまったりなど、食生活が乱れることも。
また、何をしても疲れが取れないと感じたり、だるさが続いたりします。以下のような症状が表れた場合、身体に不調をきたしている可能性があります。
・夜になっても緊張が抜けず眠れない、または眠りが浅い
・食欲が湧かず食事が苦痛に感じる、または過食傾向になる
・休んでも疲れが取れず、いつもだるいと感じる
・頭痛や肩こり、胃の不快感など、身体のあちこちに不調を感じる
行動の変化:引きこもり、育児放棄、子どもへの虐待
育児ノイローゼが進行すると、日常の行動にも変化が出てきます。人と会うのが億劫になって家に引きこもるようになったり、育児そのものを避けて放棄しようとしたり。また、辛さやイライラのあまり、子どもに対して怒鳴ったり手をあげたり、自分でも信じられない行動を取ってしまいます。親失格と自分を責めたくなるかもしれませんが、まずは不調に気付き、適切なサポートを受けることが大切です。
精神的・身体的な不調が積み重なると、日常の行動にも以下のような変化が表れます。
・外出するのが億劫になり、家に引きこもるようになる
・オムツ替えや食事など、育児の基本的なことさえやる気が起きない
・子どもの泣き声に耐えられず、大声を出したり手をあげたりしそうになる
・パートナーや他人との関わりを避けるようになる
・片づけや掃除に手が回らなくなる
育児ノイローゼの原因

育児ノイローゼには様々な原因があり、一つひとつは小さなストレス・悩みでも、積み重なることで心と身体の限界を超えてしまうことがあります。ここでは、代表的な5つの原因を見ていきましょう。
ホルモンバランスの変化(産後)
出産後、女性の身体は急激なホルモンの変化にさらされます。妊娠中に増えていたエストロゲンやプロゲステロン(※)が一気に減少し、心のバランスを崩しやすくなるのです。
さらに、母乳育児によって睡眠や食事のリズムも乱れがちになり、心身ともに不安定な状態に。こうした状態での育児は大きな負担となり、育児ノイローゼにつながる可能性があります。
※)エストロゲンやプロゲステロン
代表的な女性ホルモンで、妊娠中に重要な役割を果たします。エストロゲンは妊娠の準備や子宮内膜の形成、プロゲステロンは妊娠の維持に欠かせないホルモンです。
睡眠不足、疲労の蓄積
夜中の授乳や夜泣きへの対応で、育児中は慢性的な睡眠不足になりやすいです。しかも昼間も休む間はなく、家事や育児が一日中続きます。十分な休息が取れないまま疲れが蓄積すると、心の余裕がなくなり、ちょっとしたことでイライラしたり、不安が強くなったりします。身体と心は密接につながっているため、睡眠不足や疲労が育児ノイローゼの引き金となるのです。
孤立した育児環境、周囲の無理解
近年、地域のつながりが希薄になり、核家族化が進んでいることから、育児を一人で抱え込む人が増えています。周りに相談できる人がいなかったり、パートナーや家族が理解してくれなかったりすると、孤立感がより強まります。わかってもらえないという気持ちが、精神的な負担をさらに大きくしてしまうのです。
完璧主義、高い理想
完璧主義や高い理想が、育児ノイローゼの原因となることがあります。完璧主義な性格の人ほど、育児で手を抜くことに罪悪感を覚えがちです。SNSなどで理想的な育児を見ては自分と比較してしまい、「私だけうまくいってない」と思い込んでしまうのです。食事や生活リズム、知育まで高い理想をもって完璧にこなそうとすると、知らず知らずのうちにストレスが溜まったり、不安を感じたりしてしまいます。その結果、気付くと育児ノイローゼになってしまうのです。
育児のストレス・プレッシャー
泣きやまない赤ちゃん、思い通りにいかない日々、終わりの見えない育児。子どもが成長するまで続くこの状況に、心が押しつぶされそうになることもあります。「私しかいない」「逃げ場がない」と感じると、ストレスはどんどん大きくなります。そのようなストレスやプレッシャーも、育児ノイローゼの原因の一つです。
