子どものための漢字の覚え方:楽しく効果的に学ぶ秘訣

「また漢字の宿題で苦戦してる…」「頑張って勉強しているけどなかなか覚えられない」
そんな姿を見るたびに、どうやって教えたらいいか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
小学校で習う漢字の数は、全部で1,026字。
中学年~高学年では覚える量も多くなるので、途中でつまずいてしまう子も少なくありません。
特に「書いて覚える」がメインになると、勉強が苦痛になってしまいます。
しかし、ちょっとした工夫で、漢字はぐっと覚えやすくなるもの。
楽しく・効果的に覚えられる方法や、家庭でできるサポートもいろいろあるんです。
この記事では、子どもが漢字を「苦手」から「得意」へ変えていけるように、学習のポイントや家庭でできる工夫をわかりやすくまとめました。
無理なく続けられる方法を見つけて、親子で一緒に漢字の壁を乗り越えていきましょう!
なぜ子どもは漢字が苦手になるの?
「うちの子、なんで漢字がこんなに苦手なんだろう?」そう感じたことはありませんか?
それは珍しいことではありません。
ここでは、子どもが漢字に苦手意識を持つ理由について解説します。
漢字学習のつまずきポイント
漢字は、学年が上がるごとに少しずつ難しくなっていきます。
特に3年生以降になると、つまずきを感じる子が増えてくるようです。
この頃から、形が複雑な漢字が多くなり、見た目だけで正しく書くのが難しくなります。
たとえば、「旅」や「感」などは、見本がないとバランスが取りづらく、覚えにくさを感じやすい漢字のひとつです。
さらに、似ている漢字を同時に習うことも増えます。
「旅」と「族」のように、形が似ていると混同しやすく、意味の違いも曖昧なままになりがちです。
また、抽象的な意味を持つ漢字が増えるのも、記憶に残りにくい理由のひとつ。
「様」や「感」など、目に見えないものを表す言葉はイメージしにくく、繰り返し書いてもなかなか覚えられないという声もよく聞かれます。
こうした難しさが重なることで、それまで順調だった子どもでも、急に漢字が苦手になることがあります。
漢字嫌いになる前に知っておきたいこと
漢字が本格的に難しくなる前に、ちょっとした工夫を取り入れておくことで、苦手意識を持ちにくくなります。
ポイントは「見る機会を増やすこと」と「その子に合った覚え方を見つけること」です。
まずは、日常的に漢字を読む機会を増やすようにしましょう。
読み聞かせのときに指で漢字をなぞったり、本に出てくる漢字を一緒に読んだりするだけでも、「見たことある」「なんとなく読める」と感じるようになります。
読めないものをいきなり書かせようとしても、子どもにとってはハードルが高く、やる気も続きません。
もうひとつ大事なのは、覚え方に正解を決めないこと。
子どもによって、向いている方法はさまざまです。
形の特徴で覚える子ども、音で覚える子ども、体を動かしながら覚える子どもなど、それぞれに合った覚え方があります。
色分けや語呂合わせ、空中書きなど、いろんな方法を試しながら、楽しく覚えられるやり方を一緒に見つけてあげましょう。
漢字学習を楽しくする基本
漢字は「書いて覚える」のが1番だと思っていませんか?
