子どもが誰かを叩くと「どうして叩いてしまうの?」「育て方が悪いのかな」と、不安を感じるママやパパは少なくありません。子どもにダメだと伝えていても、何度も繰り返されることで、つい感情的に怒鳴ってしまった経験がある人もいるのではないでしょうか。
子どもが手を上げてしまう背景には、様々な理由があります。
この記事では、子どもが叩いてしまう理由や、叩いてしまった親がどう対応したらいいか、叩き癖の予防策などを紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、親子の関わりの参考になれば幸いです。
子どもが叩くのには理由があることがほとんどです。ここではよくある理由を3つ紹介します。
子どもが叩いてしまう理由の一つに、自分の気持ちを言葉にするのが難しく、うまく伝えられないストレスから叩いてしまうことが挙げられます。1歳半~3歳頃は自我が芽生えて、「こうしたい」という欲求が強くなる時期です。
「貸してほしい」「いや」など、自分の気持ちを言葉で伝えられると良いのですが、小さい子どもは上手に伝えられないことが多いです。子どもなりの言葉で気持ちを伝えようとしても、親や友達には伝わらないこともあるでしょう。そのようなもどかしい思いをしているときに、気持ちを伝える手段として叩くという行動が現れます。
また「叩いたらおもちゃを貸してくれた」などの成功体験があると、子どもが誤った学習をしてしまい、繰り返し叩いてしまうことにつながることがありますので、注意しましょう。
叩かれた相手が「痛い」「悲しい」と感じることを、十分に理解できないという発達上の理由もあります。心理学では、自分とは違う他者の心を推測する能力を「心の理論」と呼びますが、この力が育ち始めるのは4歳頃からと言われています。そのため、乳幼児期の子どもは自分の行動で相手がどう思うのかを想像することが苦手です。
叩くという行為と、相手が感じる痛みや悲しみが結びついていないため、相手がなぜ泣いているのかがわからず、同じことを繰り返してしまうことがあります。
親の気を引くために、わざと叩くことも多いです。例えば、きょうだいが生まれたり、保護者が家事や仕事で忙しくしていたりすると「自分への関心が薄れた」と感じて不安になることがあります。良いことで褒められるよりも、悪いことをして叱られる方が手っ取り早く親の注意を引けると学習してしまうのです。
これは「試し行動」とも呼ばれ、親が自分に愛情を持っているか、確認しようとする気持ちの表れでもあります。親がスマートフォンを操作している時や、他の家族と話している際などに叩いてくるときは、このケースに当てはまるかもしれません。
数分だけでも子どもと2人で一緒に遊べる時間を作る、抱きしめてあげるなど「叩かなくても自分のことを大切にしてくれている」と、子どもが感じられるように関わることが大切です。

次に、子どもが叩いてしまったとき、親がどう対処すれば良いかを3つ紹介します。
子どもが叩いてしまったら、落ち着いて子どもに「痛いよ」「ダメだよ」と伝えて、行動をすぐにやめさせましょう。大声で怒鳴ると、びっくりして「怖い」と手を止めますが、なぜ怒られているのかまでは理解できません。ダラダラと長くお説教をすることも、子どもは集中して聞けないためNGです。伝えたいことを落ち着いたトーンで、短くはっきりと言葉にすることが大切です。
また、言葉だけでは理解ができず、叩くことをやめられないときは、言葉と同時に子どもの手をつかんですぐに止めましょう。子どもの気持ちが興奮しているときには、体をギュッと抱きしめることも効果的です。抱きしめられると少しずつ気持ちも落ち着いていき、親の話を聞けるようになりますよ。
子どもが叩くのをやめたら、叩かれた子に「大丈夫?痛かったよね」と気遣い、配慮を促しましょう。子どもが伝えることが難しければ、親が声をかけます。
そのうえで「叩かれるとお友達は痛いよ」「悲しいよ」と伝えて、子どもと一緒に「ごめんね」と謝ります。まだ話せない子どもであれば、相手の子の頭を優しくなでてあげるのも良いでしょう。
親が一緒に対応することで、子どもはどう謝ったら良いかを学んでいきます。まだ小さくても、親の姿を見せていくことが大切です。
また、近くに叩かれた子どもの保護者がいれば、配慮として保護者にも「ごめんなさい」と親から一言謝ることも忘れないようにしましょう。
子どもが興奮しているときには、場所を離れて叩かれた子どもとの距離をあけるのがおすすめです。トラブルになった相手の人や物が見えるところにいると、なかなか気持ちを切り替えられないことがあります。興奮状態が長い場合は、次のような対応がおすすめです。