育児ノイローゼの対策と解消法

育児ノイローゼになったとしても、適切な対策をとることで回復への道が見えてきます。日常の中でできる工夫や周囲の協力によって、少しずつ心の負担を軽くしていきましょう。最後に、育児ノイローゼの具体的な対策と解消法を4つご紹介します。
休息と睡眠時間の確保
育児中は自分の時間なんて取れないと思いがちですが、意識することで休息や睡眠を確保することは可能です。疲れを溜め込む前に、できる範囲で工夫して発散していきましょう。以下のような方法を取り入れてみてください。
・時短家電の導入:食洗機やロボット掃除機、乾燥機付き洗濯機などの時短家電は、家事の負担をぐっと減らしてくれます。
・宅配サービスや冷凍食品の活用:ネットスーパーや冷凍食品を活用することで、買い物や料理の時間を短縮できます。
・パートナーや家族と役割を見直す:一人で頑張りすぎず、パートナーと家事・育児の役割を分担することで、負担を減らせます。
完璧を目指さず、手を抜けるところは抜いて、育児・家事と上手く付き合うことがコツです。休むことに罪悪感をもたず、自分のための時間を少しずつ取り戻していきましょう。
リフレッシュ方法を見つける
育児に追われていると、気分転換する時間を忘れてしまいがちです。しかし、リフレッシュは心の余裕を保つための大事な時間。お気に入りの音楽を聴いたり、好きなスイーツを食べたり、ストレッチしたりするなど、ちょっとしたことで気分が変わります。自分に合ったリフレッシュ方法を探して、意識的に取り入れるようにしてみてください。
家族や友人に相談する
育児が辛いと感じたときは、身近な人に相談しましょう。特に、家族や友人など、気兼ねなく話せる相手の存在は大きな支えになります。思いを口に出すことで、気持ちを整理できたり、意外な気づきを得たりすることもあるでしょう。
ただ、身近な人には話しづらいと感じるときもありますよね。そんなときは、自治体の育児相談窓口や保健センター、子育て支援センターを頼りましょう。また、子育て経験のあるママ友や、SNSでつながる同じ境遇の人たちとやりとりするのも良い方法です。
どうしても気持ちが追いつめられている場合は、医療機関や、以下の相談ダイヤルを利用できます。
・児童相談所相談専用ダイヤル(児童相談所)
電話番号:0120-189-783
相談受付時間:24時間365日
・親子のための相談LINE(こども家庭庁)
相談受付時間:地域により異なるためHPにて確認してください。
・育児相談電話(日本保育協会)
電話番号:03-3222-2120
相談受付時間:月曜~金曜日(土日祝・年末年始除く)10:00~12:00/13:00~16:00
勇気を出して誰かに伝えることが、育児ノイローゼから回復する第一歩となります。
パートナーとの協力体制を築く
パートナーと一緒にチームとして育児に向き合い、育児の負担がどちらか一方に偏るのを防ぎましょう。とはいえ、最初からパートナーに完璧な協力を求めるのは難しいですよね。まずは、日々の思いや困っていることをお互い丁寧に伝え、少しずつ協力の形を築いていくことが大切です。感謝の気持ちを持ちながら関わることで、育児に対する見方も前向きに変わっていくでしょう。
まとめ
この記事では、育児ノイローゼの定義や症状、原因、対策や解消法をご紹介しました。
育児ノイローゼは、誰にでも起こりうる身近な問題です。育児中のママやパパは、子どもを思うからこそ、責任感や不安に押しつぶされそうになることもあります。「もしかして育児ノイローゼかも?」と少しでも感じたときは、今回ご紹介した対策を試してみてください。
また、パートナーが疲れていそうなときは、家事を分担したり、話を聞いたりして歩み寄る姿勢をもつことが大切です。少し休むことや誰かに話すこと、ほんの数分でも自分の時間を持つことが、回復へのきっかけになります。
適度にリフレッシュしたり、周りのサポートを活用したりしながら、育児と付き合っていきましょう。