ですが、子どもが漢字を嫌いになってしまっては意味がありません。
ここでは、漢字学習を楽しくする方法を紹介します。
本を読んで漢字を覚える
子どもにとって、ただ漢字を繰り返し書くだけの勉強は、退屈で続けにくいもの。
そんなときにおすすめなのが、「本を読むこと」。
楽しみの中で漢字にふれられる、効果的な学習方法です。
物語の中には、日常的に使う言葉や表現がたくさん出てきます。
そうした生きた文章の中で漢字を読むことで、「いつ、どんなふうに使うのか」が自然と頭に入ってくるのです。
1度覚えた漢字がまた出てきたときの、「あ、これ知ってる!」という経験が、理解の定着にもつながります。
本を選ぶときは、ジャンルにこだわりすぎる必要はありません。
大切なのは、子どもが「読みたい」と思えるかどうか。
ただし、漫画やライトノベルなどは、“当て字”や独特な読み方が多い場合もあるので注意が必要です。
また、読書には、漢字だけでなく語彙力や読解力を育てる力もあります。
自分が好きな本でよいので、たくさんの文章を読むようにしましょう。
遊びを通して漢字に親しむ
漢字が嫌いな子どもにとって、ひたすら書いて覚える方法は苦痛になります。
漢字を「勉強」と捉えるより、まずは遊びの中でふれるのがおすすめです。
かるたやパズル、クイズなどで楽しみながら覚えることで、自然と苦手意識も薄れていきます。
「とにかく書いて覚えなさい」というドリル学習では、ますます漢字が嫌いになるだけで逆効果です。
そのため、まずは遊びを通して漢字に親しみ、漢字学習に対する意識を高めることが大切です。
そうすれば、「もっとたくさん漢字を知りたい」と意欲が湧いてくるようになります。
効果的な漢字の覚え方

毎日頑張って勉強しているのになかなか身についていない。
それは「やり方」が合っていないだけかもしれません。
ここでは、効果的な漢字の覚え方をご紹介します。
漢字の意味を理解する
漢字をなかなか覚えられないのは、「意味」を理解していないことが原因かもしれません。
意味がわからないと、思い出そうとしても引き出せず、記憶に残りにくくなってしまいます。
漢和辞典などを使い、「その漢字が何を表しているのか」をしっかり確認しておきましょう。
語呂合わせと同じように、理解とイメージが結びつくことで、学びがぐっと深まります。
書きながら同時に読む
漢字は、書くときに声に出して読むことで記憶に残りやすくなります。
目で見て、声に出し、手を動かすことで、視覚・聴覚・触覚の3つを同時に使うことになり、自然と頭に入りやすくなるからです。
特に家庭学習では、黙々と書くより「読みながら書く」習慣をつけたほうが、集中力も上がります。
シンプルな方法ですが、繰り返すうちに「読める・書ける」が無理なく身についていきます。
単語や熟語、例文で覚える
漢字は、1つずつ覚えるよりも単語や熟語で覚えたほうが効率的です。
たとえば「感」という漢字を、「感動」「感謝」「感想」といった言葉の中で覚えることで、意味のイメージも一緒に身につきます。
ただ何度も書くよりも、使い方とセットで覚える方が、記憶にも残りやすくなります。
特に国語のテストや受験では、熟語や文脈を問われることも多く、単体で覚えるよりも実用性が高いのが特徴です。
新しく習う漢字や苦手な漢字は、まずは単語や例文でふれることから始めてみましょう。
夜に勉強する
漢字を覚えるなら、寝る前の学習がもっとも効果的です。
脳は睡眠中にその日覚えたことを整理すると言われており、寝る直前に暗記した内容は、翌朝まで記憶に残りやすくなります。
漢字のような暗記中心の学習とは特に相性がよく、効率よく覚える手助けになります。
ただし、夜遅くまで無理をせず、しっかり睡眠をとることも大切です。
短い時間でもよいので、寝る前に漢字にふれる習慣をつけてみましょう。
家庭でできる漢字学習のサポート
漢字の学習は、学校だけでなく、家庭でのちょっとした声かけや工夫でも続けやすくなります。
ここでは、家でできるシンプルなサポート方法をご紹介します。
間違ったところをチェック・訂正する
漢字を書いたあと、そのままにせず、一緒に見直してあげましょう。
「ここ、ちょっと形がちがうね」「この線は少し長いかな?」と、やさしく伝えるだけでOKです。