タイムアウト法は、親子がクールダウンするためにとられる手法です。タイムアウトを実施することを事前に予告し、別の部屋に移動して年齢×1分程度、静かに過ごします。その間に親も気持ちを落ち着けて、タイムアウトが終わったときに冷静に対処しましょう。
子どもが落ち着いたら、叩いた理由を聞き、気持ちを受け止めたうえで、叩かずに言葉で伝えるように促しましょう。
この章では、子どもが叩いたときに、親がやってはいけないNG行動を紹介します。
「まだ小さいから仕方ないよね」「そのうちやらなくなるはず」と、子どもが叩くことに対しての見て見ぬふりはNGです。見て見ぬふりをすることで、子どもは「叩いてもいいんだ」と学習してしまうため、声かけや制止をして注意をしましょう。
また、親がふざけると遊びの延長だと勘違いしてしまいますし、泣き真似をしていると子どもは「親が嘘をついている」と分かります。いずれも叩く行為がエスカレートしたり、親子の信頼関係に影響が出たりするため、やめましょう。
ただし、親の注意をひきたくて叩く場合は、あえて無視をした方が良いときもあります。「選択的無視」「計画的無視」とも呼ばれ、子どものことを無視するのではなく、行動そのものに対して「この行動をしても注目されない」と気づかせることが目的です。
子どもが叩く理由を見極めたうえで、適切な対応をとりましょう。
叩いたことの理由を聞かずに、怒鳴り散らすことは逆効果です。子どもが叩く背景には悲しみや怒りの気持ちが隠れていますが、責め立てたり怒鳴ったりすると、親に恐怖心を抱きます。「ママやパパが怒ると怖いからやめる」というのは、根本的な解決になりません。親も人間なので、感情的になってしまうこともあると思いますが、できるだけ落ち着いたトーンの声で子どもと話しましょう。
例えば、使っていたおもちゃをとられて叩いてしまった場合は、まずは子どもが嫌だった気持ちを受け止めることが大切です。最初に動きを制止したうえで「おもちゃをとられて嫌だったね。でも、叩くのは痛いよ。『ダメ』『使ってるよ』と言おうね」と、気持ちを受け止めてから、叩くことに対しての注意と気持ちの伝え方を話しましょう。
「叩かれる痛みを分からせたい」「自分も幼少期に叩かれてきたから」という考えから、しつけとして親が子どもを叩くことがあります。しかし、親が叩いてしまうと、子どもは「言うことを聞かない相手には、力を使ってもいいんだ」と学んでしまいます。叩くという行為を肯定することになるため、言葉で伝えるようにしましょう。
また、脳科学の研究によると、日常的に体罰を受けた子どもは、脳の前頭前野が萎縮することが判明しています。前頭前野は感情や思考をコントロールする部分であり、犯罪抑止力にもつながる大切な部分です。
ほかには集中力・意思決定・共感に関わる部分や、認知能力にも影響があり、うつ病の一つである感情障害や、非行につながると言われています。家庭内だけでなく、学校生活や職場など、社会の中で生きていくことが難しくなるため、絶対にやめましょう。

ここからは、子どもの叩き癖を予防する対策を紹介します。
子どもは「自分に注目してほしい」「気持ちを伝えたい」という思いから、叩いてしまうことが大半です。優しくポンポンと触るだけでも、ママやパパが見てくれるということが理解できれば、力任せに叩くことが少なくなります。
叩いたときには、いけないことだと伝えつつ「優しくポンポンだよ」と、手をとって教えてあげると良いでしょう。普段から親子で触れ合い遊びをすることも、子どもの身体感覚の発達を促して、人に触れるときの力加減の調整や、親子関係の安定につながります。ぜひ取り入れてみてください。
子どもが叩いてしまう行動の裏には、必ず何らかの根本的な原因が隠れています。子どもの様子を日頃からよく観察し、どのような状況で叩きやすいのかを探ることが大切です。
例えば、自分の気持ちをうまく言葉にできずに手が出てしまう子には「おもちゃを取られて悔しかったね」などと、気持ちを代弁してあげましょう。感情を言葉にする経験を重ねることで、子どもは気持ちを表現する方法を学びます。
また、親の注意を引きたくて叩いていると感じる場合は、子どもと一対一で向き合う時間を作ることが効果的です。「自分は愛されている」と感じることで、気を引くために叩くということは減っていきます。
子どもが叩くことをやめさせるには、根本的な理由を理解して、愛情を持って対応をすることが大切です。叩く理由によって対応が異なるため、まずは子どもがなぜ叩いてしまうのかを分析してみましょう。
親も人間なので、叩かれると悲しい気持ちになり、子どもに対して苛立ちを覚えることがあるかもしれません。タイムアウト法などの親自身もクールダウンできる方法を取り入れながら、できるだけ落ち着いて対応していきましょう。