下の子が生まれてから、「上の子にきつく当たってしまう」「素直に可愛いと思えなくなった」といったケースが見られることがあります。こうした心の状態は「上の子可愛くない症候群」と呼ばれ、多くの親が経験することがわかっています。
本記事では、上の子可愛くない症候群が起こる原因と、罪悪感を手放す考え方、上の子との関係を改善する対処法を解説します。上の子を可愛いと思えないと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
まずは、「上の子可愛くない症候群」の症状と、続く期間の目安を見ていきましょう。
「上の子可愛くない症候群」は正式な病名ではなく、下の子の誕生をきっかけに上の子への愛情を素直に感じられなくなる状態を指す俗称です。ここ数年、SNSなどを通じて呼び名が広まり、「自分にも当てはまるかもしれない」と感じる方が増えています。母親だけでなく、父親に起こることもあります。
具体的には、以下のような感情や行動が見られます。
これらの感情は、きょうだいの年齢差が小さいほど、また上の子がイヤイヤ期など手のかかる時期と重なるほど、強く表れる傾向があります。一度「可愛くない」と感じてしまうと、上の子の言動すべてが気になってしまうことも少なくありません。
これは愛情がなくなったわけではなく、心と体の余裕がなくなっていることによる一時的な反応です。
「ダメな親だな…」と自分を責める必要はなく、「誰にでも起こり得る自然なこと」と受け止めることが大切です。
「上の子可愛くない症候群」が続く期間には個人差があり、数週間〜数ヶ月で落ち着く人もいれば、数年かかる人もいます。多くは、次のようなタイミングで自然と和らいでいきます。
大切なのは、「可愛いと思わなければ」と無理をしないことです。感情は直接コントロールできるものではありません。一過性の症状だと理解することが大切で、それだけで気持ちは軽くなります。

次に、上の子にイライラしてしまう主な原因を紹介します。
出産後は、エストロゲン・プロゲステロンといった女性ホルモンの分泌量が急激に減少します。ホルモンバランスの乱れは、情緒不安定やイライラ、涙もろさなどを引き起こしやすく、産後うつの一因にもなるとされています。
上の子への愛情を素直に感じられなくなり、イライラするのも、この時期特有のホルモンの影響を強く受けていると考えられます。
なお、ホルモンバランスの変化は、産後1〜3ヶ月ほどで徐々に落ち着いていきます(授乳の有無などで個人差はあります)。
※エストロゲン・プロゲステロン:妊娠の維持や胎児の発育を支える代表的な女性ホルモンのこと。
赤ちゃんには、「頭が大きい」「目鼻立ちが顔の下方に集まっている」「頬がふっくらしている」といった特徴があります。これは「ベビースキーマ」と呼ばれ、大人が本能的に「守りたい」「可愛い」と感じるように備わった仕組みです。
生まれたばかりの下の子は、庇護欲を強く刺激する存在です。一方で上の子は、時間とともにベビースキーマの特徴が薄れていきます。そのため、無意識のうちに下の子を優先してしまい、上の子が大人びて見えたり、以前のように可愛く思えなくなったりすることがあるのです。
下の子が生まれてからの生活は、授乳や夜泣きへの対応に加え、上の子の送迎や赤ちゃん返りへの対応まで重なります。休む時間を確保できず、慢性的な睡眠不足が続くため、疲労が蓄積されていきます。
睡眠不足は感情のコントロールを難しくし、イライラの原因になります。きつく当たってしまった時は「休息を求めているサイン」と捉え、睡眠や休息の時間を確保することを優先しましょう。
上の子を可愛いと思えないと、自分に罪悪感を抱いてしまいがちです。ここでは、罪悪感を手放す対処法を紹介します。
前述した通り、上の子を可愛く思えないのは、「ベビースキーマの影響で下の子に注意が向きやすくなっている」、「ホルモンバランスの変化や睡眠不足で心に余裕がなくなっている」といった、複数の要因が重なった結果です。
「今はそういう時期なんだ」と割り切って捉えてみましょう。自分を責めたり感情を抑え込んだりするより、気持ちが楽になりますよ。
まずは、「誰にでも起こり得る現象だ」ということを、知識として知っておきましょう。
上の子可愛くない症候群は、余裕が失われた結果として起こる「一時的な反応」であり、疲れが溜まれば、誰もが陥る可能性があります。
