子どもが不登校になると「進学に影響はあるのでは?」「このまま家にこもってしまうのではないか」と不安を感じる人もいるのではないでしょうか。
文部科学省の過去の追跡調査によると、不登校の時期があっても多くの人が進学や就業していることが分かっており、必要以上に心配する必要はありません。学校に行くことにこだわらなくても、将来につながる選択肢はたくさんあります。
この記事では、不登校生の進路データや選択肢、家庭での関わり方について紹介します。ぜひ最後までお読みいただき、子どもとの関わりや進路選択の参考になれば幸いです。
まずは文部科学省が公表している、不登校に関する調査の結果から、不登校になった子どものその後を見ていきましょう。
【参照】
文部科学省:不登校に関する実態調査
https://www.mext.go.jp/content/20211006-mxt_jidou02-000018318-2.pdf
文部科学省:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_jidou02-100002753_1_3.pdf
文部科学省:「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1349956.htm
文部科学省:「不登校に関する実態調査」 報告書 第1部 調査の概要・第2部 基礎集計編
まずは文部科学省の「不登校に関する実態調査」 から、高校への進学率と、20歳現在の就学先・就業状況を見ていきます。この調査は平成18年度に中学校3年生で、学校基本調査において不登校として計上された約4万1千人を対象に行われました。
◆高校進学率と中退率
| 平成18年度実施 | 平成5年度実施 | |
| 高校進学率 | 85.1% | 65.3% |
| 高校中退率 | 14.0% | 37.9% |
高校進学率は平成5年度実施の調査と比較して大幅に増加しており、不登校経験の有無に関わらず勉強を続けられる環境が整ってきていることが示されています。また、高校中退率も大幅に低下しており、高校生活に適応できるような環境や配慮が整ってきたともいえます。
◆中学卒業後の進路内訳
| 高等学校に進学(就職なし) | 80.9% |
| 働きながら高等学校等に進学 | 4.2% |
| 就職のみ(進学なし) | 6.0% |
| 進学も就職もしていない | 8.4% |
※「高等学校に進学」「働きながら高等学校等に進学」を合計し、高校進学率85.1%としています
多くの子どもが自分のペースで居場所を見つけていますが、時間がかかるケースもあるため、焦らず見守ることが大切です。学校に戻ることだけを目標にせず、子どもに合った学びの場を探すことで、将来の可能性を広げられます。
次に、20歳時点での就学・就業状況を見ていきましょう。
| 就業のみ(パート・アルバイトが主) | 34.5% |
| 就学のみ(大学・短大・高専・専門学校など) | 27.8% |
| 就学・就業(働きながら学校に通っている) | 19.6% |
| 非就学・非就業 | 18.1% |
20歳の時点では81.9%が就業や就学をしています。中学生の頃に学校へ行けなかったとしても、大人になるまでの間に、自分の居場所を見つけている人が多いことが分かります。
2010年に行われた国勢調査によると、全体に占める「非就学・非就業」の割合は8.6%、比較すると高い印象を受けますが、80%以上が就学・就業できている点も注目したい点になります。
一方で就業や就学をしていない人が18.1%いますが、無理に急がせるのではなく、子どもの気持ちが回復するのを待つ姿勢が大切です。
なお、今回紹介している追跡データは平成18年度の調査に基づくものです。現在は通信制高校在籍者が30万人を超え、多様な学びの場が増加しているため、当時よりもさらに多くの子どもが進学・社会参加できていると考えられます。

不登校の解決というと「元のクラスに戻ること」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、無理に学校へ戻そうとすると、子どもがさらに苦しくなることもあります。今は、学校以外にも学べる場所や進路の選択肢が増えています。
子どもが安心して過ごせて、自分のペースで学べる環境を見つけられるよう、様々な選択肢を検討していきましょう。
毎日学校に通うことが難しい場合は、通信制高校や定時制高校も選択肢になります。通学日数や授業時間にゆとりがあるため、不登校を経験した生徒や体調面に不安を抱える生徒、仕事をしながら通う生徒も多いのが特徴です。
通信制高校は家で学習を進め、決められた登校日に学校へ行きます。毎日の通学に不安がある子どもでも、無理なく学びやすい環境といえるでしょう。
最近はオンラインで授業を行うスタイルの学校も増えているため、全国どこからでも学べます。決められた単位を修得することで卒業でき、最短3年で卒業が可能です。
一方、定時制高校は次のような時間帯に、学校で授業を行います。
