子どものためのバスケ入門 ― シュートのコツと練習法

子どものためのバスケ入門 ― シュートのコツと練習法

バスケットボールのシュートは、間違ったフォームのまま練習を続けてしまうと癖がつき、あとから直すのが難しくなります。最初から正しいフォームを身につけられるように、ポイントをおさえておくことが大切です。

この記事では、初心者でも取り組みやすい基本フォームと練習方法を紹介します。構え方や正しいフォームなどの基本が身につけば、シュートの精度は上がります。ぜひ最後までお読みください。

シュートの基本フォームのコツ

ここからは、基本フォームのコツを紹介していきます。

正しいフォーム・足の幅でバランスよく構える

まずは正しいフォームのためのチェックポイントを紹介します。

【BEEF】まっすぐにシュートを打つための基本フォーム

  • バランス(Balance):体のバランスを安定させる
  • 目(Eyes):リングをしっかり見る
  • 肘(Elbow):肘をリングのほうに向ける
  • フォームスルー(Followthrough):ボールを離した後にも手首をやわらかく返す

【FOREST】距離を伸ばすためのフォーム

  • フィンガーズ(Finger):シュートのあとに腕・指先がリングのほうを向くようにする
  • オフハンド(Offhand):利き手とは逆の手でボールを軽く支える
  • リズム(Rhythm):パスを受け取ったときに一旦ボールを体に引き寄せる動き、「ディップ」と呼ばれることもある
  • 目(Eyes):リングをしっかり見る
  • スウィープ&スウェイ(Sweep and sway):シュートのときに足が体の前に、肩が後ろに下がる動き
  • ターン(Turn):体をひねる動き。初心者は無理にひねらなくてもOK

一番のポイントは、シュートのときにボール・手首・肘が飛ばしたい方向に向いていることです。目線はリングのフック(奥のほう)や、バックボードの四角の角を見るようにしましょう。

シュートの前には「ディップ」と呼ばれる、ボールをお腹の前に入れて、お尻を軽く突き出す姿勢をすると、体勢が安定します。

また、シュートを打つときには、足は肩幅を目安に開きます。狭すぎると体が安定せず、試合でもシュートを打ちにくくなってしまいます。利き手側の足を半歩だけ前に出して体を傾け、膝を軽く曲げ、いつでもジャンプできる姿勢を作りましょう。

ボールの持ち方と肘の位置

ボールを持つときは手のひらをべったりつけず、指の腹でボールを支えるようにします。手のひらとボールの間に指1本分ほどの隙間があると、指先でコントロールしやすくなります。構える位置は利き手側の目の上くらいが目安です。わきが開きすぎないように注意しましょう。

肘が外に開くと、ボールが左右に逸れやすくなるため、ゴールにまっすぐ向けるのがポイントです。横から見たときに、腕がL字になる形を意識するとよいでしょう。

フォロースルーの意識

フォロースルーはシュート後の腕の形のことで、ボールの回転や方向を決めるために大切です。ボールを放ったあと、手首を下へやわらかく曲げた状態を保ちましょう。

手首をしっかり返すとボールにバックスピンがかかり、リングに当たったときに跳ね返りにくく、入りやすくなります。「ボールがリングに入るまで腕を残しておく」という習慣を身につけましょう。

また、ボールを投げたときのアーチを高くすることもポイントです。なるべく高くボールを投げるように意識しましょう。

シュート成功率を上げる練習方法

シュート成功率を上げる練習方法

バスケットボールでシュート成功率を高めるには、正しいフォームで繰り返し練習することが欠かせませんが、練習方法によってはフォームが崩れたり、誤った癖が身についてしまったりすることもあります。

ここからは、無理なく上達するための練習ステップを紹介します。

ゴール近くからの近距離シュート

初心者は、ゴール下やバックボードの横といった「近い位置」から練習を始めましょう。近距離なら力を入れなくてもボールが届くため、正しいフォームに集中できます。

特に、バックボードの四角い枠の角を狙うバンクシュートは成功率が高く、初心者におすすめです。ボードに当たることでボールの勢いが吸収され、リングに入りやすくなります。

左右どちらの手でもシュートを決められるようになったら、一歩ずつ後ろへ下がりながら距離を伸ばしていきましょう。

軽いボールや低めのゴールでフォーム練習

筋力の少ない子どもが重いボールや高いゴールで練習すると、無理な姿勢で投げてしまいやすく、フォームが崩れがちです。正しいフォームを身につけるために、体格に合った道具を使うようにしましょう。

低学年の子どもには、軽量の5号球や、ミニバス用の低いゴールが向いています。

自宅にゴールがない場合は、仰向けに寝て天井へ向かってシュートを打つ練習も効果的です。肘の使い方やフォロースルーを意識しながら取り組みましょう。

子どもでも覚えやすいシュートの種類

バスケットボールにはさまざまなシュートの種類がありますが、まずは試合で使う機会が多い基本のシュートから身につけていきましょう。状況に合わせてシュートを使い分けられるようになると、得点できるチャンスが増えます。

ここでは、子どもが最初に練習しておきたい4種類のシュートを紹介します。

レイアップシュート

レイアップシュートは、ドリブルで走り込み、リングの近くから放つ基本のシュートです。試合中にもよく使われ、成功率が高いシュートのため、左右どちらの手でも打てるように練習していきましょう。