。「自分だけがおかしいのでは」と考えず、「誰にでも起こりうる現象」だと知識として知っておくだけでも、気持ちの負担が軽くなります。
どうしても辛いときや、上の子への態度がエスカレートしてしまいそうなときは、まずは上の子と物理的に離れる時間を作ってみてください。パートナーや祖父母に任せるのはもちろん、自治体の一時預かりやファミリーサポートなどを活用することもできます。

続いて、上の子との関係を改善する対処法を紹介します。
下の子が生まれると、上の子と1対1で過ごす時間がどうしても減ってしまいます。それにより上の子は、寂しさや嫉妬を抱えていることが少なくありません。
短い時間でも構わないので、上の子と2人きりの時間を意識的に作りましょう。
例えば、以下のようなタイミングがおすすめです。
特別なイベントである必要はなく、一緒にいる時間を作れれば十分です。短くても、2人きりの時間を重ねることで、大切に思われている安心感を感じることができます。
育児を一人で担うのには、どうしても限界があります。パートナーや祖父母など、頼れる家族がいる場合は、積極的にヘルプをお願いしましょう。
例えば、以下のような役割分担がおすすめです。
役割を分けておくことで、上の子と向き合う時間を確保しやすくなります。さまざまな大人と過ごす時間が増えることは、上の子にとっても気分転換になるはずです。
自治体の一時保育や保育園の一時預かり制度を利用し、上の子と少し距離を置くという方法もあります。預けることに罪悪感を感じるかもしれませんが、無理を重ねて関係がこじれるよりも、結果的に関係にとってプラスになることがあります。
一時保育は必ずしも仕事や急用がなければ使えないわけではなく、「育児疲れのリフレッシュ」を理由に利用できる自治体も多いです。ただし、利用できる年齢や料金は自治体や施設によって異なります。
検討している施設の情報を詳しく知りたい場合は、こども家庭庁の「ここdeサーチ」などで、調べてみてください。
一人の時間ができることで、気持ちがリセットされたケースは多いようです。まずは月1回など、無理のない頻度から試してみるとよいでしょう。
ここまで紹介した対処法に加えて、習い事を取り入れるのもおすすめです。最後に、習い事が親子のストレス緩和につながる理由を紹介します。
習い事の時間は、上の子と物理的に離れて過ごせる時間です。レッスン中は下の子と2人でゆっくり過ごしたり、自分の時間に充てたりすることができます。近くのカフェでお茶を飲む、教室の周りを散歩する、車の中で少し目を閉じるなど、自分なりのリフレッシュ時間を取り入れましょう。
一時保育のように事前の登録や予約が必要なく、毎週決まった時間に予定として組み込まれる点が、習い事のメリットです。忙しさが続く中で、定期的にリフレッシュする時間を用意することができます。
家庭と異なる環境で頑張る姿を見てもらえることは、自己肯定感の成長につながります。
一般的に習い事の場では、下の子と比べられることなく、上の子個人として認めてもらえる機会が増えます。
できることが増え、先生とコミュニケーションをとることで、「自分は認められている」と感じることができます。
先生という親以外の大人から褒めてもらえる経験は、子どもにとって特別です。習い事という自分の居場所で自信をつけることで子どもの心は満たされ、家での落ち着きや下の子への優しさに繋がっていきます。
習い事に通い始めると、先生や他の保護者など、親以外の大人と関わる機会が増えます。家族以外の人とコミュニケーションをとる経験を重ねることで、初対面の相手に物怖じせず、自分の気持ちを伝えられるようになっていきます。
また、先生からレッスン中の様子を聞くことで、家庭内だけでは気づかない上の子の一面を知るきっかけにもなります。上の子への理解が深まることで、「可愛く思えない」という気持ちにも変化が生まれやすくなるでしょう。
「上の子可愛くない症候群」は、多くの親が経験する自然な症状です。愛情がなくなったわけでも、親として失格なわけでもありません。
下の子のお世話をしながら上の子とも向き合わなくてはいけない毎日は、余裕がなくなってしまいますよね。
この記事がそんなパパ・ママのお役に立てれば、とても嬉しいです。
本記事では、上の子可愛くない症候群が起こる原因や、罪悪感を手放す考え方、上の子との関係を改善する対処法を紹介しました。親子で笑い合える毎日を過ごすために、紹介した対処法を是非試してみてください。