学校に行かない時間に仕事をするなど、生活リズムに応じてコースを選べるのが特徴です。定時制高校は卒業までにかかる期間は基本的に4年間ですが、履修方法によっては3年間で卒業できる場合があります。
学校そのものが子どもに合わない場合は、学校以外の支援施設を利用する方法もあります。
◆フリースクール
民間やNPOが運営しているケースが多く、学習だけでなく遊びや体験活動を大切にするなど、考え方は施設ごとに異なります。子どもの性格や興味関心に合った場所を選びやすい点がメリットの一方で、公的な補助金が少ないために学費が高額になる点は注意が必要です。
高校生でも通える施設では、通信制高校やサポート校と連携して高卒認定試験合格を目指すケースが多いです。
◆教育支援センター(適応指導教室)
不登校の小中学生を対象に、自治体の教育委員会などが運営しています。学校復帰を目指すことが多く、利用料は無料または安く設定されていることがメリットです。
どちらも一定の条件を満たすことで、在籍中の小中学校の学校長の判断により、”出席扱い”とできるケースがあります。学校復帰や社会的自立において、在籍校の評価や出席状況は、安心材料の一つになるでしょう。
高校に通わずに次の進路を目指す方法として、高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験 / 旧大学入学資格検定)があります。この試験は「高校を卒業した人と同じくらいの学力がある」と国が認めるもので、合格すると高校を卒業していなくても大学や専門学校を受験できます。
ただし、あくまでも大学や専門学校などの受験資格を得るためのもので、学歴が「高校卒業」になるわけではありません。仕組みを理解したうえで、将来を見据えて選ぶことが大切です。
【参照】
文部科学省:高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)
子どもが不登校になると「早く学校に戻ってもらわないと」と焦る方が多いと思います。ただ、子どもにプレッシャーをかけ続けることで、逆に自立を遠ざけてしまうことがあります。ここからは、家庭で意識したい関わり方を紹介します。
不登校になったばかりの時期は、心と体を休ませることが大切です。不登校になる子どもは、人間関係や勉強のプレッシャーで心が疲れ切った状態にあることが多いです。
「生活リズムが崩れて、遊んでばかりいる」と心配になるかもしれませんが、それは心を守るために必要な行動で、回復に必要であるケースもあります。無理に何かをさせず、好きなことをして過ごす時間を認めてあげましょう。家庭が安心できる場所になり、心のエネルギーが少しずつたまってくると「何かやってみたい」という気持ちが自然と生まれてきます。
保護者の方の不安な気持ちは分かりますが、「このままだと高校に行けないよ」「将来どうするつもりなの」といった言葉は、できるだけ避けましょう。子ども自身も不安や後ろめたさを感じているため、自信を失ってしまう原因になります。
大切なのは、学校に行けていない今の状況も含めて、子どもを受け入れることです。「あなたは大切な存在だよ」という気持ちを、言葉や態度で伝え続けることで安心します。しっかり休めば安心感を土台に、大きく成長していけるでしょう。

不登校の状態が続くと、外の世界とのつながりが少なくなりがちですが、社会と関わる方法は学校に行くことだけではありません。家庭や学校以外の楽しみや居場所を見つけることは、子どもの心を回復させるきっかけになることもあります。
使える時間がたくさんある不登校期間中には、子どもが「好き」「やってみたい」と感じていることに取り組んでみるのがおすすめです。プログラミングやイラスト、スポーツ、音楽など、内容は問いません。最近では、オンラインゲームを通じて友達とやり取りすることも、社会とのつながりの一つと考えられています。
まずは単発の体験教室やイベントに参加してみて、続けてみたいと感じたものを習い事として取り入れてみるのも良いでしょう。
家族との関わりだけでは子どもが息苦しくなってしまうことがあるため、保護者や先生以外の大人、同世代と関われる場所を持つことも大切です。「学校がすべてではない」と実感できることで、将来への不安は少しずつ軽くなっていきます。
【例】
不登校を経験しても、多くの子どもが自分の道を見つけ、将来につながっています。今は、通信制高校やフリースクール、高卒認定試験など、学びの選択肢がより広がっています。全日制高校だけが正解ではなく、子どもに合った環境を選ぶことが、長く続く安心や自信につながります。
家庭で大切なのは、焦らずに子どもの「今の状態」を受け入れることです。将来を心配して学校に行くように急かすのではなく、家庭でしっかり休息をとり、好きなことを通して元気が戻るのを待ちましょう。
ただ、保護者の方は「本当にこのままで良いのだろうか」と不安になってしまうことも多くあります。一人で抱え込まず、スクールカウンセラーや支援機関の力も借りながら、子どもの成長を信じて見守っていきましょう。