大切なのは、できなかったことを責めるのではなく、「気づけてえらいね」と前向きな声かけをすること。
間違いを直すことに抵抗がなくなれば、自然と漢字への苦手意識が減っていきます。
漢字学習ツール(ドリル・絵本など)を選んであげる
子どもに合った学習ツールを一緒に選んであげましょう。
ポイントは、「楽しく続けられるかどうか」です。
たとえば、イラスト付きのドリルや、ストーリー仕立ての漢字絵本、ゲーム感覚で学べるアプリなどは、遊びの延長として取り組めるのでおすすめです。
逆に、難しすぎたり単調だったりする教材では、やる気は続きません。
「これならできそう」「おもしろそう」と思えるものを選ぶことで、自分から進んで学ぶきっかけになります。
漢字学習を継続させるために

「最初はやる気があったのに、すぐ飽きてしまう…」
子どもの漢字学習がなかなか続かないのは、多くの親にとって共通の悩みかもしれません。
漢字はコツコツ覚えていくものだからこそ、継続できる工夫が大切です。
ここでは、子どもが無理なく、前向きに学びを続けられるヒントをご紹介します。
時間をおいて復習する(忘却曲線の活用)
漢字は、一度覚えたからといって、ずっと頭に残るわけではありません。
大事なのは、忘れてしまう前にもう一度ふり返ることです。
人の記憶は時間とともにどんどん薄れていく――これは「忘却曲線」と呼ばれる心理学の考え方にもとづいたもの。
たとえば、今日覚えた漢字も、翌日には半分近くを忘れてしまうと言われています。
しかし、思い出せるうちにもう一度復習すれば、その記憶はより長く残るようになります。
何度もくり返すことで、「なんとなく覚えてる」が「しっかり覚えた」に変わっていくのです。
一例ですが、おすすめの復習タイミングは、以下の間隔です。
- 1回目:覚えた翌日
- 2回目:1週間後
- 3回目:2週間後
- 4回目:1か月後
- 5回目:2か月後
このペースで軽くふり返るだけでも、漢字の定着率はぐんと上がります。
少しずつ、間をあけながら思い出す、それだけで十分な学習になります。
テストやクイズを自作してみる
漢字のテストやクイズを自分で作ってみるのも、効果的な学習法です。
問題を考えるには、一度覚えた漢字を思い出したり、意味や使い方を確認したりする必要があり、「作る」という過程そのものが、自然と復習になります。
さらに、「”あとで解くための”問題を作った」という意識が働くことで、ただのプリントよりも集中して取り組めることが多く、記憶にも残りやすくなります。
コツは、作ったテストをすぐに解かず、1〜2日あけてから解くこと。
時間をおいて挑戦することで、「思い出す力」が育ち、定着度がぐっと高まります。
親子で出題し合ってみるのもおすすめです。
ゲーム感覚で取り入れれば、続けるモチベーションにもつながりますよ。
過度な反復書き取りをしない
漢字を覚えるには、ただひたすら書けばいい――と思ってしまいがちですが、むやみに何十回も書くのは逆効果になることもあります。
たとえば「曜」という漢字を30回書かせたとしても、子どもが途中で飽きてしまえば、それはもう“覚える”ためではなく“終わらせる”ための作業になってしまいます。
そんなときは、3〜5回ほど集中して書いたあと、読み方や使い方を確認したり、文章にしてみたりと、別の角度からふり返ることが記憶の定着につながります。
大切なのは、数をこなすことではなく、どう取り組むか。
少ない回数でも、意味や形にしっかり意識を向けて取り組めば、効果は十分にあります。
まとめ
漢字って、どうしても子どもがつまずきやすい学習ですよね。
ですが、「意味がわかる」「読める」「ちょっと書ける」だけでも、自信につながります。
実は、漢字が苦手なままだと、国語以外の教科でもつまずきやすくなるんです。
理科や社会のテストで「読めないから意味がわからない」なんてことも。
本を読んで自然に覚えたり、声に出して書いてみたり、ゲーム感覚でクイズにしたり――。
楽しみながら続けられる方法を見つけることが、1番の近道かもしれません。
焦らず、いろんなやり方を試してみてくださいね。
ちょっとしたサポートでも、子どもの学びはぐんと伸びますよ。