ドリブルから「イチ、ニ」とステップを踏み、ジャンプの一番高いところでリングにそっとボールを置くように離します。バックボードの四角い枠の内側にやさしく当てるようなイメージだと成功しやすいです。

小学校低学年などで片手でボールを扱うことが難しい場合は、両手で打ってみましょう。両手でボールを支えて、ボードに向けてやさしくシュートを打つのがポイントです。

ジャンプシュート

ジャンプシュートは、その名の通りジャンプをして空中で打つシュートです。打つ位置が高くなることで相手のブロックをかわしやすくなる一方、ジャンプで体勢が不安定になってしまうため、バランス良く打てるように練習をしましょう。

ジャンプシュートのコツは、まっすぐ上にジャンプすることです。ドリブルのあとのストップ・ジャンプ・着地の位置が同じになるような意識をしましょう。

シュートの前にはお尻を軽く後ろに突き出す「ディップ」を意識してジャンプをすると、安定しやすくなります。

ワンハンドシュート

ワンハンドシュートは利き手でボールを押し出し、反対の手は添えるだけの打ち方です。片手で打つため可動域が広く、打点も高くなるのが特徴で、左右のブレも少ないため正確なシュートにつながります。

力が弱いうちはリングまで届きにくいこともありますが、正しいフォームを身につければ少しずつ飛距離が出てきます。

セットシュート

セットシュートは、ジャンプをしないか、軽くつま先で上がる程度で打つシュートです。フリースローや、ジャンプシュートでは届かない子どもが遠くから打つときに使われます。

足が地面についているため体が安定し、下半身の力を効率よくボールに伝えられるのがメリットです。

膝をしっかり曲げ、伸び上がるときの力を利用してボールを飛ばします。ジャンプシュートにつながる基本的な動きでもあるため、最初にしっかりフォームを固めておくことが大切です。

効率的な練習のポイント

効率的な練習のポイント

シュートを間違ったフォームのまま練習すると、悪い癖が身についてしまう可能性があります。限られた時間でしっかり成果を出すためには、質と継続を意識した練習が大切です。

ここでは、子どもが無理なく続けられ、着実に上達するための効率的な練習ポイントを紹介します。保護者のサポートも大きな力になりますので、ぜひ参考にしてみてください。

毎日少しずつ行う習慣を身につける

バスケットボールの上達には、短時間でも毎日ボールに触れることが効果的です。

シュートには繊細な指先のタッチや距離感が求められるため、間隔が空くと感覚が鈍ってしまいます。1日10〜15分でもよいので、ボールに触れる時間を作りましょう。

【自宅での練習例】

  • 天井にシュート:仰向けになり、天井にシュートを打ってまっすぐ返ってくるようなコントロール力を身につける
  • カゴやゴミ箱にシュート:自宅にあるカゴなどを使い、シュートを打つ
  • 片手の指先でボールを回転させる
  • 一本指でボールを支える
  • 腰の周りや足の周りで、体にぶつからないようにボールを回転する

また、ボールを使わない体幹トレーニングなどもおすすめです。

負担になる可能性もあるため、特に小さいお子さんは無理のない範囲で行うようにしましょう。

  • プランク:肘とつま先で体を支え、頭からかかとまで一直線を保つことで、接触プレーでも体がぶれにくい体幹を鍛える
  • サイドプランク:横向きで肘と足で体を支え、体を一直線に保つことで、ディフェンスや切り返し時の横ブレを防ぐ
  • デッドバグ:仰向けで手足を交互に動かし、腰を床につけたまま行うことで、動きの中でも体幹を安定させる力を高める
  • バードドッグ:四つん這いで対角の手足を伸ばし、体が傾かないように保つことで、プレー中のバランス力を養う
  • ロシアンツイスト:座った姿勢で上体を少し倒し、体を左右にひねることで、パスやシュートに必要な回旋力を強化する

綺麗で正しいフォームを意識する(撮影などで確認する)

これまでお伝えしたとおり、正しいフォームを意識してシュートを打つことが大切です。しかし、自分では正しいフォームのつもりでも、客観的に見ると肘が開いていたり、姿勢が崩れていたりすることはよくあります。感覚と実際の動きのズレを修正するためには、スマートフォンなどで動画撮影し、自分のフォームを見返す方法が効果的です。上手な選手のフォームと並べて比べることで、改善点が分かりやすくなるでしょう。

正しいフォームは見た目が美しいだけでなく、力が効率よく伝わるためシュート成功率が上がり、怪我の予防にもつながります。

まとめ

子どものシュート上達で大切なのは、正しいフォームを定着させることです。最初に自己流の投げ方を覚えてしまうと、あとから直すのに多くの時間がかかってしまいます。フォームのチェックポイントである「BEEF」や「FOREST」を、焦らず丁寧に身につけさせてあげましょう。

また、バスケットボールコートでの練習だけでなく、自宅などでの練習を毎日積み重ねることも大切です。ボールを使った練習のほか、体幹トレーニングも取り入れて、シュートを打つための体の土台作りも行っていきましょう。

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